〜ぷろろーぐY・オドロキ〜
「・・・『力』と『情報』とはどういうことだ?」
『フム、それを今から説明しよう、だから・・・ちょっと体を触らないでくれるかい?』
彼・・・ヨルノズクが登場してからというもの・・・ずーと、この調子なのだ
「隠しマイクね、きっと・・・それとも着ぐるみ? なら良くできてるわね、コレ」
「カメラ、カメラ・・・TVカメラ・・・ドッキリだろうぜ」
「しかしだな・・・ここまで常識を破るとはな」
「どうなっているのかしら? ・・・生物学的には・・・」
『ガイド』と名乗ったポケモン、その『ヨルノズク』は困っている・・・当然だろう
だがブルー達の行動も好奇心という点では当然であるし、止めるのは難しい
そしてこの検証に参加していないのは、イエローとレッドそれとグリーンだけだった
「・・・イエロ−はどうして参加しないんだ?」
「慣れてますから・・・意志を読み取ったりしますし」
「・・・そっか、そうだよな〜・・・・・・ってオイ、お前らもいい加減にしろよ」
「・・・・・・高く売れるわ、タンバの町のマニアならきっと高値で・・・」
「TV出演間違いなし・・・フフフフ」
・・・・・・なんだか好奇心とは別のものが芽生えつつあるようだ、当初の目的からずれている
なんだか目つきのおかしい二人をヨルノズクから引きはがすと、やっと説明できる状況になった
『改めてはじめまして、ガイドと言う・・・とりあえずこれからは「シショー」と呼んでほしい』
「それはいいから・・・とりあえず何故ポケモンが喋れるかを説明して貰いたい」
グリーンが至極もっともな質問をした、ガイドがうなずく
『いいだろう、だが・・・まずは「情報」が優先だ。
情報とは『The army of an ashes cross』のことについて、そして君達の言う魔法についてだ
・・・正確に言えばあれは魔法では無い、それらは「トレーナー能力」というものなんだ』
「「「「「「「とれぇなぁのうりょくぅ???????」」」」」」」
妙にハモった・・・無視してガイドが続ける
『・・・トレーナー能力とはその個人個人が持つ不思議な力のことだ。
そしてそれらの能力は個人の生まれ育った環境や性格も左右されるんだ。
様々な力はあるが共通しているのは「ポケモンに関すること」と、それだけなんだ』
「わけわかんねぇよ・・・もう少し詳しく教えてくれッス」
『更に詳しく説明するとだ、それらの能力は大きく分けてふたつ。
「ポケモン」への能力か、「トレーナー自身」への能力か』
ガイドが器用にクチバシで木の枝を拾い、文字を書き始めた
「ポケモン」への能力 『戦闘』『育成』『回復』『孵化』『技・威力』『タイプ相性』etc・・・
「トレーナー自身」への能力 『指示』『捕獲』『防御』etc・・・
「・・・例えば・・・どういうことなんだ?」
『「ポケモン」への能力の場合、手持ちポケモンに何らかの影響を与える力のこと。
・・・例えば「技・威力」ならば「手持ちポケモンの炎タイプの技の威力が上がる」。
「トレーナー自身」への能力ならば「指示」では「半径100m以内ならばいかなる状況下でも指示が伝わる」。
などといった「ポケモンに関するならば何でもあり」に近いトレーナーに備わる不思議な能力。
それがトレーナー能力で、ポケモンで言えば「特性」近いモノのことだ』
「はぁっ!!? なんじゃそりゃあ!!?」
『更に「トレーナー能力」を身につけると一般トレーナーとは比べものにならない程の・・・様々な「特典」が得られる』
ガイドがまた器用に文字を書いていく・・・普段ならあまり想像できないような場面だった
特典1 トレーナー能力による違い・・・これにより様々な差が出る
特典2 育ち方の違い・・・一般トレーナーより早く強く育つ傾向がある
特典3 技の違い・・・トレーナー能力とポケモンの個性の融合、『特能技』を使えるようになる
特典4 戦闘中の違い・・・時々引き算が足し算になる
特典5 珍しい違い・・・能力者1000人の内1人居るか居ないかの確率で、ポケモンの外見や内面的能力が変化する
デメリット1 特殊な状況下でないと能力者同士、または一般トレーナーとの交換、通信交換が出来なくなる
デメリット2 誰でも能力者になれるわけではない、才能と努力が重要
「こりゃ・・・敵うわけないでしょーが、こんなに違いが出るのか!!?」
「特典4が良くわからないんですけど・・・」
イエローがぼそりと呟くのを敏感に聞き、ガイドが言いながら地面に書き出す
『「かえんほうしゃ・威力95・炎」と「バブルこうせん・威力65・水」が激突するとしようか。
・・・どちらが強いか、また負けた方は何ダメージくらうのか・・・ゴールド答えてみてくれ』
「俺が!!? まぁそりゃ・・・『タイプ相性』で水が2倍で勝ちは「バブルこうせん」でしょ。
くらうのは・・・130−95=35が負けた方にくらうんッス。
・・・っていうかもうシショーは俺の名前を覚えたんッスか」
『その通り、では能力者が「かえんほうしゃ」、一般トレーナーが「バブルこうせん」だった時はどうなると思う?
じゃあクリス、答えて』
「私ですか・・・普通ならゴールドの計算通りですよね?」
『ウン、その通り・・・じゃあ「逆」ならどうなると思う? 今度はイエロー!!」
「ええと・・・能力者さんが『バブルこうせん』で一般トレーナーさんが『かえんほうしゃ』ですか・・・」
イエローがしばし考えこむ・・・首をひねるが、結局「同じじゃないんですか?」と言った
『違うんだ、足し算になるんだ・・・タイプ相性などで威力が劣った時、時々そういった現象が起こる。
つまり勝った技が負けた技の威力をのみこんで、相手にそのまま返すんだ』
こういうこと
通常 130−95=35・・・これが負けた方がくらうダメージ
一般トレーナーが相手、もしくは能力者同士の時
能力者が勝った場合 130+95=225・・・これが時々起こる現象
「信じられない・・・卑怯よ、反則よ、そんなの!」
「・・・・・・似てますね、ブルーさん。 リサさんとの戦いと」
ブルーがうなずく、タイプ相性を蹴散らしたのはこれおかげだったのかもしれない
同じくレッドとグリーンもうなずきあった・・・思いだす「死んでもらう」の意味
「ディックの言っていた意味は・・・これだったのか?」
「確かに・・・下手すれば死ぬぞ、こんなに危険なのか・・・能力者の戦いは」
『・・・ひどいものだろう?
一般トレーナーと能力者では天と地以上の差が出るんだ』
「こんなのに・・・どうやったら敵うんですか・・・私達」
そこまで言って皆がハッとした・・・ガイドがコクリとうなずいた
『そう・・・能力者を倒すためには君達もまた自らの能力を目覚めさせるしかない。
君達には才能があって、そしてその為に・・・僕は君達の元に来たんだ・・・』
そんな彼らの様子を・・・遥か後方の木の上でのぞいている男が居た
そして同じくして灰色のジャンパーを着ていた、おそらくは・・・
「ヒュ〜♪ 見つけたぜ、四大幹部の言ってた通り・・・マサラに集まってやがったぜ。
しかし、この俺様が追っ手だとは運のない奴らだ・・・そう!
この『幹部候補・ブレイド』様がな・・・ククククク」
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