73、11月22日


「さあっ、行きますか!!」
あたしは 手首に付いたモンスターボールを握り締めると、勢いよく会場へと駆け込んだ。
11月22日、午後1時30分。
ポケモンリーグ、第2予選 第2試合がある。
意外にも、第1試合はあっさりとストレート勝ちしてしまった。
この調子で上手くやっていけるかどうか、あんまり自信はないんだけど・・・・・・

『皆様、お昼の休憩は終わったでしょうか?
 ただいまより 第2予選、第2試合を始めます!!!
 次の対戦者はなんと、2人とも女の子!! Mブロック代表、大人っぽい魅力で相手を惑わします! ステージネーム、ミサキ選手!!
 対するは、Pブロック代表、風の町の元気少女! ワカバタウン出身のクリスタル選手です!!!』

今回の実況の人は女の人だった。
対戦者2人が女、実況も女、第2予選まで勝ちあがってきた女の人が たった4人しかいないことを考えると、ずいぶんおかしな状況な気もするけど、
たまには、そんなこともあるんだろう。


とりあえず、メンバーとしては、第1試合で頑張ってくれたポコをお休みさせて、
オズとスズノをのぞいた6匹(ワニクロー、ヒメ、モコモコ、グレン、みぞれ、トゲリンのことね)を戦わせることにした。
もう1度、ボールの中のポケモンたちの体調の最終確認を終わらせると、あたしは相手サイドを見据える。
「よろしく。」
相手の『ミサキ』さんは、あたしが睨んでいることに気付くと、にっこりと笑ってあいさつした。
つられて、あたしも軽く頭を下げる。
こういうのって、妙に調子が狂っちゃうんだけど・・・・・・

『両者とも、スタンバイが終わったようですね。
 それでは、第2試合、始めます、 ポケモンバトル・・・READY、GO!!!』

「ヒメ、出番よ!!!」
あたしが ヒメグマのヒメをモンスターボールから出してやると、ヒメはずいぶんと張りきってくれていた。
どうも、久々にバトルが出来るというのが、楽しくって仕方ないらしい。
「がんばりましょうね、フィーブ!!」
相手のポケモンは いつつぼしポケモンのレディアンだった。
あまり、ポケモンリーグに出てくるようなポケモンでもない気がするんだけど・・・いったい、どういうつもりなんだろう?

「ヒメ、『みだれひっか・・・」
「フィーブ、『リフレクター』。」
見事なまでに、ヒメが攻撃する直前に レディアンはオーロラ色の壁を作り出していた。
一応、ヒメの攻撃も命中したみたいなんだけど、ほとんど、効果をあらわしていない。
「だったら、『だましう・・・」
「『ひかりのかべ』よ、フィーブ!」
「『したでなめ・・・」
「『しんぴのまもり』!!」
・・・・・・先の手を読まれたようで、ずいぶんと腹が立った。
物理攻撃を半分にしちゃう『リフレクター』、その反対に特殊攻撃を半減する『ひかりのかべ』、特殊状態を防ぐ『しんぴのまもり』・・・
これじゃ、何の攻撃をしても、相手のレディアンにろくにダメージを与えられないじゃない!!
「ただの虫ポケモンだと思って油断した?
 フィーブは護り(まもり)のスペシャリスト、単純に攻撃を繰り返すだけじゃ、簡単には倒せないわよ?」
「ゔゔゔ〜・・・・・・」
なんだか、腹が立ってきた。 全然攻撃を与えられない、特殊状態にして 行動をふさぐのもダメ。
それに、なんにもできない、あたし自身にも。
「もし・・・・・・」
「?」
もし、ゴールドだったら、こんなとき、どうするんだろう?
こんな、絶対的にどうにもなりそうもない状況でも、一気に逆転できるんだろうか?


