〜能力者への道44・闘始〜




 ついに『幹部・十二使徒』が此処に集結した


 黒き腕輪を持つ者達はしばしの休息を、そして次なる『任務』はカントー制圧だろう


 『四高将』の存在、『四神王』すなわち『四大幹部』・・・・・・組織の内部が少しずつ明らかになっていく


 一方、レッド一行は次なる目的地、『2の島』に到着する・・・が!


 突如現れた灰色の団員服を着た者達に、『テレポート』にて何処ぞの地に飛ばされてしまう


 取り残されたシショー、そしてシショーにも敵がいた・・・・・・けど、この程度のレヴェルじゃ相手にならない


 シショー、シショーのトレーナーと『はがね』の関連は!!?


 何処ぞへ飛ばされた皆は、無事に帰ってこられるのか!!?










 「・・・やれやれ」


 『四高将・タツミ』は少々疲れていた、個性豊か過ぎる部下や上司の間に挟まれるいわば『中間管理職』的存在だからだ
 それに彼女はあのディック直属の部下として、此処に仕えている身である
 ・・・・・・彼の性格上、気苦労も絶えない・・・しかも先ほど諍いもあったし・・・


 「(・・・ディック様は何をお考えになっているのだろうか?)」


 話は2時間ほど前にさかのぼる





 




 「・・・ねぇタツミ、人を集めて欲しいんだけれど」

 「はっ、わかりました」


 タツミが背筋をビッと伸ばし、それに応えた・・・当のディックはポカンとしている


 「・・・あのさ、理由とか訊かないの?」

 「(面倒臭がらずに)答えて下さるのならば、お聞きします」

 「・・・・・・んー、そっか。 いやね、あの・・・レッド達に『刺客』を差し向けたいんだよ」

 「あの・・・2の島に向かっている鳥の一行にですか、わかりました。 早速、『幹部候補』に連絡して…」

 
 タツミがさっさと行こうとするのを、ディックが止めた


 「いや幹部候補を向かわせるほどでもないでしょ? ヒマそうな人達を『6人』、適当に選んで」

 「(ヒマ・・・下級兵士達のことか)わかりました、適性を考え選出します」

 「ん、ありがと」


 ディックがにこにこして笑うのを、タツミはふぃっと顔をそらして歩き出して行った





 ・・・・・・ジャチョがこのことを誰かから訊いたのだろう、そしてセイルスの元へ行った
 耳の早いやつだ、個人の情報網にまで干渉は出来ないものだし・・・仕方ないとはいえ


 「(それにしても、わざわざ下級兵士達を向かわせるとは・・・?)」


 彼らの実力程度なら、幹部候補を1人か2人で充分抹殺できるし・・・そのぐらいなら今、ヒマしている者もいる
 なのに、わざわざ・・・・・・まぁいい、私は言われた仕事をこなすまでだ


 それが『四高将』としての誇り、誰にも譲れぬこの想い・・・・・・
 

 「もうバトルは始まっているだろうな・・・」

 








 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・


 『たからのはま』にレッドと団員が立って話している


 「・・・正々堂々だって?」

 「そうだ、おれの名は『バウ』。
 お前とおれ・・・ただどちらが強いか、証明するだけこと。
 能力者同士の戦いは基本的には『1対1』のシングルバトル。
 それにプラスして『ルール』を設ける、互いに不平等のないように・・・な」


 相手はやる気満々のようだ、だがレッドは他の皆が気になる
 同じようにどこかの島か土地に連れて行かれたのだ、早いとこ合流したい・・・


 「・・・わかった、戦わなくちゃ帰れないんだろ?」

 「その通りだ、早速だが今回のルールの説明だ。
 『使用ポケモンは各自2体ずつ、交代制で行い・・・どちらか片方が気絶したら負け』
 『リュックなどから取り出してのアイテムは使用禁止』
 『ただし図鑑や自転車の類は認めるし、ポケモンに持たせるならばそれも許す』
 『トレーナーが相手ポケモンを攻撃してはならない』
 『ただし自身のポケモンが相手トレーナーへ攻撃するのは認める・・・だがあくまでポケモンVSポケモンであること』
 『トレーナー能力の使用を認める、また上記のルールを無視する能力ならトレーナー能力のほうを優先して構わない』」


 ・・・・・・特に変わったことはない、公式の試合とほぼ同じルールだ
 ただトレーナー能力が加わることで、バトルにどんな影響を及ぼすのか・・・それだけはわからないが


 「それとこいつが重要だ。 今から『じゃんけん』をする」

 「・・・・・・はぁ!!?」

 「負けたほうから、『今回のバトルで使用する2体のポケモン名を言い合う』のさ。
 勝てば相手の弱点をつけるポケモンを選ぶことも可能だ、これはお前の合意が必要になるんだが・・・?」


