3、6月1日


「えーっと、ここの角を右に曲がって、後はまっすぐ300メートル・・・・・」
今、あたしは 一昨日会った女の人の家を探して歩いている。
この町、やたら広いんだけど道は難しくないから、そろそろ着きそう。
「ふふっ、ポケモンがいっぱい、か。 どんな家なんだろうね!!」
「キュイン!!」
あっ、今の声は あたしのポケモン、『ポコ』!!
種類はポリゴン2、ナマイキだけどこれでも仲はいいの。
引っ越す日に、友達からもらったのよ。





「えーっと、この家、かな?」
みどり色の屋根に、薄い水色の壁、なかなか可愛い家が1軒、ぽつんと建っていた。
でも、周りを見渡してもドアのチャイムらしい物は、見つからない。

・・・・・・しょうがない!!
「すぅ!!いぃ!!まぁ!!・・・・」
「あら、いらっしゃい!!」
あたしがしゃべり終わる前に 一昨日の女の人がドアの間から顔を覗かせた。
肩透かしを食らって、あたしはひっくり返りそうになる。
「え、なんであたしが来たって・・・分かったんですか?」
「ふふ、うちのポケモンが察知したのよ!」
女の人の足元で、黄色いポケモンが寝息を立てていた、確か、『ケーシィ』っていうポケモン。
エスパータイプだから、その能力でわかったってトコかな?

あたしは ポコと一緒に 女の人の家のなかに 招待された。
中は こざっぱりとしていて、人1人住むにしてはかなり広い。
「そういえば、まだ名前、聞いてなかったわね。」
女の人がハーブティーを 淹れながら聞いてきた。
「はい、あたし、クリスタル・・・・・・クリスっていいます!!」
「そう、クリスちゃん、あたしは『サニー・リーブス』!!
 でも『おばさん』って 呼んじゃっていいわよ!!」
頭のなかで、『??』マークが浮かぶ。
「サニーさんずいぶん若いじゃないですか、どうして・・・?」
「おばさんにもね、クリスちゃんと同じ位の年の息子がいるのよ。
 ほら、そこの写真立て、そこにいるのが私の息子。」
少し、淋しそうな表情で サニーさんは答えていた。
焼き立てのクッキーを出して、ハーブティーを持ってきたサニーさんは 机の上にある木枠の写真立てを指差す。


写真のなかにいた少年は 屈託(くったく)無い笑顔でこちらに笑いかけていた。
どこまでも『純粋』を追い求めたような、黒い髪に黒い瞳。
「優しそうな男の子ですね。」
「でしょ、あたしの自慢の息子なのよ!
 ま、もう少しやんちゃでもいいんじゃないかって、よく思うんだけどね。」
あたしはもう1度、写真のなかの少年を覗きこんでみた。
初めてサニーさんを見たとき、その黒い瞳を綺麗だって思ったんだけど、この少年の瞳はそれ以上。
何かを混ぜて黒くしたんじゃなく、まるで墨(すみ)みたいに、本当に『黒』。
「すごいのよ、ゴールド。
 ポケモンと長く付き合ってると、そのポケモンの言葉、理解しちゃうんだから!!」

・・・・・・・・・へ?

「ポケモンの言葉を・・・・理解する?」
出し抜けにサニーさんが あたしには理解しがたいことを言い出したもんだから、
あたしは思わずオウム返しに聞き返しちゃった。
「そう、こんなポケモンだらけの環境に生まれたときからいたせいかしらね、
 1年くらい一緒にいると、そのポケモンの言葉が分かっちゃうのよ!!」


な、何者なんだろう、サニーさんの息子って・・・・・・



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