「・・・『努力』と、『ひらめき』・・・あたしの、武器・・・」
ヒメより 相手の方がスピードが上で 先制攻撃は無理。
『りゅうのいかり』が使えるオズは 預けちゃってて戦えない。
「だったら・・・交代よ、ヒメ!!」
ヒメは、一瞬、ものすごぉおお〜く 嫌そうな顔をしたが、『後で出してやる』って、目で合図すると、しぶしぶボールへと戻った。
そのボールをしっかりとキャッチして、入れ違いに あたしはボールを投げる、緑色の、フレンドボール。
中から飛び出したニューラ、みぞれは レディアンの『れんぞくパンチ』を 鋭い爪で受けとめた。
「みぞれっ、『いやなおと』!!!」
みぞれは「にゃ、」と鳴くと、身の毛もよだつような『いやなおと』を起こした。
さすがに、これを『しんぴのまもり』で防ぐことは出来ない、レディアンにも効いているみたいだ。
「・・・くっ、レ・・フィーブ、『れんぞくパンチ』!!」
目一杯の反撃を仕掛けてきたレディアンを みぞれは流れるような動きでかわす。
出会ってから1ヶ月、驚くほどのスピードで このみぞれは成長をとげている。
「みぞれ、『みだれひっかき』!!!」
「・・・・・・レディきち!!」
うまいぐあいに 4発当たった『みだれひっかき』の1撃が急所に当たり、相手のレディアンの体力を削った。
次の1撃、『れいとうパンチ』で 相手のレディアンは完全にダウンする。



「・・・・・・『レディきち』?
 あれ、そのレディアンのニックネーム、『フィーブ』だったんんじゃ・・・」
相手の『ミサキ』さんは 茶色い髪を直すと 冷静さを取り戻したようだ。
手の上でモンスターボールを転がすと、それをフィールドの上へ転がした。 ・・・・・・オコリザルだ。
「ピンキー、『クロスチョップ』!!」
あまりに一瞬のことで あたしが反応できていない間に みぞれは吹っ飛んだ。
倒れているみぞれ、その傷の深さに あたしはぞっとした。
外見からでは 決して分からないけど、あたしの目の前で相手をしている女性、この人、ものすごく強い!

「・・・・・・クリス・・・まさか、こんなに強くなっているなんて、ね。
 面白いわ、私、あなたの強さ、もっと見てみたくなった。」
「・・・ミサキ・・・さん?」
ミサキさんは笑った。
目の前にいるオコリザルと一緒に 戦いの構えをとってみせる。
「さぁ、次のポケモンを出しなさい!!
 あなたの強さを、もっと私に見せて!!!」

74、トリッキー・プレイ


「と、トゲリン、GO!!」
ミサキさんの奇妙な言動に戸惑いながらも、あたしはポケモンを繰り出した。
あたしの様子を見て、ミサキさんは楽しそうに笑っていた。
うぅ・・・どうも、この人の術中にはまってしまっているみたいで、納得がいかない。



「トゲチック・・・ね。
 それじゃ、こっちも 交代しようかしら、モモ!!」
「交代のスキを狙うわよ、トゲリン、『すてみタックル』!!」
トゲリンは 読んで字のごとく まだ開いていないモンスターボールに 捨て身の攻撃を仕掛ける。
上手くいった、そう思った瞬間、トゲリンはまるで、見えないバネに弾かれたみたいに 反対方向へと飛んで行った。
「・・・・・・えっ!?」
飛んで行ったトゲリンを目で追った後、それほどのダメージもないようなので あたしは相手のポケモンに目を向ける。
そこに姿がなく・・・なんてことはなく、相手のポケモンはそこにいた。
まるで、石みたいな灰色をした、あたしのトゲリンそっくりな、トゲチック。
「・・・トゲチック、それも色違いの?」
「珍しいポケモンだからといって、かならずしも それを扱えるのが1人とは限らないわ。
 トゲチック使いも、1人じゃないってこと。」
ミサキさんが 細く白い腕をすらりと天に掲げる(かかげる)と、相手のトゲチックは ふわりと空に舞いあがった。
・・・・・・あたしじゃ、絶対に出来ない行為ね、きたえすぎちゃって 筋肉だらけだもん、あたしの腕。
「と、飛んで、トゲリン!! 『そらをとぶ』!!」
気が付いたように、あたしはトゲリンに指示を出す。
トゲリンは地面を踏みしめると、勢いをつけて空へと飛びあがった。
激しい空中戦が 始まる。

