「シケ!!上に逃げて!!」


第八十七話 ラストチャンス



シケはその場から急上昇
セトのスカイアッパーをスレスレのところで避けた
「やったぁ!」
ミキが嬉しそうに飛び跳ねる
「セトに勝つ方法結構考えたもんね〜。みんなぁ」
「?」
シンは頭にはてなを浮かべながらセトをこっちまで戻らせる
そして、耳打ちで何かを伝えた後、向き直り
「どういうことだ?」
ミキに訊く
「スカイアッパーは下から上に殴り上げる技…だから上に飛んだの。もし当たっても威力は流せるし…どうだ!!」
ミキがそういったあと、エッヘンと付け加えてから
「対セト作戦その2!!雨乞い!」
その言葉とともにあたりに雨が降り始める
雨は降り続け、土だった地面を泥に変えた
「・・・・・・メタルクロー!!」
シンがセトに指示を出す
セトは聞いた直後に駆け出した―
が、すぐにズルズルと地面を滑り、停止した
「なるほど・・・」

地面を湿らせてスピードを下げる…
さらにあのアメモース自身は強化される…

「作戦しだい…か」
モチロンこっちにはレベルツーがある
雨の中でも勝てないことは無い
それよりも―

「バブル光線!!」
ミキが叫ぶ
アメモースから大量の泡が割れることなく高速で飛んでくる
その泡は雨を浴びてさらに威力を増す
「避けろ!セト!!」

ズシャっと音を立て、セトは伏せ、その頭上を泡が通過し
ドドドドドドと音を立てながら地面に着弾する
「なんつー威力だよ・・・」
シンがハハハ…と笑いながら続けて
「狙うなら足元だよ?そんで中に浮いたら突進ね」
「う…うるさい!バブル光線!!」
再びバブル光線が発射される
それはやはり足元へ
セトはそれをジャンプして避ける
「突進!!」
やはりシケが突進してくる
空中にいるセトには避けようが無い
が、
「メタルクロー!」
「ッ!!」
突っ込んでくるシケにセトはカウンターパンチがごとく殴り返す
「あぁ!」
ミキの声はもう遅かった
地面に向けて放たれたメタルクローはそのままシケを巻き込んで
落下の衝撃も加わりシケを地面に叩きつける
小さいシケの体は地面にめり込んで動かなくなった
シンがその様子を眺めたあと
「一匹目」

そういってボールに戻すように促した
ミキがハァ…とため息を着いてボールに戻した
「がんばったのにねぇ…サザ!行って!!」
ミキが放った二つ目のボールからは一匹のペルシアンが姿を現す
「乱れ引っかき!」
地面に足をつけてすぐ駆け出す
というよりジャンプに近い
足のつめを地面に食い込ませて数歩でセトの近くまで寄る
「見切り!!」
すぐさまセトに指示が下る
セトは目を見開いて攻撃を見る
その直後、セトはわずかに体をひねらせ、三発の乱れ引っ掻きをすべてスレスレのところで回避した
「居合い切り!!」
無防備になったサザの体にセトの豪腕が襲い掛かる
「避けて!!」
流石に細い体だけある
攻撃をスレスレで回避する
が―

ズッ―

サザが地面に足を取られる
振り下ろされた攻撃は宙をかくが続けざまに
「メタルクロー!!」
今度は逆の腕で体を回転させながらサザに一撃を放った
「二匹目」
シンがそう言った



そして数分後―

「…五匹目」

一見蛇のようなポケモンが吹っ飛ばされる
もうすでに雨はやみ、地も固まり始めている
足場が完全に確保されただけあり、セトの動きは警戒
一隙見せようものならバタバタと倒していった

「ナミ!!」
ミキが最後のボールを投げる
そこからは一夜の休養を経て完全に回復したナミの姿が
「ナミ!行くよ!!」
ミキの声とともにナミが吠え声を上げる

「濁流!!」
せっかく乾いた地面は再び泥と化し、巨大な濁流となって襲ってきた
その泥波は、セトの背丈を越えている
「宙に逃げろ!!」
その声とともにセトは数メートル上までジャンプする
「波乗り!!」
その泥波の上に澄んだ水の大波が出来上がる
そう、コレはジム戦で見せた荒技
「な…!?守る!!」
コレはさすがにシンでも予想外
セトの右腕から緑色の閃光が走り、大波を裂いていく
が―

「突進!!」
裂いている波を突き抜けてナミがセトに突進をかます
注意が防御に行き過ぎていたため、まともに攻撃を喰らう
さらにそのまま地面に叩きつけられ、濁流に飲み込まれていった

「・・・・・・・・・・・」
呆然と立ちつくすシン
そして、セトが埋まっているはずの地面に向けてこうつぶやいた

「穴を掘る」
その直後その位置からナミにかけてドドドドドドドド…と地響きを立てながら盛り上がりながら地面が進む
「!!ハイドロポンプ!!」
ナミは盛り上がる地面に向かって大量の水を浴びせるがそれに効果は無かった

直後―ナミの目の前の地面がわれ、セトが飛び出してきた
そして―
「メタル…」「冷凍ビーム!!」
セトが右腕を振りかぶって攻撃しようとする間に、ナミの口から冷気が感じられる
そして―冷凍ビームが放たれ、セトに直撃した
セトの振った腕は―
僅かに届かなかった


第八十八話へ続く…
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