「・・・・・・・・・」
シンは呟き一つもらさず、そのバトルを見つめていた
「10分…限界だろ…」
ポケギアを見て、初めての呟きを返す

第三十九話 その手につかめ!!


「避けろ!避けるんだ!ナミィ!!」
ミキが決死の表情で指示を出す
見事なまでに形作られていたコロシアムも、無残に破壊されていく

ドゴォォォォォン…

カイリューが容赦なく破壊光線を撒き散らす
小柄な体を生かしてまともに避けられるのは格闘攻撃のみ
相手は光線
体当たりも水鉄砲も無力である
「!!キャア!!」
破壊光線の照準がミキと重なり、その光線はミキに向かっていく
「破壊光線」
背後から、同じ技の名前が言われたかと思うと、後ろから同じ色の光線が発射され、相殺される
「シン…」
声の主はシン
攻撃の主はイシスだった
「ボケボケすんな!来るぞ!」
少し乱暴であるが、前方に注意を向かせる
と―直後
「危ない!!」
もう遅かった
強烈な威力を持つ破壊光線がついにナミに当たった
「あぁ〜あ…ゲームオーバー…」
ナミは吹き飛ばされ、岩盤を砕きながら叩き付けられる
横たわるナミに非情にも、二発目の攻撃の照準を向ける
すると、カイリューの目線を確認したミキが震えながら
「やめて…」
カイリューの動きが止まる
「やめてよー!!!!」
ミキが目に涙を浮かべナミの前に立ちふさがる

グォォォォォォ…

カイリューが苦しそうな声を上げる
その声が、コロシアム中にこだました
シンは「フフ…」と笑みを浮かべ
「使え!!」
ミキにボールを手渡す
そのボールには、全面が赤く、ガラスのように透けていた
「行っけぇぇぇ!!」
シンが苦しむカイリューを指差し言う
一瞬で、これから何をすればいいのかわかった
「やぁぁ!!」
カイリューに向かって力いっぱいボールを投げつける
そして―


コン・・・



コン・・・



コン・・・





静かになった
先ほどまで起こっていたボールの揺れも無くなり、静まり返った
すると

パリン…

「あっ!」
ボールが割れた
そこから赤い光が丸い塊になって出てきた
何が起こったのか頭で処理できず、混乱するミキにシンがこう叫んだ
「その光をッ!!その手につかめ!!」
無我夢中で宙に浮くその赤い光の玉をつかむ
すると


キィィィィィィィン…


つかんだ手から強烈な光が出た
その光りで背景がゆがみ
あたりが真っ赤になった


第四十話へ続く…
戻る