「モモ、『すてみタックル』よ。」
ミサキさんのトゲチックが トゲリンに向かって突進する。
トゲリンは避けようとしたみたいなんだけど、いつもより、何だか動きがにぶってて、跳ね飛ばされてしまう。

――――――だけど、ポケモンバトルをするには 厳しくなるな。

「あ、そうか・・・」
思い出した、シルバーの言葉。 それに、今日の気温が 極端に下がっているっていうこと。
そしたら、あたしが出す指示は ・・・決まった!!
「トゲリン!! 会場の、照明の近くまで飛んで!!!」
まるで その指示が来るのを分かっていたかのように トゲリンは素早く反応した。
目の眩みそうな、真っ白な照明のそばまで飛ぶと、くるりと後ろを向き、相手のトゲチックが追ってくるのを待つ。
「『てんしのキッス』!!」
トゲリンの姿がよく見えていなかった灰色のトゲチックに向かって、トゲリンはキッスをする。
これは、本当に上手く行った。 相手はふらふらとおかしな飛び方をして、一瞬、墜落しそうになる。
「今よっ、『すてみタックル』!!!」
「・・・・・・モモ、『ゆびをふる』!!!」

ものすごい音がして、灰色のトゲチックは地面に叩きつけられた。
茶色い土ぼこりがたっているフィールドの上には、何も見えない。
相手のミサキさんも、トゲチックも、トゲリンも・・・
激しい砂煙にむせこんで、ようやくスモークが晴れたと思ったら、そこにいたのは、金属色のドロドロに溶けた物体と、
ボロボロになって、倒れこんでいるトゲリンだった。
「・・・・・・ウソ、何が起こったっていうのよ?」
まさかと思い、つぶやいた。 ミサキさんが 軽く息をついて その質問に答えてくれる。
「どうも、苦しまぎれに使った『ゆびをふる』で、『だいばくはつ』が出ちゃったみたい。
 これで、お互い最後の1匹みたいね。」
ミサキさんが指で合図すると、フィールドの真ん中にあった金属色の物体は モンスターボールの中に戻ってミサキさんの手の中に入った。
あたしもそれにならい、トゲリンをボールへと戻す。
「・・・まさかとは思いますけど、それ・・・・・・もしかして、メタモン?」
「あ・た・り。
 トゲチックを扱うのに、本物を用意する必要もないってことよ、参考になった?」


「・・・・・・あの、もしかして、あなたはミサキさんじゃなくて・・・」
「それじゃ、最後のポケモンを出しましょうか。
 私の切り札はね・・・この子よ、トータス!!!」
ミサキさんは ずいぶんと使い込まれた様子のあるモンスターボールをフィールドの真ん中へと投げた。
それと同時に、あたしもボールを投げる。 ゴールドからもらった、モコモコのボールを。
ミサキさんの最後のポケモンは 巨大な、威圧感を持ったこうらポケモン、・・・・・・カメックス。
あれは、ミサキさんのポケモンなんだろうか、それとも、また、さっきみたいに別のポケモン?
「相手はデンリュウ♀、レベル差は約20といったところね。
 クリス、私はこのカメックスを交代させないわ、何を使ってもいい、倒して見せなさい!!
 魅せるわよ、私のバトルを!!」
カメックスは何の前触れもなく『ハイドロポンプ』を撃ち出す。
『ハイドロポンプ』は 誰にも当たらなかった、あたしの横をかすめ、観客席の真下のフェンスを撃ち破る。
「分厚い(ぶあつい)鉄板すらも撃ち破る、カメックスの『ハイドロポンプ』・・・
 迷ってられないってことか、モコモコ、相性はこっちが有利!! 『かみなりパンチ』をお見舞いして!!」
反動で一瞬動きの止まったカメックスに向け、デンリュウのモコモコはパチパチ音を鳴らすパンチを振り下ろす。
どうなるのか、はっきりいって予想なんてつかなかったんだけど、驚いたことに、カメックスはモコモコのパンチを受けとめた。
一瞬閃光が走ったけど、あたしが目を開いた後も カメックスは変わらぬ足取りで モコモコを睨んでいる。
「簡単には、倒れないわよ。
 トータス!! もう1度『ハイドロポンプ』!!」
・・・やば、あれじゃ、逃げられない!!
「モ、モコモコッ、『あれ』!! あれやって、あれ!!」
ゔ・・・ポケモントレーナーの指示として かなり失敗かも・・・『こそあど言葉』じゃ、指示なんて伝わらないよぉ・・・

