〜ぷろろーぐZ・キシュー〜




 「ア、アタシ達が能力者にぃっ!!?」

 「って、てゆーか・・・なれんのか?」

 『なれる、この僕が保証する』


 いきなりの提案に皆が戸惑う・・・そんななかでグリーンが一歩前へ出た

 「聞きたいことがある」

 『どうぞ』

 「奴らの目的は何だ? そしてお前の目的は?
 そして、これが重要だ・・・何故、俺達を選んだ」

 「そういや・・・あいつらどうしてジョウト地方を? オーキド研究所らを襲った理由って?
 そして何よりシショーがどうして俺達にここまでしてくれるのか・・・教えてくれッス」

 ガイドは黙った・・・しばらくの間沈黙があったが、ゆっくりと言った





 『・・・・・・「ゲーム」さ』

 「え?」

 『奴らにとっては全てゲームの内なんだ、ジョウト、カントー地方制圧というね。
 そして君達はそれを阻止しようとする「悪役」的存在になるか・・・テストされたんだ』





 本日何度目の沈黙だろうか・・・だが、そんなことはどうでもいい


 「・・・・・・ふざけんじゃねぇぞ、人の生き死がゲームかよ、平穏に暮らしていた人々に・・・
 ちくしょう!! あいつらは何様のつもりだ!!」


 ゴールドが静かに・・・激しく言った、皆はまだ信じられないと言った顔だった
 
 『君達の活躍、実力は周囲の誰もが知っていることだ。
 悪いけれど、それでも・・・詳しく調べさせて貰った。
 そしてわかったこともある、そう・・・イエローとゴールドはすでに能力者だ』

 「「!!!!??」」

 『それも使い方を誤れば恐ろしいね・・・イエローの場合は『トキワの癒し』という、代々伝わるもの。
 ゴールドは孵化の能力だが詳しくはわからない。
 ・・・考えたことはあるかい?
 イエローの能力は使い方しだいでは、やられてもやられても立ち上がる脅威の不死軍団となる。
 ゴールドの孵化の力は意志をすりこませることが可能・・・死を恐れないと吹き込めば・・・』

 「そんな風に・・・考えたことありません」 

 イエローが涙目になる、さすがにガイドも『言いすぎた』と謝った

 『・・・つまりどんな能力でも使い方次第と言うことだ』

 「じゃあ・・・不合格って? 俺達は能力者にはなれないってコトか?」

 『そうじゃない、オーキド博士に言われた「トレーナー能力」では無いという意味だろう。
 つまりレッドは「戦う者」という「トレーナー能力」じゃない、だから能力者じゃない=不合格なんだろう」

 「適正アリって言うのは・・・はずれてはいないが、まだ能力者じゃないってことか?」

 『さぁ? それは何とも・・・』

 
 ガイドの言葉・・・ゲームという言葉が頭の中でぐるぐると渦巻いた、イエローが言った

 「普通は・・・違いますよね? ボク自身、あんまりゲームしたことがないんですけど。
 ・・・大体が・・・そのぅ・・・・・・」

 「イエローの言いたいことはわかるわ、確かにそうね・・・。
 けど奴らにとっては「ジョウト、カントー地方制圧ゲーム」ならば、アタシ達の方が悪役になる」

 「・・・俺達は正しいんですよね? シショー・・・」

 『ああ、これはまさしく黒とも白ともつかない「灰色の戦争」・・・「Gray War」だ』

 「どちらが悪役でどちらが正しいのか・・・今までの戦いも考えればそうだったんだな」


 突然の発言に皆が戸惑う・・・戸惑いっぱなしの一日だった気がする
 グリーンがしばし考えこんでいると、レッドが言った

 「・・・ガイドは俺達に奴らを止めて欲しいのか?
 なんか・・・あいつらとお前の間に関わりがあったんだな?」

 『・・・・・・』

 「レッドさん・・・言いたくないのかもしれません、あるでしょう?
 誰にでも・・・そういうことは」

 「けどな・・・こればっかりは・・・」


 また沈黙がおとずれた・・・・・・妙な間だ
 ガイドが口を開こうとしたのをイエローが止めた、皆に言った

 「・・・話したくなったらじゃ駄目ですか?」

 たったそれだけだったが・・・深く心に響いた、レッドがため息をついた

 「負けたよ・・・その代わり別のことを聞きたいんだけど・・・」

 『ん・・・いいとも』

 「四大幹部ってなんだ?」

 『彼らのことか・・・四大幹部とは・・・名の通り組織の中の大きな力を持つ最高幹部だ。
 彼らはそれぞれが「方位」を司り、それに合わせた色の服を着ていると聞く。
 そして高い戦闘能力と頭脳を持つ・・・恐ろしい相手だ』

 ・・・そういえば・・・確かに色の服を着ていたようだが、髪の色もそう言うことだったのか?

 「んじゃ、ディックが・・・青、青龍の『東』を司るのか」

 「リサは赤、『南』ね・・・朱雀かしら?」

 「ジークの野郎は白だから・・・・・・クリス、何だっけ?」

 「白虎、『西』ね・・・てことは・・・」

 「一人足りませんね、『北』の玄武さんが・・・」

 「玄武は『四聖獣』の長老と言われている、色は黒」

 「・・・シルバーの言うとおりだ、すなわちリーダー格と見ていいだろう」

 『彼らの能力は組織の中でも、他に類を見ないまでに鍛えられているそうだ。
 その能力、手持ちポケモン、素性も殆どが謎に包まれているそうだ』

 
 皆の話を聞いて、レッドがポンッと手を叩いた

 「あ、そうか・・・だから『灰十字の軍』かぁ」

 「洒落のようなモノだったらしいな・・・方位で十字とは・・・」

 「どうせ『ゲーム』としか思えない連中だもの・・・仕方ないんじゃない?」

 皆がプッと笑い出した、久々に笑った気がする・・・
 まだ昼過ぎなのに・・・もう何日も過ごした感じだ


 イエローが笑っていると、ふと・・・がれきが動いた気がした
 ・・・があまりにも皆が楽しそうにしていたので、スグに頭の中から消えてしまった


 


 「で、これからどうするの?」

 「修行でしょ、やっぱ・・・シショーは俺とイエローさん以外も能力者になれるっつーし。
 なぁ? 皆も賛成だろ?」

 「残念だがゴールド、俺はまだコイツのことを信じたつもりはない」

 「「「「「!!!!!!!!!!?????」」」」」

 「実はアタシも・・・今一歩踏み出せないのよ、どうにもね・・・信じたいんだけど」


 何だかまた嫌な雰囲気なってきたようだ、本当に嫌な雰囲気だ

 『こういうことは多数決で決めるべきではない、じっくり話し合って欲しい。
 修行となれば辛い思いもする、楽になれるモノじゃないしな・・・』

 「それにしても・・・さぁ、グリーンもブルーも・・・ちょっとは素直になれよ」

 「そうですよ・・・・・・アレ?」

 
 まただ・・・何かが動いた、その瞬間・・・がれきの下から何かがイエローに襲いかかってきた


 「・・・・・・う、うわああああああああああ・・・」

 「!!? イエロー・・・あ、危なぁーい!!」





続きを読む

戻る