ここはトキシティのポケモンセンター
戸惑いまくるシンを引っ張ってここまで運んできた
途中二度気絶する羽目になったが、誰もそのことは言わなかった

第六十四話　two I


「で・・・どうですか！？」
ミキが医師に聞く
「う〜ん…おそらく一時的な記憶喪失…だと思われます。海馬（脳の一部。記憶回路をつかさどる）に特に影響は無かったので…。しばらくは安静です」
Ｘ線の写真を棒でコンコンと叩きながらミキにいった
「ありがとうございます」
ミキはそういうと診察所の外に出て行った

「どうでした？」
外で待っていたクリアが聞いた
足元には…横たわるシン
ミキはシンを指差しながら
「あの…それ…」「容態は？」
「…一時的な記憶喪失だそうです…」「う…うう…こんの！！」バキィ
「しばらく安静に…」バタァ…
「ということです…ってもう手遅れですね…」「そうですか？」



その後の話し合いの結果、とりあえずシンはミキに任せるということだ
シデは、一応クリアが預かるということだ
再襲撃は当分見送りとなった…





「はぁ・・・」
ここはポケモンセンターのとある一室
ミキは窓から城壁に落ちていく太陽を見ながらため息をつく
気絶させられてからいっこうに起きる気配は無い
さっきからベットの上で寝たままである

「ん…」
何時間経っただろうか…
ミキはベットにもたれかかるようにして寝ていた
「寝ちゃったんだ…」
そう呟いてシンの方を見た

「い…いない！！？」
ベットの上にいたはずのシンがいない
ドアも見た
鍵がかかっている
一体どこへ…
「シンー！」
「何だ？」
「ッ！！」
突然後ろからした声にビクッと体を振るわせる
自分の名前が分かった…なら…
ふと考え
「私の名前…分かる？」
「ミキだろ？何言ってんだ」
その言葉にミキはほっとした
記憶が戻ったんだ…



「ここまで運んだの…お前か？」
「へ？」
「それに…頭もいてぇ…」
「はい！？」
もしかして…
記憶が無かったときの記憶が無い！？（複雑
それって…どうしてだろ…
クリアさんに叩かれたからかな…？

ミキは内心でハハハ…と笑いながら
「とりあえず…シン。来て」
「は？ちょ…ミキ！？」





「…多分…」
「たぶんじゃ駄目」
「おそらく…」
「駄目」
「…二重人格かと…」
「二重…人格？」
「要は、自分の中の性格が、昔からいたシンさんと、その何らかの衝撃で出来た二人に分かれて…同じ肉体にいるのです。何らかの衝撃を加えると、それが反転するようで…」
「何らかって？」
「さぁ…生活の中で発見しないことには…」
「…分かりました…」

「（幸い中の不幸…）」
『そんな言葉ありません』


第六十五話へ続く…
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