 ・・・・・・つくづくあの組織には変な人間が多いんだな


 「・・・わかった、別にいいよ」

 「よし、おれは『グー』を出すからな。 嘘はつかない、正々堂々言っただけだ」
 

 バウがそう宣言する、これは『心理作戦』なのか・・・レッドが困惑する
 そんなのを無視して、バウがじゃんけんの手を振りかざして言った
 

 「「じゃーん、けーん、ぽんっ!!」」


 ・・・・・・結果
 
 レッド『パー』、バウ『グー』





 「・・・な? おれは嘘はつかないんだ」

 「(なんかそれって、俺が単純だって言われてるもんじゃ・・・)」


 レッドが自分の出した『パー』をじっと凝視している、バウがトントンと肩を叩いた


 「忘れてるだろ、負けたほうから言うってことを。 おれは『フーディン』と『マッスグマ』」

 「・・・『エーフィ』と『ニョロボン』」

 「同じタイプと弱点をついてきたか、上等だぜ」

 「(ルール言われた時から最初っから出すポケモン、決めていたんだけどなぁ・・・)」


 2人がある程度の距離をとった、この『たからのはま』は案外広く、今は誰もいないのでバトルには最適の状態だ
 

 ・・・2人が腰のボールを宙に投げた





 バトルスタート 〜フィールド・たからのはま(浜辺)〜


 レッド(エーフィの『ブイ』♂&ニョロボンの『ニョロ』♂)VSバウ(フーディン♂&マッスグマ♀)
 




 「ブイ!」

 「フーディン!」


 2体のポケモンがたからのはまの中央で一度激突した、力比べは・・・ほぼ互角!
 ・・・ザッとブイとフーディンが各トレーナーのそばに寄り、それと同時に言った


 「「『サイコキネシス』!!」」


 互いの念波がぶつかり、砂浜がさざ波のように細かに振動し、砂が舞い上がった
 独特の紋様を砂浜に描く、レッドが状況を判断し始めた


 「(・・・強い、俺のブイと互角・・・いや・・・)」


 わずかだが、レッドの方が押されている・・・


 ・・・・・・相手の方から、何やら聞き覚えのある機械音がする
 次の指示を出そうと相手のポケモンを見た時に、ようやく気づいた


 「・・・便利な道具だ、こんなのがお前達だけのモノだったとは、正々堂々じゃねぇな」


 にぶく銀色に光る、色は違えど形状・・・駆動音・・・・・・間違いない、アレは・・・!!?


 レッドがポケットから自らの図鑑を出し、それと見比べた


 「ポケモン図鑑!!?


 莫迦な、何故バウが・・・組織の人間が持っているんだ!!?


 ・・・・・・まさか、マサラタウンが襲われた理由は・・・オーキド博士・・・


 ピッピッとバウが銀色のポケモン図鑑を操作する


 「・・・レベル、能力値はそちらのエーフィの方が上、だが・・・!!」

 「(俺の方が、ブイの方が押されているのは・・・?)」
 

 ・・・ジッと相手のフーディンを観察してみる、そしてまた新たに気づいた!


 「・・・二本とも、両手に『まがったスプーン』だって!!?」


 ありえない、ポケモンがもてるアイテムは『1体につきひとつ』までだ!
 なのに、相手のフーディンの両手には『まがったスプーン』が・・・・・・?


 「そうさ、これがおれのトレーナー能力! 
 『ポケモンの手の数だけ、アイテムを持たせることが出来る』能力!
 そして・・・忘れたか? 能力者の戦いに起こる現象を・・・!」


 ズズッと相手の念波が徐々に強くなってきている、『両手にスプーン』の効果で・・・?
 ・・・・・・いや、アイテムでパワーアップしているとはいえ・・・これは全く別の理由がある!


 「少しでもまさっていれば、呑み込まれるんだぜ・・・」


 『引き算が足し算になる』・・・・・・レッドのサイコキネシスがバウのサイコキネシスに呑み込まれた!!
 威力は通常の2倍か、それ以上になるだろう・・・レッドとブイが吹き飛ばされ、砂ぼこりが辺りに舞った


 ・・・・・・砂ぼこりは舞い続け、反応が無い





 「・・・任務完了か、つまらん」


 バウがくるりと後ろを向いた瞬間、何かが砂ぼこりから飛び出してきた
 

 「『おんがえし』!」

 
 とっさにフーディンがバウをかばい、エーフィの攻撃をモロに受けてしまった
 バウがまだまだ健在でにやりと笑うレッドを見て、ガッハッハッハと笑った

 
 「・・・はっ、砂ぼこりの中で『あさのひざし』で体力回復、そして『おんがえし』のコンボか!!
 おもしれぇ・・・随分と手応えがあるじゃねぇか・・・」


 フーディンに『じこさいせい』の指示を与え、回復させる


 「正々堂々、バトルを楽しもうじゃねぇかよ」

 「望むところだ」





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