〜能力者への道45・闘二〜
ディックの指示によるレッド達への刺客
しかし、何故『下級兵士』たちを向かわせたのか・・・そして『6人』とは?
レッドと下級兵士『バウ』との闘いが『たからのはま』で始まった
そして・・・驚くべきことに、バウは『ポケモン図鑑』を手にしていた!
マサラタウンが襲われた理由・・・それはここにあった
また彼の能力は『ポケモンの手の数だけ、アイテムを持たせられる』というものだった
意外な能力に不意打ちを食らったが、まだまだ勝負は始まったばかりだ・・・!
一方、こちらは『草原フィールド』
孤島の草原に岩がごろごろ転がっているという、よくある闘技場の型かもしれない
此処で、もの凄く恐い女達の闘いが始まっていたりする
「『ぷりり』、『トライアタック』!」
「『ペルトーネ』、『みだれひっかき』!」
ガァンと『プリン』と『ペルシアン』が激突する、その衝撃で草原がザザッと震えた
衝突したポケモンがお互いのトレーナーの下に一旦戻った、ブルーと『ルキ』と名乗る少女だ
「・・・へぇ、結構やるじゃないの」
「それはこっちのセ・リ・フvv やるじゃん、オ・バ・サ・ンvv」
ブルーの額に青筋が浮かび上がる、まぁ・・・言われれば当然怒ることだが
・・・この闘いを始めて驚いたことは、相手が『ポケモン図鑑』を持っていたことだ
簡単に推測すれば、マサラタウンが襲われたのはそれの所為・・・オーキド博士の知識が目当てだったのだろう
しかし博士はグリーンの祖父だけあってかなりの頑固者だ、おそらく・・・ただではすまなかったろう
今は本当に・・・博士の身体の心配を、無事を祈ることしか出来ない
もうひとつ驚いたことが、いや・・・これは向こうから言ってきたことだった
このルキという少女が、『ジョウト・ジムリーダー追撃団』のリーダーとして前線に出たということだ
それは本当かどうかはわからない、だが・・・強いということだけは間違いようがない
ブルーが自身のポケモン図鑑を開いて、ぷりりの状態を確認する
相手は『♀ポケモン』、ぷりりの『とくせい・メロメロボディ』は意味をなさない
「(それに、ぷりりのHPの減りが激しい気がするのは・・・気のせいじゃないわね)」
「ペルトーネ、『ひっかく』!」
相手が点在する岩を伝って飛び、霍乱(かくらん)と同時に間合いを詰めて来る
・・・このペルシアン、やはりレヴェル自体が高い
更に・・・どちらかといえば素早さを重視して育てられたのだろう
瞬間、ぷりりが攻撃をかわすと・・・後方にあった岩がズドォッと崩れ落ちた
「・・・なっ!?」
「キャハハハハ、お・ど・ろ・い・たvv?
私のトレーナー能力は『ラッキー☆ヒットvv』!
『威力40以下の技は全て急所に当たっちゃう』のよ、す・ご・い・で・しょvv!!」
・・・・・・成る程、ぷりりの体力減少の理由はここにあったわけだ
それにしても・・・素早さ重視で育てられたペルシアン、非力はトレーナー能力で充分にそれを補う
「(ちょっと厄介ね・・・でも・・・)」
「私の攻撃はまだ終わらな・い・の・よ〜vv」
今度は『みだれひっかき』だ、一回のダメージは『18』・・・その倍の36で最大5回攻撃・・・!!?
こんな技を食らい続けていたら、終わりである・・・ブルーとぷりりが何とかそれをかわした
不幸中の幸いか、この技はそんなに命中率は高くない・・・また避けることに成功した
「キャハハハハハ、逃げちゃダメよ〜んvv」
「ぷりり、『サイコキネシス』!」
相手が「きゃあっ」と言って、その場に倒れた・・・が、すぐにまた起き上がった
・・・・・・不意打ちを食らったのがよほど頭にきたのだろう、プーっとまるでプリンのようにほほを膨らませている
「・・・ム〜〜〜、怒ったぞ〜! いいもん、私の『特能技』でやっつけてやるぅ!」
「!!? 『特能技』・・・」
ペルシアンがトーンと岩の上を垂直に飛び、ぷりり目がけて落下する
その瞬間、ぞわっとするものを感じ、即座に避けるよう指示をした・・・間に合って!
