先ほどの騒がしい一件から数分後
イシスからの必死の説明のかいあって、やっとミキの慌てふためく様子も消えたよう
「なんだ…そうだったんだ…あっじゃあ正夢だったってこと?あの夢」
『そうだったみたいですねぇ…』
平穏な会話が続く
だがミキは気づかなかった、時計の針が7:45を差していたことに
「あとさ…イシス…シンどけて…」
『あっそうですね…でも…』
そう、シンは相変わらずミキにしがみついたまま
シンはさすがに十四歳重くて体が上がらない
「でも?」
ミキがその続きを言うように求める
すると―
『写真―撮りますね』
「え!?待って!卑怯者!」
パシャ―
ミキの静止むなしく見事に撮られてしまう
「あぁ…グスン…」
ミキが半泣きでうなる
もうシンのことはどうでもいいのだろう
ぐったりと倒れこむ
『あ、大丈夫ですよ。あなたへの脅迫には使いませんから…』
「本当?」
『ほんとです』
そういうとシンの額に手を当て、夢喰いをはじめた
すると、さっきまでミキを固く縛っていた腕の力が弱まり―
「ふう…出れた!」
ミキは起き上がる事ができた
『これで私はシンさんより優位…フフフ…』
イシスは普段見せない不気味な笑みを浮かべ、最後にこう言い放った
『あと、お時間大丈夫ですか?後十分で…遅刻ですねぇ』
「あ…あぁぁぁぁぁぁ!!!」
ミキは顔に水を叩き付け、すぐにタオルで顔を洗うと昨日から準備してあったバッグに手をかけ
「いってきまぁぁぁす!!!」
ドアを思いっきり開けて、勢いよく取り出した
『・・・・・・・・』
一瞬の沈黙の後
『現像しにいこっと…』
イシスは内側から鍵を掛け、『鍵を持って』テレポートした
第二十九話 必殺技
ダダダダダダダ…
ホズミシティに騒がしい足音が聞こえる
先ほどポケモンセンターから出て五分強
そろそろ門が閉まるのだが…
「このペースなら…ハァ…行ける!!」
ダダダダダダダダダ…
やっと門が目の前に見えてきた
しかしその門は、生徒会員らしき人により閉められようとしている
そのころ校長室
「ミキちゃん…でしたっけ?来れそうにもないですねぇ…」
TBTスクール校長シキが言う
「そうですねぇ…楽しみでしたが…」
そう答えるはカツラ疑惑が持ち上がる教頭
「あ…あれを見てください」
「ん?」
シキの指差す先には、砂埃を舞い上げながら突進してくるミキの姿
「やばい!入りきれない!」
こちらはミキの言葉
その鉄製の門はもうすでに四分の三が閉じられ、今にも閉めようとしている
「フ…この遅刻暦三年の私にとってはこれくらいの修羅場何度も体験したわよ!!喰らいなさい…」
ミキは走りながら生徒会員らしき人に聞こえるように大声で言う
門はすでに閉じられようとしていた
「必殺!!『あら、ぶつかっちゃったわねスライディング!!』」
「え?」
その生徒会員らしき一員が声をあげる
それは砂埃を巻き上げながら進んでいった
その足は…門にぶつかった
ガギィィィン…
鈍い金属音とともに…
「うわぁ!」
門がこじ開けられる
「あら、ぶつかっちゃったわ…ごめんなさ〜い」
「あの子ですか?」
教頭が声を上げる
「・・・・・・恐らく」
シキが言った
第三十話に続く…
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