〜ぷろろーぐ[・ぶれいど〜
「・・・・・・う、うわあああああああ・・・」
イエローの悲鳴に皆が反応したが・・・誰一人間に合わなかった
そう・・・誰一人として・・・
嫌な音が響き渡った・・・長い身体、それは『アーボック』だった
がれきの下を這いずり、潜んでいたのだろう・・・
『イエローッ!!』
そう誰一人として間に合わなかった、人ではないシショーだけが間に合った
イエローを一瞬で押して、そのアーボックの毒牙を代わりに受けた
「・・・・・・え?」
『良かった・・・無事のようだ・・・ね』
ぐらりとシショーの身体が倒れる、それはスローモーションのようにゆっくりと・・・
「・・・失敗か、まぁいい・・・戻れっ! アーボック!!」
声の方を見ると見知らぬ男が立っていた、アーボックがその男の元へと戻っていく
イエローは起き上がってガイドの様子を見た、ひどいケガだ・・・毒にも冒されているようだ
「・・・い、いやぁ〜〜〜!!」
「落ちつきなさいっ! イエロー!! アンタのトレーナー能力とか何とかで回復させるのよ!!」
ブルーの言葉でハッとした、そうだ・・・ボクの力なら・・・
イエローとシショーの辺りがポウッと明るくなった、これならスグに回復するだろう・・・
ブルーはその男の方へ向き直った、油断は禁物だ
「テメエ・・・ウチのシショーになにしやがる!!」
「・・・随分と変わったニックネームだな、まぁ死ねばそんな名前の意味もなくなるだろう」
その男の服装をよく見てみると・・・灰色のジャケット、黒髪、三色の腕輪・・・
まさか・・・・・・四大幹部最後の男!!?
「貴様は『The army of an ashes cross』の団員のようだな・・・」
「団員!!? 莫迦を言うな、俺様を下っ端と一緒にするな。
俺様は『幹部候補』・・・格が違うんだよ、名はブレイドという。
・・・テメエらの冥土の土産にはもったいねぇぜ」
「(・・・違った、けど・・・幹部候補って?)」
でも・・・違うならそれで良い、後はどうやってこの場を逃げ出すかを考えれば・・・
「ブレイドか・・・相手になってやる、かかってこい!!」
ブルーの口があんぐりと開いた、レッドの手をぐいっと引っ張って小声で話しだした
「何言ってんのよ、アンタ・・・相手は能力者でしょ!!?」
「じゃ、逃げるのか? シショーがあの状態じゃ逃げられるわけないだろ?」
「でも・・・」
「心配すんな、イエローの回復が終わるまでだ、あの調子ならもうスグだ。
それまで男4人で時間稼ぎ、お前らは万が一のことを考えてイエローを護ってくれ。
んで、シショーの回復が終わったら全員一斉に『そらをとぶ』で逃げる・・・なんとかなる」
「・・・・・・ふ〜ん、アンタにしちゃ上出来の考えね。
でもかなうの? 相手は『幹部候補』だって、わけわかんないけど・・・強そうよ?」
「・・・戦う者としては退けない」
「そっ・・・グリーン達にも気をつけてって言っておいてね」
ブルーが素早くイエローの方へ走っていった、クリスもつられて走る
それを確認したのかグリーン達が一斉にポケモンを出した、まだ何も言っていないのに・・・
「お前の考えるコトなんてお見通しだ、時間稼ぎだろ」
「ジーク以上の実力は持っていなさそうだ・・・戦おう」
「先輩、早くポケモンを出して下さいよ。 ・・・全員一斉攻撃です」
「・・・・・・お前ら・・・人のセリフ、バンバン取りやがって・・・コノヤロ」
だがレッドの顔は嬉しそうだ、レッドがボールに手をかけた
「いけ! ブイ!!」
「頼むぞ、ハッサム!!」
「ニューラ、姉さんには指一本触れさせるな!!」
「よっしゃ、バクたろう! さっきの雪辱戦といこうぜ!!」
それぞれのポケモンにやる気がみなぎっている、ブレイドはにやりと笑った
「・・・4対1は俺様でもきつい、こちらも・・・もう1体出させて貰う」
そういって出てきたのはカイリキーだった、何の変哲もない・・・
となれば相手はアーボックとカイリキー、実質上2対1・・・だが・・・
グリーンが小声で話しだした
「俺達は逃げるのを前提に戦う・・・が、勝てる分には越したことはない。
カイリキーに向けて3体でいく、3対1に引き込み、アーボックは1体で防御にのみ集中し撤する。
カイリキーを倒した後、生き残った者はアーボック戦へ回る・・・以上だ」
「いいッスね、じゃ・・・俺がアーボックを引き受けます」
「悪いな・・・頼んだぞ、無理はするな」
先程から内緒話を繰り返しているレッド達に少しイライラしているようだ、ブレイドの声が荒い・・・
「どうした? バトルを始めるぞ・・・出来たらなっ!!」
一方イエローの方は・・・様子がおかしかった
「(・・・・・・おかしい・・・)」
「頑張ってイエロー!!」
「・・・向こうも始まるみたいですね、また・・・あの嫌なバトルが」
シショーに手をあて回復を続けながら・・・イエローはレッド達の方を見た
嫌な予感がする・・・こういう予感は当たるものだと、誰かが言っていた気がする
「(・・・当たって欲しくないな、それにしても・・・変だ)」
さっきから眠い・・・予想以上の深手で、自らの気を与えすぎたのかしれない
でも・・・それでも毒は抜けないし、傷も治らない・・・それどころか体温がみるみる下がっているようだ
ブルーも異変に気がついたようで、とっておきの『かいふくのくすり』を使ったが効果がない・・・
「・・・・・・どうなっているの?」
「お願いです、治って・・・」
異変は向こうにも伝わったようだ、どうやらまずい状況になってしまったようだ・・・
そんなことなど・・・とっくに知っていたのか、ブレイドはイエロー達を見て言った
「あの小娘が回復能力者だったのか・・・だが、まだまだ『レヴェル』が低すぎるようだな」
「・・・・・・レヴェルだって?」
イエローがとうとう悲鳴に近い声を上げた、ブレイドがにやりと笑った
「駄目です!! 回復しません・・・このままじゃ・・・シショーが死んじゃいますっ!!」
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