〜ぷろろーぐT・ハジマリ〜




 『図鑑所有者No001、グリーン(GREEN) 前々回ポケモンリーグ準優勝者
 育てる者と言われている、マサラタウン出身


  図鑑所有者No002、レッド(RED) 前々回ポケモンリーグ優勝者
 戦う者と言われている、マサラタウン出身



                         ・・・以上の者をテストし、資質を見極めよ』










 空高く、どこまでも澄み切った青空・・・ 
 青年は指令書を見てため息をついた、何度も読み返し何度もため息をついた

 
 「・・・面倒臭いなぁ」


 此処はセキチクシティの横、15番道路
 そこの原っぱで寝ころんでいる青年が一人いた
 何をするわけでも無く・・・ただボーっと空を見ている


 その青年のボサボサの髪は青かった、染めているのかは不明
 ちょっとたれ目で、全体的にのほほんとした顔立ちはなかなかの好印象を持っていた
 服装は灰色のタキシードで、下のカラーシャツまで青色だった
 シャツのボタンは段違い・・・明らかに着崩している感じで


 青年は大欠伸をした、むにゃむにゃとやる気の無さが滲み出ている
 このまま寝ちまおうかと・・・うつらうつらしていた瞬間に・・・



 ・・・最大音量でポケギアが鳴りだした、発信者は『リサ』
 青年はおそるおそるポケギアを取った、耳から30cm程離してから・・・通話ボタンを押した





 『起きろ〜!! ディック!!


 盛大な怒鳴り声・・・離しておいて正解だったな、と青年は思った

 「・・・寝てないよ」

 『嘘おっしゃい! アンタの行動パターンなんてお見通しよ!!
 それよりまたサボってたわね!!?』

 「・・・・・・」

 『大方どっかの原っぱで寝ころんで、空でも見て、指令書何度も読んで何度もため息ついて・・・「面倒臭いな」、とか言っていたんでしょ』

 「スゴイな、本当に・・・どうしてわかったんだ?」

 電話の向こうでもため息が漏れた・・・まさか本当にやっていたとは・・・
 怒鳴る気力もなくしたのかさっきの半分以下の声が話しかけてくる

 『・・・同時進行なんだからアンタもさっさと行きなさい』

 「それより『ジーク』は?」

 『とっくに目標を見つけてバトル中よ、アンタ今何処にいるのよ?
 ・・・まだ目標が見つかってないの?』

 「15番道路、目標はスグそこに居て二人で模擬戦やってる」

 
 青年はまたポケギアを離した





 『だったらさっさと行きなさぁ〜い!!!


 怒鳴り声のせいか、辺りの野生ポケモンが次々に逃げ出していく・・・
 青年は見ている方がイライラするぐらいの速度で立ち上がり、ポケギアの電源を切った

 「面倒臭いなぁ・・・」

 青年はふらりふらりしながら・・・目標の所へ歩いて行った










 「ニョロ、『ばくれつパンチ』!!」

 「ハッサム、『きりさく』!!」


 ニョロとハッサムが一瞬の内にすれ違う・・・辺りに緊迫した空気がただよう
 二人が見守る中で二匹は同時に地に伏した

 「「戻れ!!」」

 二人の手の内にボールがかえってくる、お互いがポケモン図鑑を開きにやりと笑った

 「ひぇ〜、強くなったなぁ、グリーンは」

 「お前こそな」


 もう一戦と、二人が腰のボールに手をかけた瞬間に・・・

 「スト〜ップ」

 と間の抜けた制止声が上がった、二人が声の方向を向いた
 見たことがなく、服装がだらしない青年が丘の上から滑り降りてくる

 「ええと、マサラタウンのグリーンとレッド・・・でいいのかな?」

 「そうだけど・・・?」

 「お前は誰だ? 見かけない顔だが・・・」

 
 青年が頭をかいて大欠伸をした・・・そして「面倒臭いけど」と小さく言った


 「突然ですが死んでもらいます」










 同時刻 タマムシシティの横、7番道路





 「図鑑所有者No003 マサラタウンのブルーと・・・
 元・図鑑所有者No004 トキワシティのイエローで間違いないかしら?」

 フライゴンに乗った赤髪の女性がにっこりと微笑んだ

 
 手に大荷物を抱えている二人は顔を見合わせた、どちらもまるで知らないといった顔
 フライゴンから降りてきた女性が二人の前に立ちはだかる、一応返事をしておくことにした

 「そうですけど・・・?」

 「あなたは誰かしら?」

 「テスト開始♪」










 同時刻、ワカバタウン





 「バクたろーう!!」

 「メガぴょん!!」

 「オ、オーダイルッ!!」


 三人の悲鳴に近い叫び声と共にポケモンが地に伏した
 慌てて三匹に駆け寄るのを冷たい視線がその動きを強制的に止めさせた


 「図鑑所有者No005 シルバー、適正アリ
 図鑑所有者No006 ゴールド、合格
 図鑑所有者No007 クリスタル、不合格と見なす」


 燃え上がる研究所を背中に軍服の男はまだ三人を睨み続ける
 たまらずゴールドが叫んだ

 「テメェ・・・一体何者だっ!!?」





 「・・・ジーク、『The army of an ashes cross』の四大幹部が一人」





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