「どうぞ」
扉の奥から和やかな声が聞こえる
「・・・・・・・・」
ミキが少しシンの顔を見てから
「行ってきます」
「あぁ…がんばれよ」
第八十四話 修行の成果!!VSシグレ
キィ・・・・・
鈍い音を立てて扉が開く
ミキの目の前には散らかった書類と、奥に座るシグレ博士が映った
「お久しぶりね。ミキちゃん」
シグレ博士が歩み寄ってきた
流石博士だけある
散らかった書類のところどころに足が入れられそうなスペースがあり、足場とある
「ジム戦かしら?」
「・・・はい」
ミキが頷く
ここを旅立ったときのミキとは雰囲気がずいぶん違った
「こちらへ…」
シグレが階段に向かって歩き出した
ミキも無言で着いていった
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
二階に着いた
「さぁ…始めましょうか?」
反対側の台に乗ったシグレ博士が言う
ミキはもうすでにボールを構えている
「はい」
ミキはそういうとボールを持った手を後ろに持ってくる
「「・・・・・・・・・・」」
少しの間バトル場全体が静かになる
そして― 火蓋は切って落とされた
「行けぇ!ナミ!!」
「行きなさいカメックス」
ミキのボールからは修行を経て進化したラグラージ、ナミが
シグレ博士のボールからは、巨大な大砲を背に持つポケモン、カメックスが姿を現す
「ッ!!殻に篭…」「突進!!」
ミキの突然の指示
もちろん始まっているので違反ではないが
不意を突かれたカメックスは、殻に入るまもなく吹っ飛ばされる
ナミは普通のラグラージに比べて大きく見える
その巨体から繰り出される突進によるダメージは甚大だろう
「ナミ!濁流(だくりゅう)!!」
倒れるカメックスに休むまもなく攻撃が加えられる
必死に起き上がろうとしていたカメックスは濁流に飲まれた
「ッ!高速スピン!」
とっさにシグレ博士が指示を出す
高速回転する甲羅が濁流をかききって上に飛び出す
が―
「波乗り」
泥混じりの水から出たと思ったらさらに上層に透き通る大波が
それは言葉通り、波の上に大波が
有無を言わさずカメックスは大波に飲まれる
水に生息するポケモンとはいえ量が多すぎる
大波に叩き込まれたカメックスはそのまま落下し再び濁流に飲まれる
そして再び大波がカメックスを飲み込んだ
すべての攻撃を完了するまで十五秒ばかし
「ナミの波乗り…五十点くらいかな…さてと…」
技の発動を終えて戻ってきた波の頭をなでながら
「守るに堪える気合のハチマキ…そろそろ本気出してよ?」
「・・・そうですね…おいで、カメックス」
シグレはよれよれのカメックスに回復の薬を使った
「勝負は…これからです」
第八十五話へ続く…
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