だけど・・・・・・

爆弾が破裂したような、巨大な音で耳がつんざけそうになった。
弾ける水飛沫(みずしぶき)、いっせいに冷え渡っていく 黄土色の地面の上。
「・・・・・・賢い(かしこい)ポケモンみたいね、あなたのモコモコちゃん。」
ずぶぬれのフィールドの上にいたのは、デンリュウから手を離した カメックス、それに、かろうじて立ち上がっているモコモコの姿。
どうやら、分かってくれたみたい、『こらえる』を使ってほしかった、あたしの指示。
頭のいいポケモンを育ててくれた ゴールドに感謝。
「ありがと、モコモコ・・・ボールに戻ってね。」
ボールに戻すって言うのを分かってたみたいに・・・もしかしたら、疲れきって 早く戻りたかったのかも・・・
モコモコはボールへと戻る。

「あたし、こんなところで、負けられません。
 あたしには、どうしても戦いたい、目標にしているトレーナーがいるから!!
 ずっと、そのトレーナーと戦うために旅をしてきたから!!」
使いこまれたボールを手に取る。
こいつが、きっと、勝利をつかむ カギになってくれることを願いながら。

75、美しい戦い


「『レッド』?
 あなたが『戦いたいトレーナー』って・・・・・・」
ミサキさんは いたずらっぽい笑顔で あたしに尋ねてきた。
「違います、レッドは 確かにあたしの憧れ(あこがれ)ではありますけど、まだ、戦いたいとは思いません。
 あたしが戦いたいのは、旅を始めてから、ずっとあたしの前にいたトレーナー、
 ずっと、目標にしてきたトレーナー、未知なる可能性を いつも秘めていたトレーナー!!」


ワニクローを出すと、根性で先制攻撃を仕掛ける。
ワカバタウンにはじめて来た日から、ずっと一緒だったワニクロー、レベルも1番上がってて、あたしの、『切り札』。
力自慢のワニクローは カメックスを持ち上げると 放り投げた。
その一瞬、ミサキさんが動揺したのを、あたしは見逃さない。
「ワニクロー、もう1度『かいりき』攻撃!!」
「今はこっちの番よ!! カ・・・トータス、『あまごい』!!!」
ミサキさんの指示で カメックスは 真上へと向かってものすごい勢いで水を噴射(ふんしゃ)する。
それらは 空高く跳ねあがると、噴水のように落下を始めていった。
冷たい、11月の雨が降り、ただでさえ冷えているフィールドの上を ますます冷たくする。

「う、うぅう〜〜・・・さすがに、ゴールドたちじゃなくても 寒すぎるわよ これわぁ〜・・
 これじゃ・・・・・・・・・!!」
そうだ、ワニクロー!!
『ワニ』ってくらいなんだから、こんなに冷たくちゃ、動けなくなっちゃう!!
でも、そしたら あのカメックスだって・・・
「ワニクロー、とにかく 動き続けて!!!
 体温を下げちゃダメ!!!」
「・・・・・・気付いたみたいね、だけど、変温動物は、動き続けたって、駄目(だめ)なのよ。」
立て続けに撃ち出される『ハイドロポンプ』を ワニクローは走ってかわして行く。
だけど、どんどん動きがにぶってるみたい、あたしの勘は、当たっちゃったんだ。
「ワニクロー、戻って!! 一旦ヒメと交代するわ!!」
ほとんど動けなくなっているワニクローを ボールへと戻す。 代わりに、ヒメを出した、ウチのチームの、暴れヒメ。
いつものことながら、ボールから飛び出したヒメは カメックスへと向かって 1撃。

