「・・・それで、ついに手が痛み出しまして…」
『そう…やっぱり不完全な手を使いすぎたわね…バトルは別にいいけど、極力発動を抑えて。あと…パソコンに手袋、送っておくわね』
「?」
『光をポケモンに当てさせないためよ。ただでさえ強力な負担をかけて押さえ込んでるんだから、少しでも気を緩めたら暴発するわよ。もちろん、いままで溜め込まれたストレスも手伝って、さらに協力に。あなたは大火傷ですんでも、ポケモンにはひとたまりも無いわ』
「そうですか…分かりました。すぐに確認を入れます。あと―」
『あと?』
「やっぱり極力、バトルは避けたいです。念のため、対ポケモンの武器を少々一緒に送ってもらえますか?前回は、火薬武器だけだったので苦戦しましたし…打撃攻撃も与えられそうなものを―代金はもちろん払います」
『・・・そう。わかったわ。でも私、そういう知識無いから…名前教えてくれる?』
「はい。小型粉塵式煙球二百発。B型火薬弾12発。弾丸式スタンガン。その玉も12発分。電光鉄刀。これでお願いします」
『わかったわ…すぐ送る…くれぐれも気をつけてね』
「はい」
『そうそう…ゴールド君が大会に出るためにそっちに来てるらしいわよ。バトルしてみたら?』
「ありがとうございます…では…プツン」
・・・・・・・
「さてと…」
第三十四話 ジョウトのライバル
ウィィィィン…自動ドアが開きそこからはシンが現れる
今は昼過ぎ
シンは両手に黒い手袋している
「…ピクッ…」
シンが何かを感じ取る
何かの音を聞いたのか、ベテランの勘なのか
「・・・・・・」
無言のまま走り出す
後ろからはポケモンに乗ったトレーナーが一人
「ちょ…まてよーシン!」
そのトレーナーが声を上げる
その金色に輝くポケモンはスピードを上げる
「・・・ちっ…」
「舌打ちすることねぇだろぉ」
さすがのシンも、ポケモンの前には追いつかれてしまう
シンは立ち止まり
「ゴールド。悪りぃな、いま腕を怪我してて…」
「昔のお前はそれでもやってた」
「・・・・」
ゴールドと呼ばれたその人物は、そのポケモンをボールに戻し
「やってもらうよ」
ニシシと笑いながら言った
「・・・・・リョーカイ」
場を移してここは市営のバトル場
この二人のバトルをロビーのおばちゃんが広めちゃったからもう大変
バトル場の周りは人でいっぱいになった
ソレはそうだろう
なにせ『クォーレ四天衆の一人』と『かつてシンを破ったポケモンマスター』のバトルだから
シンが周りを見て言う
「・・・こうなるから嫌だったのに…」
髪をかきむしりながら言う
「べっつにいいじゃん!」
ゴールドは慣れてる様子
「五分で終わらせたいから一対一でいい?」
「OKOK。いいよ!」
二人が腰に手を伸ばす
そして―
「行け!セト!」
「がんばれ!カザン!」
シンのボールからは紅に輝くハッサムが
ゴールドのボールからは、真っ赤な炎を噴出すバクフーンが姿を現す
「先手必勝!火炎放射!」
カザンの口から強烈な炎が噴き出す
無論『虫・鋼』タイプのハッサムにとって掠るだけで致命傷である
が、セトはソレを軽々とよけ、シンの指示を予測するかのように懐に一瞬で移動する
「メタ…」「避けろ!」
ゴールドの指示の方が早い
セトのメタルクローは空振りに終わる
そして、少し間を取ったカザンが
「炎の渦!」
火の輪を噴き出し、セトは炎に包まれる
「トドメだ…大文字!」
カザンの背中の炎が激しく燃え上がり、最強の技の発動を予期させる
ダンッ!
シンが地団駄を踏む
そしてカザンの口から、大の字の炎が―
噴き出す寸前にはセトはカザンの懐にいた
セトの体には数箇所火傷の跡が見られる
「暗号変えたんだよ?」
セトはさっき不発に終わったメタルクローを繰り出した
さすがに技の途中
避けきれるはずも無く吹き飛ばされる
が
「負けるな!大文字!」
一旦やんだかに見えた大文字が再び繰り出される
「・・・守る」
セトの前に出した腕から緑の光があふれ、炎を切り裂いていった
そしてカザンは、壁にたたきつけられた
第三十五話に続く
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