「ここか…」
シンが紙とマップ（ポケギア）を見比べながら言う
現在地とマップの点の位置は重なっている
足元には『チェックポイント』と書かれた旗もある
「間違いないな…」


第八十九話　シンＶＳカントーの強豪


ここはハガネ山
およそ九合目といったところか
そんなところにシンはいる
「あと二分…」
シンがポケギアをみて言う
あと二分後に予選の予選が始まるというが…
そう思いながらシンは山頂のほうを見上げる
「（あと一分…近くにいるのはあの女しかいないな…よぉし…）」
そう思って数メートル先にいる長髪の女の人のほうを見る
そしてポケギアを確認する
「（あと十秒…八…七…六…五…四…三…二…一…」

ビィィィィィィィ！！！！！

思わず耳をふさぐ
山だからって大げさすぎだよ…会長…
「もしも〜し…」
「ッ！！」
いきなり声をかけられる
注意が山頂のほうにいっていたため、かなりビビル
その声の主はやはり先ほどの長髪の女性
「アタシとバトルしてくれるかしら？」
「あ…」
その人は見覚えがあった
以前雑誌で見たことがある
名前は『ブルー』
数年前のカントーリーグで三位を取った人だ
「返事は？」
「…いいですよ」
ちょうど良い…
その代のカントー大会で上位を収めた三人はかなりの実力者として知られている
その一人と早速やれるなんて…
「始めるよ？」
「あっ…はい」
ブルーはそう言うとボールを取り出した
かなりの間使用しているのであろうかなり傷が入っている
「行きなさい！カメちゃん！！」
「行け！バロム！！」
ブルーのボールからはカメックスが
シンのボールからはビルドから譲り受けたポケモン、メタグロスが姿を現す
「…メタグロスね…始めて見るわ…」
ブルーはそういって電子手帳のようなものに何かを記録する
「カメちゃん！ハイドロポンプ！！」
「バロム！守る！！」
カメックスの双砲から大量の水が噴射される
それをバロムは完全に防ぎきる
「流石…ビルドのポケモンなだけある」
シンはそう言うと向き直って
「コメットパンチ！！」
その直後、一瞬で―はないがかなりのスピードでカメックスの懐に潜り込む
「な…！？」
ブルーもこのスピード戦は始めて見る様で、驚愕の表情を浮かべる
その直後にバロムは、強靭な腕を振り上げ、彗星がごとく勢いでカメックスを殴り飛ばす
カメックスはその勢いで吹っ飛ばされ、砂利を滑りながら鉄の壁にたたきつけられる
その付近が砂埃で見えなくなる
その砂埃はさらに広がってブルーも姿も隠す
「構えておけ。セト」
セトの注意がかなりそれたようなので注意を促す
その直後―

「ハイドロカノン！！」

砂埃をかき切って先ほどとは比べ物にならないような量の水が飛んできた
「危ない！！避けろ！！」
シンがとっさに指示を出す
それでセトが体を僅かにそらせたせいか、その水はセトの目と鼻の先を通過する
その水はそのまま突き進み岩盤に衝突し、その岩に大穴を開けた
その穴からは僅かに鉄が見え、その威力を沈黙のうちに物語った
「なんつー水圧だよ…セト。注意しろよ」
そう再び注意を促す
セトは体勢を立て直し、カメックスがいると思わしき位置に向き直る
「ブルーさん？」
シンが呼びかける
「何？」
返事が来る
位置がばれてはマズイのだろう、後ろ向きにしゃべってあえて響かせている
「もう終わらせていいですか？」
「どうやって？」
再び響く声
ほぼ四方八方から声が来る
位置の判別は難しい
「こうやってですよ…セト。レベルツー」
その言葉の直後、セトの体に電撃が走り、体を青色に変える
「え！？」
ブルーが思わず振り返る
流石に相手は鋼・虫のハッサム
電気の音なんて聞こえるわけが無い
が、振り返って話したせいで位置がばれる
「そこだぁ！セト！十万ボルト！！」
そのいると思わしき位置を指差していった
セトの体から強烈な電撃が放出される
それは砂埃を突き抜け、何かに当たった





・・・・・・・・・・・

「アンタ何者よ…」
「ん？ただのトレーナーだよ」
砂埃が落ちる
そこにはカメックスが横たわっていた



第九十話へ続く…
戻る