・・・・・・あれ、だけど、おかしいな?
同じ変温動物なら、カメックスだって、ワニクローと同じようにすぐに動けなくなるはず・・・
確かに、動きは遅くなっているけど、どうしてあのカメックス、戦いつづけることが出来るんだろう・・・レベルの差?

「・・・・・・あっ!!」
ようやく、ミサキさんの作戦のからくりに気が付いた。
ミサキさんのカメックス、常にライトの下に立って戦っている!! あたしがトゲリンの時、そうしたように・・・
照明を使ったんだ、その明かりと熱で、かろうじてでも、戦っていられるんだ!!
「ヒメ、頑張って!! 倒れちゃダメ!!」
一瞬、それまですれ違ってばっかりだったヒメと 初めて心が通じ合った気がした。
ヒメは撃ち出される『ハイドロポンプ』を くるくると踊るように避け続ける。
おかしな話、あの 戦闘意欲の固まりみたいなヒメが、サポートに徹する(てっする)なんて・・・・・・


「よし、交代よ、ヒメ!! もう1度、ワニクローを出すわ!!」
今までで1番、きれいな動きで交代を執り(とり)行なう。
ものすごく、スピードをつけて飛び出したボールから ワニクローが飛び出して カメックスへと飛びかかって行く。
「『かいりき』ッ!!!」
上手くいった。 カメックスが反応できていない間に ワニクローは相手の巨体を投げ飛ばす。
冷たい、水たまりの上に投げ出され、カメックスは 身動きが取れなくなっていた。





会場は、静まりかえっていた。
バトルが終わったことに、気付いていないのか、あたしみたいなシロートが勝っちゃったことが信じられないのか・・・
あたしはフィールドの上を走り、冷え切ったワニクローに抱きつく。
「ありがと、ワニクロー。
 先に進めるよ、この先も ずっと、一緒に、がんばろ?」
ワニクローは ゆっくりとした動きでうなずく。
たまらなく、嬉しい気持ちでいっぱいだった。

「驚いたわ、1分も経たないうちに、オーダイルがそこまで早く 動けるようになるなんて。
 どんな魔法を使ったの?」
「たいしたことないですよ、人間の体温は、35度以上はあるんです、ブルーさん?」
「・・・・・・あら、やっぱり気付いていたのね。」
ミサキさんはきれいな顔で笑うと まぶたを軽く押さえた。
両目から手を離すと、銀色の、きれいな瞳が まつげの下からのぞく。
「クリス達の実力を確かめたくてね、ポケモンリーグにまぎれ込んでいたのよ。
 クリスといつ当たるかって、ずっと待っていたんだけど、思ったより早く当たって良かったわ。
 それに、楽しかった!!」

ブルーさんは 夜空に現れた星みたいに キラキラと笑うと、倒れているカメックスをボールへと戻し、会場に背を向けた。
あたしとワニクロー、それに会場の人間が呆然(ぼうぜん)として見守る中、そのすらりとした後ろ姿は 通路の奥へと消えていく。
ブルーさんの姿が完全に見えなくなった頃、いまさら気が付いたように 会場はざわめき出した。

『・・・・・・け、決着がつきました!!
 ワカバタウンのクリス選手、第3試合、進出です!!!』



今でも、時々不思議に思うくらい、偶然に偶然が重なった勝利だったと思う。
だけど、そのときは、特に夢中で、戦うことに夢中で・・・
このブルーさんとの戦いで勢いがついたのか、その後の試合も、順調に勝ちぬいていった。

―――――――――――そして、予選決勝戦。



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