〜能力者への道48・闘五〜




 グリーンの敵の能力は『遠当て』、近距離攻撃を中・遠距離攻撃に転化させることが出来るもの


 その威力にグリーンは背中を強打し、重傷を負ってしまう


 そして更に恐るべき威力、『特能技・ダブルインパクト』をモロに受け・・・グリーンとハッサムは瀕死の状態に


 最期かと思われた絶命の瞬間、グリーンは立ち上がり・・・謎の技、破壊の鋼爪『ディス・クロー』を発動!


 相手を撃破したが、グリーンはそのまま意識を失った


 一方、ブルーの方も決着が付いた


 ブルーの能力は『フェロモン』、打撃攻撃してきた相手、異性同性関係なく魅了するというもの


 それによって相手のポケモンはメロメロ状態に、そして撃破!


 ・・・・・・さぁ、残るメンバーの勝敗は・・・?










 <・・・勝ちたいか?>










 「よし、行け! フーディン!」

 「ブイ、応戦だ!」


 残るレッドの手持ちはブイのみ、対して相手はHPがほぼ満タンで2体
 現在相手はマッスグマを引っ込め、再びフーディンを繰り出していた
 

 「(くそ・・・どうする!!?)」


 先ほどフーディンVSブイの闘いをやって、その結論だけ言えば・・・このままでは俺達の負けだ
 理由は明らか、こちらの技が向こうに全く通じないからだ
 『サイコキネシス』同士のぶつかり合いは、相手が道具を2つ持っているので確実に競り負ける
 打撃攻撃の『おんがえし』をやっても、『じこさいせい』で回復させられた・・・これも一撃では倒せなかった
 せめて『きゅうしょにあたれば』、勝機はあるかもしれないが・・・確率が低すぎる
 こちらも『あさのひざし』で体力を回復できるが、攻撃技が通じない以上・・・PPの消耗戦になるだろう


 ちなみに、ブイの覚えている技は以下の通りだ
 『サイコキネシス』『おんがえし』『あさのひざし』『じこあんじ』・・・・・・わかってる、少々頼りなさすぎる技だ
 今頃になって、もう少し技の強化をしておくべきだったと思っている・・・が、後悔するには遅すぎた





 「おれは正々堂々、お前に勝って、『青の腕輪』を手に入れるんだ!」


 ・・・・・・青の腕輪!!?


 そういえば、2の島で皆が捕まった時・・・その内の何人かが腕輪みたいなものを付けていた気がする
 本当に一瞬だったし、よくわからなかったのも事実なんだけど・・・・・・


 腕輪で思い出すのは、『幹部候補・ブレイド』だ
 ヤツの腕には確か、『赤』『青』『白』色をしたものをつけていた
 そしてバウは俺を倒して『青の腕輪』を手にする、と言っている・・・・・・


 3色の腕輪、それはこいつらにとって・・・・・・いったい何なんだ!!?





 「よそ見してんなよぉ! フーディン、『かみなりパンチ』!」


 しまった、長く考えすぎたか・・・スキを見せてしまった!


 ハッとなり指示を出そうとしたが、その前にヤツの『かみなりパンチ』がブイに直撃してしまう
 そして図鑑を開かずともわかる、『まひ』状態だ・・・・・・
 ブイが衝撃で海の方に転がっていく、俺は追いかけた


 「トドメだ、『はかいこうせん』!」


 轟音、マズイ・・・・・・直撃か・・・!!?
 バウの目の前にあった砂浜とブイとかばった俺の身体が吹き飛んだ・・・
 
 



 <・・・勝ちたいか?>





 ・・・・・・聞こえる、まただ・・・一昨日の海の上でも聞こえた・・・あの声が


 <どうした、それともお前は負けたいのか?>

 『・・・・・・幻聴か、俺もう駄目なのかな』

 <聞こえているな。 なら答えろ、勝ちたいか?>





 もうもうともの凄い砂ぼこりが辺りに舞った、バウが身構える


 「(・・・・・・さっきも、この砂ぼこりの中から奇襲をしかけてきたんだっけな)」


 油断は禁物だ、もういっちょ・・・トドメの一撃をさしておくか・・・?
 ・・・そう判断したバウが、反動で動けなくなったフーディンを待つことにした、次で勝負を決めるために・・・・・・





 <最後に今一度問う。 勝ちたいか?>

 『ああ、勝ちたい。 負けられないんだ、皆に会いたい。
 皆を護る・・・だから、俺はこの勝負に勝って・・・帰りたい!』

 <・・・・・・ならば、お前に『力』を与えてやろう>

 『「力」?』

 <ただし、条件がある>


 かたわらで苦しそうにしているブイが居た、俺も動けない
 ・・・砂ぼこりの中で、次の・・・相手の攻撃の気配を感じた
 頭の中でしか聞こえない<声>、本当に死ぬ間際の『幻聴』なのだろうか


