〜ぷろろーぐ\・タビダチ〜




 「シショーが!!? イエローさん、どうしたんだよ!!?」

 「アタシにもわかんないの、イエローはいつも通りのハズなのに・・・」

 「戦いの前にお喋りとは・・・随分と余裕だな」


 ゴ−ルドがびくっとまた向き直る、そうだ・・・そうだった
 相手は能力者・・・下手すると死ぬんだ、そう言い聞かせた
 レッドが叫ぶように言った


 「レヴェルってなんのことだ!!」

 「知らないのか? 『能力者によるダメージ等は能力者にしか回復出来ない』。
 あのイエローとか云う小娘は成る程、一般トレーナーの傷は治せるようだが・・・能力者の傷の回復はまだ無理
 つまり・・・能力者としてのレヴェルが低すぎる、と云うことだ」

 「!!? そんな・・・じゃあこのままじゃシショーは・・・」

 「ま、ポケモンセンターに行けば回復は可能だが・・・俺様が行かせると思うか?」


 『能力者によるダメージは能力者にしか回復出来ない』・・・なんてことだ
 ポケモンセンターに行けば治せる・・・やはり倒すしかないのか、だが・・・勝てるのか?
 否。 勝たねばいけない・・・最初の関門だ

 「よし・・・行くぞ」

 「うぃッス!! 先輩」

 「フン・・・やるか」

 「ゴールド、足を引っ張るなよ」

 「トレーナーはやる気があるようだ・・・がな、ポケモンは駄目のようだな」

 
 全員がハッとしてみた、震えている・・・皆・・・何かにおびえるように
 ブレイドがクククと笑った

 「・・・ポケモンは正直だ、俺様にかなわないと瞬時に理解したようだな。
 言ったろう? 『出来たらな』と。 さて、今度は・・・・・・トレーナーが賢くなる番だ」


 途端にもの凄い圧迫感に襲われた、息が・・・できない
 ポケモンが次々に倒れていく・・・信じられない、バトルすら出来ずにやられるのか・・・俺達は


 クヤシイ・・・これが能力者・・・イマノママジャ・・・ケッシテカナワナイ


 シルバー、ゴールド、グリーン、レッドの順で倒れていく、起きあがれない
 まるで・・・何かにのしかかられているようだった、これがヤツの能力なのか・・・?


 そして・・・そこでレッド達の意識が途切れた、ブルーとクリスが立ち上がった
 イエローも立ち上がろうとしたが、ブルーに止められたのだった


 「アンタはシショーの回復に専念するの、レヴェルの話なんて無視してやりなさい。
 あのレッド達がやられたんだもの・・・アタシ達じゃ敵うわけない」

 「それでも・・・イエローさん、ここは私達がくい止めます。
 回復が終わったら・・・逃げて下さい、逃げて・・・」


 ブルーとクリスがブレイドに立ち向かっていく、イエローは止めることが出来なかった
 出したポケモンが皆・・・何も出来ずに倒れていく、信じられない光景だった


 これが幹部候補・・・四大幹部はどれほど強いのだろう、絶望的なイメージが湧いては増える
 そしてとうとうイエローだけがその場に・・・残ってしまった


 「あと一人か・・・とりあえず潰れてもらう、トドメは皆一緒にやってやる。
 その鳥もろともに・・・さぁ・・・受けろ、我が力を・・・!!」





 ウスレユク・・・イシキノナカ・・・イエローガサイゴニミタキオク





 イチジンノクロイカゼ・・・サッソウトアラワレタナゾノヒト


 ナゾノヒトハ・・・ぶれいどニタチムカッタ・・・ダレナンダロウ





 アーボックVSアーボック   カイリキーVSカイリキー





 ウスレユク・・・イシキノナカ・・・イエローガサイゴニキイタコエ


 「ひどい・・・キズ・・・」

 「この程度・・・・・・には無意味・・・」

 「・・・りはいつ・・・・・・もらうぞ・・・」










 そしてイエローが眼を覚ました時には、倒れたはずのレッド達が皆起き上がっていた


 「・・・あれ? えーっと・・・・・・そうだっ!!  ブレイドって人は!!?」

 「・・・・・・さぁな、俺達が起き上がった時にはもう・・・誰もいなかった」

 「誰かが俺達を救ってくれたことは・・・確かだがな」

 皆表情が暗い、完全な敗北・・・しかも立て続けに
 イエローはハッとなった、そういえば・・・そういえば!!

 「し、シショーさんは!!?  ボク結局治療が出来なくて・・・そんな・・・そんな・・・」





 『呼んだかい? イエロー』

 「・・・・・・え?」

 瀕死状態だったシショーが・・・ひょっこりと出てきた
 ボクの能力じゃ治らなかったキズも治っている・・・どうして?
 もしかして・・・アレは夢じゃなかったの・・・いったい誰が・・・
 イエローは思いっきりシショーに抱きついた、思わずよろけたが・・・イエローは離れない
 くやしくて、でも・・・助かって・・・涙が溢れてくる


 『お、おいイエロー!!? ちょ、どうしたのさ!!?』

 「良かった・・・本当に・・・」

 シショーやイエローの様子を見て、グリーンが言った

 
 「シショーとやら、俺達はお前についていくことを決めた。
 奴らに勝つためなら・・・お前が敵であろうと何であろうと構わない。
 ならば、利用するだけ利用してやる。 ・・・いいな? 皆・・・異存は?」

 
 レッドがにやりと笑った、そして言った

 
 「異存もなにも・・・反対してたのはお前らだけだぜ、なぁブルー?」

 「そうそう」と相づちを打つゴールドに、ブルーがため息をついた

 「・・・・・・いいわ、やってやろうじゃないの。
 このまま引き下がったら女がすたるわ、強くなってリベンジするわよ・・・」


 皆が手と手を重ねだした、レッドが気合いを入れた


 「奴らを止めるぞ、皆を救うんだ・・・俺達の能力で!!」

 「「「「「「おーーーーーーっ!!!!!!」」」」」」





 焼け野原となったマサラで旅支度を調える、ゴールドがガイドに尋ねた

 「シショー、修行って何処でやるんッスか?」


 ・・・シショーはマサラの南の方角、『21ばんすいどう』を見て言った


 『島だ』










 「・・・ブレイドが何者かにやられたそうです。 ディック様」

 「・・・・・・」


 ここは奴らのアジトだろうか・・・灰色の立方体のような部屋にディックとその配下の女性がいた
 この反応は・・・いや、ディックのことだし・・・間違いないだろう


 「・・・起きてください、寝てる場合じゃありません」

 「・・・・・・寝てないよ・・・ZZZZZ・・・」

 「ブレイドの始末はどうしますか?」

 「・・・・・・ジークに任せるよ、面倒臭いしね・・・ZZZZZ・・・」


 寝ているんだか、起きているんだか・・・女性がため息をついた
 そしていきなりディックが立ち上がった時には、心臓が止まるかと思った


 「・・・ブレイドがね・・・面白くなってきたじゃないか。
 俺達はここにいる、そう・・・お前らが届かない場所、能力者の高みでね。
 お前らがもし、ここまでたどり着けたら・・・そのときは・・・」

 ディックはくるりと向き直り、にやりと笑った




 「相手になってやるよ、面倒臭いけどな・・・」





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