バガァァァァン…

轟音が耳に響き、目の前の壁が爆弾により突き破られる
振り返れば―かなり下に地面が見える
ここはアジト最上階
情報によれば、ここを突き破ると出る通路を直進すると―
「B…待ってろ…」
シンは穴の奥に歩み始めた

最後になるかも知れぬ青空を見てから…


第七十八話 シンの巻―終結の時


ビィー!!ビィー!!ビィー!!


通路に響く大きな警報音
ここの近くに発信源があるのか…
そう思えるほどの轟音
もう足音はその音にかき消されていた


〔B様は…ソコを潜り抜けて…二十メートルくらい歩いたところの…そうすると、バトル場が…ソコに…います…〕



この前ゴールドが捕まえてきたDとか言う奴によればすぐソコらしい…



残り十五メートル…モンスターボールに手をかけた





残り十メートル…深呼吸をし、心を落ち着かせる





残り五メートル…シンは駆け出した!


「ようこそ…シン君?」
「…B…」

そのバトル場には、まるで来るのが分かっていたようにBが待っていた
今まで赤いサイレンで照らされていた周りが、白銀の証明により照らされている
「ソコにたちたまえ」
指は指さぬが、どこに立てば良いのかは分かった
もちろん―相手と反対側のトレーナー台
シンは黙ってそこに立った

そして、Bはボールを構えた
そして―


「行け!イシス!!」
「行け!バロム!!」

シンの手からはイシスが放たれる
一方Bの手からはバロムと呼ばれた『メタグロス』が姿を現す

『こうするしか…無かったんですね…?』
イシスがシンに問う
「・・・・・・・あぁ」
シンは長い沈黙の後、一言そう言った―





ここはシンセイタウン、シズク研究所前
今シズク博士が越してきて、一ヶ月ばかりのころだ

「おっじゃましま〜す」「失礼します」

元気に声を上げてドタバタと中に入っていったのはシン
丁重にお辞儀をして、入っていったのはビルド
二人とも十歳
本当ならビルドが少し先に行くはずだったが、ポケモンが脱走し、今に至る
十歳といえば、かなり特例での資格授与である
「いらっしゃい。こっちへおいで」
若い女性が二人を手招きする
「シズクせんせぇ。ポケモンは?」
シンがそう聞く
「もう先生ではありませんよ…ポケモンはこの三匹から選んでください」
つれてきた先は、三角形の奇妙な台
その上には、三つのモンスターボールがおかれている
それぞれのボールには、ポケモンの名前が小さな紙にセロハンテープによって付けられている


『ダンバル』
『ヨーギラス』
『ラルトス』

その『ラルトス』と書かれている紙には、マジックで『×』と書かれている
「あっ…そうそうこの子」
シズク博士がラルトスのボールを手に取る
「まだ泣き声しか覚えてないから、まだこの子は駄目ね…」
そう言って持ち去ろうとした
すると―
「僕、そいつが良い!」
「えっ!?」
シンが突然そう言った
「…でもまだ…」
「俺が守ってやるよ!」
シンがガッツポーズを作って言う
「なんてったってシンセイ一の…」「ガキ大将」
「うっせ!」
シンはそう言うと、少しジャンプして、シズクの手からボールを取った
「僕は、ダンバルで…」
ビルドはそう言って新品のボールに手をかけた






「・・・・・・・」
シンは昔のことを思い出しながら、いまやダンベルではなく、メタグロスを従えるビルド―ことBに向きなおす
「・・・・・・行くぞ!」
「おう!」





・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・



「「サイコキネシス!!」」
戦いは長期化していた
流石に同期同士である
ほぼ互角のまま時間だけが過ぎていった

前回の勝負に敗北し、光る手の能力を奪われたシンの右手はもちろん輝いていない
それどころか、Bでさえ光る手を使わない
さらには、あのメタグロスから黒いオーラが見られない

「イシス!」「バロム!」
「「レベルツー!!」」
二人が叫んだ
その言葉の通り、二匹のポケモンは形態を変える
イシスは鉄板を破り生えてきた木に取り込まれる
バロムはしたから途切れることなくあふれ出す水に飲み込まれた
そして出てきたのは、棘をむちのように構えるイシス
そして、周りに重力に反して浮き上がる水を従えるバロムだった

「「行っけェ!!」」
「ハードプラント!!」「ハイドロカノン!!」
二人がお互いの最強技を繰り出した
その直後、二人は横っ飛びに避けた
イシスは、鉄板を貫きながら木を生やし、その大量の木はバロムを飲み込んだ
バロムは、桁違いの量の水を圧縮して大量に飛ばし、イシスを吹っ飛ばした


ドガガガガガガガ…


お互いのそれた弾が後ろの壁に激突し、双方の壁に大穴を作った
二人とも、避けてなければそこで死んでいたであろう

一方はドサァと
もう一方はガギンと金属音を立てて崩れ落ちた
が―双方体を震わしながら起き上がった
『まだ…できますよ…レベルスリーで…決めましょう…』
息も絶え絶えにシンにメッセージを送る
「そうだな…」
双方が立ち上がったのを確認してから、二人は息を吸い込んで…


「「レベルスリー!!!!」」
その声とともに、二匹は形態を変えた
Bは手から黒い光を発していた
イシスは、足元からもれる黒い煙のようなものに飲まれた
バロムは、体中から電気を迸らせ(ほとばしらせ)、周りの鉄くずを吸い寄せた
「グラビティ・タックル!!(重力の突進!!)」
Bがそう言うと、バロムは宙に浮いて、足を相手に向けた
「スター・サーキット!!(星の旋回!!)」
シンがそう言うと、両手にそれぞれ黒と白の光を光らせ、両手を合わせ、右手に、黒と白の光を集め、右手を後ろに引いた
直後―バロムの足に電気が走り、吸い寄せられるようにものすごいスピードで突っ込んできた
一方イシスは輝く右手を引いたまま逆時計に一回転した

そして―





ガギィィィ!!!





強烈な音を発して、一回転して威力を増したイシスの平手がバロムを叩き砕くように吹っ飛ばした
そして、バロムは何本もの柱を砕きながら吹っ飛び、最後の壁に当たって、動かなくなった


第七十九話へ続く…
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