強くなりたかった、何かを守る為に・・・・・・
大切にしているものを奪われない為に・・・・・・

どうやっても前に突き出しちゃう くせっ毛

鍛え過ぎでとんでもない力が出ちゃう体

そして、友達からもらった今はたった一人のポケモンを連れて、

私の旅が始まったの・・・・・・・・


1、クリスタル・EGC

春と夏の境目、今日は少し暑いくらいの日、
あたしは 引越しのトラックの中にいた。
「あぁ〜つぅ〜いぃ〜!!」
そう、かれこれ5時間以上も このせまっくるしい空間にいるの、あたし。
おまけに、気温は25度!!
人間のいられる空間じゃないわよ、まったく・・・・・・

「もう少しなんだから辛抱しなさいよ、クリス!!」
クリスっていうのは あたしの名前。
本当は『クリスタル・イヴニング・グロウ・カラー』っていう名前なんだけど、長いでしょ?
だから略して『クリス』!!
みんな そう呼んでいるんだ。


「ねえ、おかあさん・・・・・これから 行くとこってどんな所?
 そこに 住むんでしょ、辺ぴなとこだったらや〜よ!!」
「空気の きれいな所よ。」
「田舎町ってことか、おとうさん、左遷(させん)させられちゃったわけね・・・・・」
「クリス!!」

そう、『引越し』って言うのは、おとうさんの仕事の都合なのよ。
なんだか、ポケモンの研究とかやってるらしいんだけど、あたしはよくは知らない。
それよりも住み慣れた街を離れて、友達との距離が遠くなっちゃうことの方が、あたしにとっては重要だった。
少なくとも、今は。

あたしの手元で ころころ転がっている物を あたしは掴んだ。
上は赤で、下は白、これなんだ?
答えは、モンスターボール、こんなちっちゃい中にポケモンを閉まっておけるスグレモノ。
「結局、今の友達はあんただけか、ポコ。」
で、『ポコ』は引越しの前日に、友達からもらったポケモン。
種類は、『ポリゴン』なんだけど、もらったときに、なんだか『進化』しちゃったみたいなのよね。
何て言ったかな・・・・・・?


「そうだ、おかあさん、これから行く町の名前、なんて言うの?」
田舎町っていっても、町の名前くらい知っておかないと、住所書くとき困るもんね。
家出したときにこっそり連絡入れるときとか・・・・・・
あ! 冗談だってば、本気にしないでよ?
「ねぇってば、おかあさん、町の名前は?」
「『ワカバタウン』よ。」
「ふーん・・・・・・」


窓から吹き込んでくる新しい風を体で感じながら、
あたしは 近づいてくる町を見つめていた。
ワカバタウン、そこが、あたしにとってどれだけ大事な町になるのか、
あたしは、まだ、分かってなかったのよね・・・・・・・



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