バガァァァァァン…
鼓膜を貫くような轟音の直後、目の前の壁が崩れだした
ゴールドは無言で中に入っていった
第七十六話 ゴールドの巻
ビィー…ビィー…ビィー…
警報音が小さく響き渡る
おそらく鳴っているのは遠くだろう
不気味に響いた音が耳に届く
ザ…ザ…ザ…
足元が急に砂利になる
「何で…?」
ゴールドが辺りを見渡し、理由を探る
それは、すぐに分かった
「待てよ」
目を向けると、少し離れたところに男がいる
ゴールドはすぐ敵と判断し、ボールを構えた
「行け!ジース!!」
有無を言わさずボールを投げてくる
その中からは、強靭な腕と角を持つポケモンニドキングが姿を現す
「問答無用…ね」
ゴールドはそう呟くとボールを投げた
中からは、背中から激しく火を噴出すポケモンバクフーンが姿を現す
「行くぞ!カザン!!」
ゴールドと、カザンと呼ばれたバクフーンは戦闘態勢をとった
「お前のことは知ってる!国際A級犯罪者で、コードネームは『C』!!悪いけど!ここでやられてもらうよ!」
「ぬかせぇ!行け!ジース!」
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「ダークラッシュ!!」
「うわぁ!!」
また来た…あの『黒い塊』
さっきから聞いてる『ダークラッシュ』という技
あのニドキングを取り囲む黒いオーラのようなものを塊にして攻撃してくる
それを使うとき、ニドキングの悲痛な叫びが心に響く
おそらくアレは大量の体力を消費して使うのであろう
その裏腹、ニドキングはかなりの力で暴れまわっている
痛みを感じないのか?
そうとも思える
助けなきゃ…
助けなきゃ
助けなきゃ!!
ゴールドはそう心に決めた
ゴールドのこぶしが強く握られ、黒く光る相手と同じように、黄金色に輝いた
それに合わせるようにカザンが雄たけびをあげる
「レベル…ツー!!!」
ゴールドのその声に合わせて、カザンの背中から発されていた炎が、カザンの体全体を覆いこむ
一見『炎の繭(まゆ)』のようにも見えるその姿
繭の名の通り、炎の繭はだんだんと裂けながら背中に集まってきた
「完成…!」
カザンを取り囲んでいた炎の繭は翼を化し、カザンの背中についた
そしてカザンはその炎の翼で宙に羽ばたいた
その姿を見ると、ホウオウの羽ばたきが頭に浮かぶようだ
「カザン!カマイタチ!!」
カザンはその炎の翼を使って、強力な風の刃を作り、相手に向かって飛ばした
「名付けて!炎の刃!!」
その大量の『刃』は、炎をまといながら四方八方からニドキングに襲い掛かった
そして、何十発もこの荒技を喰らい続けたニドキングはその場に倒れこんだ
「グオオオオオォォォ!!!」
Cは痛みにうめきながらその場に倒れた
そして、ゴールドはニドキングが入っていたと思われるボールに手をかけ
「預かるぞ」
そう言ってニドキングをボールに戻し、立ち去っていった
第七十七話へ続く…
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