第二十四話 ミキの悪夢

私はこんな夢を見た


その夢は、シンが私に最後の電話をした時のシンの様子だった

「・・・・・・・・さんはつけなくていいよ・・・・・・・プツ…」
シンは電話を切った
そして今まで来た道を見た
「まだ追ってくるか…」
シンの見た方向には、足の速い、グラエナをつれたトレーナーが三人
「チッ」
シンはポケットに手を入れ、走り出した

グラエナが足のすぐ近くまで追いついてくる

グワァ!
グラエナが足に噛み付こうとする
それをシンはうまく避けブレーキをかけながら両手で逆立ちして
「うわぁ!」
思いっきり顎を蹴り上げた
かなり勢いがついていたため、そのまま一,二メートル先まで吹っ飛ばされる

グワォ!
もう一匹も襲ってきた
シンはグラエナの首元に足を当て、突き飛ばした。そして―
スパパパパ…
さっきポケットから取り出した癇癪玉(かんしゃくだま)を地面にたたきつけ、破裂させる
その爆発と同時に、白煙と、ほこりのような物が撒き散らされる
「煙・・・・・」
追ってきた一人が走るのをやめる


ハァ・・・・・ハァ・・・・・・
逃げ切ったか?そう思ったとき
「・・・・・ッ!!」
右腕に痛みが走る
その右腕には・・・
「ゴルバット…!」
コウモリのような形をしたポケモンが姿を現した
「クソ!」
右腕を大きく振り、振り払う
「・・・・・」
しまった…囲まれた…
周りにはゴルバットの群れ
すぐに先ほどの煙玉を取り出して真上にばら撒く
少々時間差で、広範囲に煙が広がる
煙で、超音波での探索ができなくなる
攻撃がこない…
そう感じた瞬間、目の間に向かって走りきった
シンは煙から脱出する
そして、バッグから簡易発火装置のようなものを取り出す
これがあれば、焚き火も簡単に起こせるが、こんな使い方もある

スパパパパパボボボボボドドドドドッ!!!

爆発が広がる
これが粉塵爆発だ
爆炎とともにけたたましい音と、煙があたりを、しかも広範囲を襲う
シンは足ポケットから、長方形のピンの突いた箱状のものを取り出す
そして― ピンを抜いて投げつけ、耳をふさいだ

キィィィィィィィィ…

数秒後に破裂した
その『箱状のもの』からさらに強烈な『音』と、『光』をあたりが覆った
これは、閃光手榴弾といい、攻撃よりも、妨害・逃走用のもので、音と光で攻撃する、政府公認の対ポケモン道具だ
もちろん、煙であたりが確認できないため、光はともかく、音は強烈だったに違いない

直後

「ッ!!!!!」
シンはうまく横に転げてよけるが、それは左腕に当たる
それは葉っぱだった
その先には…ベイリーフがいた



ミキが見たのは、ここまでだった

第二十五話へ続く…
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