 『お前は誰なんだ? なぜ、俺を助ける?』

 <誰? そうか、お前はまだ俺の姿は『見えない』んだな>

 『姿!!? 幻聴に姿形なんてあんのかよ・・・』

 <お前に力を与えよう、手にすれば・・・誰にも負けない力だ>

 『おい、姿形の話はどうしたんだよ』

 <ただし、条件がある>


 幻聴に文句を言っても仕方ないが、自分から話題を振っておいて無視とはいかがなものか
 しかもこいつはさっきから同じセリフを繰り返している・・・
 『力』と『条件』って・・・いったい、何なんだ?





 <条件がある>

 『・・・・・・条件って、何だよ?』

 <お前は永遠に日常に戻れなくなる>

 『!!?』

 <この力、手にすれば・・・能力者として、死ぬまで生き続けることとなる。
 一般トレーナーとは二度と相容れない、異端の者として・・・迫害されるかもしれない。
 お前の夢である『ジムリーダー資格』を得ることも出来なくなるだろう、それでも・・・この力を欲するか?>


 ・・・・・・チクショー、何て条件だよ
 もう二度と日常には帰れない、たとえ・・・この『Gray War』が終わっても、か・・・


 『ああ、望む』

 <即答とは意外だな>

 『俺は護りたいんだ、それに・・・怒ってるんだ。
 何がゲームだ、何が組織だ。 人の命を何とも思わない奴らが、カントーを狙ってる。
 幸せに過ごしていた皆を、ポケモンを・・・奴らは平和を踏みにじり、奪っていったんだ・・・ッ!
 ジョウト地方なんかもう奪われちまった、取り戻してあげたいんだ・・・皆の平和を、幸せに笑っていられる日常を!』

 <・・・・・・その代償として、お前は自分の日常を捨てるというのか>

 『ああ、皆が笑顔でいられる日常のためなら、惜しくない』


 レッドが痛んだ身体を起こし始めた、苦しい・・・だが、表情は穏やかに笑っていた
 ブイもまた、満身創痍な身体を起こし・・・『あさのひざし』で少しずつだが、体力を回復していった


 <いいだろう。 お前の『戦う意思』、しかと受け止めた>

 『お前の「力」、受け入れてやる・・・』

 <ならば、駆け抜けろ>

 
 ビクンとレッドの身体が熱くなった、心臓の鼓動が早くなっていくのを感じた
 幻聴が・・・・・・頭の中で叫び、暴れているようだ


 <駆け抜けろ、その仲間と共に! 護るべく日常を乱す、敵の元へと!!


 


 




 「・・・フーディン、そろそろ動けるか?」

 
 バウの呼びかけに、フーディンがこくりとうなずいた
 にやりと笑い、あれから何の動きも見せない相手へ向けて・・・力を溜め始めた
 

 「(・・・・・・充分に力を溜めたら、『はかいこうせん』を放つ)」





 <駆けろ! 駆けろ!! 駆けろ!!! 駆けろ!!!! 駆け抜けろ!!!!!


 レッドがブイと共に砂を踏みしめ、走り出した・・・駆け抜けろ!
 足がズキズキ痛む、でも・・・止まらない、この衝動が











 砂ぼこりが一気に晴れた、そして飛び出したのは・・・レッドとブイだ
 バウはにやりと笑い言った


 「ワンパターン野郎が! 見え見えなんだよ!!
 ・・・フーディン、『はかいこうせん』!!」

 <敵の元へ、駆け抜けろ!!!!!>

 「ウォオオォォォオォオオオ・・・」
 

 莫迦みたいな猪突猛進、『はかいこうせん』のいい標的である
 だが・・・レッドとブイは止まらない、何故だかわからないが・・・聞こえる幻聴を信じて


 「(・・・きっと、ブイにも・・・いや、手持ちの皆にもこの<声>は聞こえてる・・・!)」


 確証はない、だがレッドは確信していた
 相手の『はかいこうせん』の射程距離、いや・・・もう避けようとも避けられない位置まで走った
 頭の中の幻聴は、更に声を張り上げた


 次の瞬間、フーディンから『はかいこうせん』が放たれた、もう避けられない・・・・・・





 <叫べ! 叫べ!! 叫べ!!! 叫べ!!!! 叫び、放て!!!!!





 「正々堂々な戦いっぷりだったぜ、あばよ!」


 『はかいこうせん』の閃光が、レッドの前に立ちふさがった・・・・・・!!





 <「『特能技』!!!!!」>










 『大恩の報』





 『大恩の報』





 『たいおんのむくい』





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