次の瞬間、ぷりりは上空にギリギリで避難することに成功した
一方、相手のペルシアンは岩をまた代わりに攻撃した・・・・・・そして岩は粉々に砕け、そこの地面が荒々しくえぐれた
「・・・あ〜、ハズしちゃった〜vv」
「(どういう威力してんのよ、あれ・・・)」
「あ、驚いてる驚いてる〜vv」
ブルーはよく見えなかったようだが、ここで彼女の放つ『特能技』についての説明をしたい
特能技の名は『ラッキー☆クラッシュvv』簡単に言えば『超高速の「みだれひっかき」』なのである
目標目がけて落下し、その時に両前足を高速で動かす
落下速度の相乗により・・・その一発の威力は通常のものを上回る
しかし威力は40以下、だが・・・それが全て『急所に当たる』のだ
結果、岩程度の硬度ならば粉々になり、ジョウト・ジムリーダー立てこもりの際は『鉄の扉』をも破壊した
たとえ『特能技』であっても単純な技ほど、その威力・効果は高い
「わ・か・った〜vv? オバサンには勝ち目がな・い・の〜vv
これが実力差ってヤツゥ〜? これでもまだやる気ぃ〜vv?」
「・・・・・・そうね、これ以上は・・・今のアタシじゃ危険ね」
ルキが「そうでしょ〜vv?」と勝ち誇ったように笑う、が・・・ブルーはにやりと笑ってみせた
それが気に入らなかったようだ、ルキが声を張り上げた
「まだやるっていうの、無駄だって言ってるじゃ・な・い・の〜ぉ!」
「なら、見せてあげるわ・・・」
ブルーがキッとルキを見すえて言った
「・・・・・・アタシの、『トレーナー能力』を」
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「・・・ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」
フィールドは孤島のジャングル、此処ではイエローが奮闘していた
相手の『トレーナー能力』は『相手のトレーナー能力を使用不可にする』こと
そして手持ちの『スリーパー』の技、『かなしばり』と併用することで『相手ポケモンの技を全て使用不可にする』というもの
どちらの能力・技もイエローにとっては厄介すぎる、ポケモンの思考を読み取ることすら出来ないのだ
おそらくチームの中で唯一、一応まともに能力の扱えるイエローに対しての人材起用だろう
「・・・どうしよう、チュチュ・・・?」
チュチュもぜいぜいとバテている、今は名乗らずに攻撃してきた団員女性をまいた所だった
こういう時は小柄で良かったと思う時でもある、うっそうと茂った森の中では姿を隠せることは有利な条件だ
「(あの人の攻撃パターンが大体だけど、読めてきたぞ・・・)」
先ず、スリーパーの『かなしばり』で相手の技を全て使えなくする
次に『さいみんじゅつ』で動きを鈍らせ、止めさせる
そして『ゆめくい』か『あくむ』のどちらかを使う、『サイコキネシス』でとどめをさすことだって可能だろう
実際、『かなしばり』『さいみんじゅつ』『サイコキネシス』は使ってきたのだ
それと・・・もうひとつわかったのは、この『特殊なかなしばり』は何もずっと効果が続くわけじゃないということ
以前のグリーンさんの特訓で聞いたことだった
『かなしばり』などの封印技は数ターンでその効果が消える、消えるときはポケモンの体色や瞳の輝きで判断がつくらしい
こうやって姿を隠していれば、おのずと数ターンは過ぎてゆく・・・トレーナー能力は使えないけれど、技はいつか使えるようになる
そして何度も『かなしばり』を受け、回復する瞬間を見てきたので・・・ある程度なら、いつ効果が消えるのかもわかってきた
「(あと・・・30秒ってとこかなぁ?)」
チュチュの身体を見て、イエローはそう思った・・・思考は読み取れないが、このくらいのことはわかってあげないと
「(・・・・・・あ、でも・・・わかんないことがもうひとつあったっけ)」
そう・・・こうして効果が消える瞬間に・・・・・・
「見つけたわよ!」
「ああっ、また!!?」
樹の上からスリーパーが落下してきた、そして即座に『かなしばり』をかけられる
「くっ!」とイエローが構えてももう遅い、続けて『さいみんじゅつ』の攻撃だ
「・・・逃げるよ、チュチュ!」
「逃がさないからね・・・絶対に!」
イエローとチュチュがまた森の中に姿を隠した、団員の女性が不敵に笑い・・・ポケットの中でそれを操作した
「そう・・・このポケモン図鑑がある限り、あなたは私から逃げられない・・・!」
・・・・・・あの夜、『1の島』のニシキさんの家でレッドさんに聞けなかったこと
「はぁ、はぁ、はぁ・・・!! どうして、ボクの居場所が・・・わかるんだろう」
恐くて訊けなかった、『レッドさん、ボクのこと・・・どう思ってますか?』
そして・・・・・・『レッドさん、ボクは・・・この旅にこれから先ついていけると思いますか?』
こんな・・・逃げることしか出来ない、このボクに・・・教えてください、レッドさん・・・
<・・・大丈夫、あなたは強いわ>
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