第二十九話 刑罰
コソコソ…
ガラッ…!
朝の日差しが目にまぶしい
窓から差す光が部屋を照らしている
そこに、一人の男を担ぐ(かつぐ)怪しい人影が現れる
それはオレンジ色の光で照らされ、不気味に輝いている
コツ…コツ…
部屋の奥に入ってくる
よく見れば、横には、人型のポケモンが―
隣の人を恐れるようにカタカタ震えている
しかも、その首元には手が…
その手から腕へ辿っていくと、先ほどの女性
さらに奥にあるベットでは、十歳前半の女性が、すやすやと眠っている
男をその横に寝かすと
「イシス…催眠術」
その手はいまだにそのポケモンの首元
震えが激しくなり
『ハ…ハイ!!』
なぜか人語を話した
その男の額に手を当て
『ゴメンナサイ…』
一言聞こえるわけが無いのに謝りを入れると…
「ピクッ…」
男が一瞬反応する。すると…
ゴソゴソ…
寝ぼけたのか、その女の人に抱きつくようにして…
「師匠…」
深い眠りについた
「ありがとう。イシス。そして、おやすみなさい」
『えっ!?ちょ…』
ビシィ!!!
イシスと呼ばれたポケモンに女性から強烈なチョップが首に入った
バタ…
そのポケモンも…倒れた
〜〜〜その日の朝〜〜〜
ポゥ…ポゥ…
外のポッポが眠そうな声を上げる
オレンジ色に照らされていた時とは打って変わって、町全体が明るく照らされている
その静かな町のすがすがしい朝が、ポケモンセンターの一室によって破られる
「ムニャ…ん・・・?ひっ!きゃあぁぁぁ!!何!?何!?ちょっと待って!何!?シン!どーしたの!?とりあえずはなれてぇぇぇ!!」
ぐいぐいとシンの胸を押す
「んあ・・・?師匠…落ちる〜…」
「クリアさんじゃない!起きて!寝ぼけないで!!」
その音に気づいたのか、その部屋の床になぜか横たわっていたイシスが目覚めた
『ん…いたた…あっ!・・・・・・・・ゴメンナサイィィィ!!私のせいですぅ!!』
イシスに平穏は無い
第二十九話へ続く…
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