バガァァァァン…

爆発音とともに、鉄の壁が無残にも砕け散る
「いよいよ…か」
その『元』鉄壁の前に立っていたロクは、そう言うと中に入っていった

第七十三話 ロクの巻


ビィー ビィー ビィー

赤いランプがあたりを照らし、狭い廊下に低い警報音が響き渡る
奥のほうでは、団員たちであろうか、あわただしく走り回るような音が聞こえる


突然足元が軟らかくなった
どうやら足元が土で出来ているらしい
「よくここまで来れました…」
突如目の前に若い男が現れる
ロクは無言で睨み返し、右手にボールを構える
「行け。ライチュウ」
ロクはそういうと、ボールを放った
中からは、ライチュウが現れる
「ふふ…」
若い男はそう不敵に笑うと、同じくボールを放った
「行きなさい…シャワーズ」
中からはシャワーズが
「あなたの事は知ってますよぉ…鉄壁のロク…配布される『手配書(ビンゴブック)』にも、A級警戒人物として載せられてましたが…はたしてそれは本物かを…確かめさせていただきます」
「古い話を…」
そういい終えると、二人は戦う体制に入った
あたりに緊迫した雰囲気が流れる
「殺す相手には名を名乗る…それが礼儀でしてね…私は『E』ちなみに元・『G』です。あなたが倒してくれたおかげで、少し出世できましたよ…」
「フン…ライチュウ!かみなり!」

・・・・
・・・・・
・・・・・・


ハァ…ハァ…
かみなりの連射で、もうすでにライチュウはかみなりのPPの限界を感じていた
それを感じているのはライチュウだけではない
ロクも同様だった
ただでさえ一度大量の力を奪われた光る手を無理やり対抗できるまでに強化しているため、体力的にも、精神的にもロクを苦しめた
一方Eの黒い光る手は元から強力な力を持つため
体力の消費を最小限に抑えて戦うことができる
「今ですよ。とっしん!」
電気タイプに水タイプの攻撃は威力減少
このことはよくわかっていたので、攻撃を『打撃』に変更した


バキィ…


とっしんによる音が響き渡る
ライチュウは無残にも吹っ飛ばされるが、何とか起き上がる
「いまじゃ!すなかけ!!」
そういわれると、ライチュウはあらん限りの力で、地面をかき、それで出来た砂ををシャワーズの目に向かって飛ばし続けた
「くっ…小癪(こしゃく)な…とっしん!!」
Eがシャワーズに指示を出す
が―

ピクッ…ピクッ…

シャワーズの体が痙攣を起こしている
体はまったく動かない
「静電気だ」
その間もすなかけは行われる
このままではほとんど目は使い物にはならないだろう
「もういいぞライチュウ!影分身!」
そういわれるとライチュウはすなかけをやめ、いくつかに体がわかれいく
それも―ノンストップで次々と
「くそ!!水鉄砲!水鉄砲!!」
Eは指示を出す
が、目もまったくきかない上、姿も何千体と分身している
「これが―鉄壁と呼ばれる所以(ゆえん)だ」
そういうと、屋上があるはずのこの空間に雨が降り出す
「終わりだ…」
ロクがそういうと、強大な力を溜め込んだかみなりがシャワーズに降り注いだ


第七十四話へ続く…
戻る