その後のトーナメントは一瞬だった

アギラVSグリーン―
クォーレのベテラントレーナーとして名を轟かせたアギラ
が、それもあえなくグリーンの圧倒的な戦力の前に崩れ落ちた

レッドVSシグレ
差がありすぎた
レッドのポケモンがフシギバナだった事に対し
シグレの主力はカメックス
相性的にも実力的にもシグレが敗北していた


そして昼を挟み―

戦いは二回戦に突入する


第九十三話 再戦



『イイェ〜!!熱くなってきたぜェ〜!!第二回戦初戦!!トレーナーは前へ!!!』


トレーナー台には二人のトレーナーが


片方の女性はクリア
反対側に立つ人をただじっと見つめている

もう片方にはシンが
顔には笑みを浮かべている



「また戦えて嬉しいですよ。師匠」
シンがボールを取り出して言う
「そうですね」
クリアはただそう言ってボールを構えた

二人はボールを放つ

「行け!セト!!」
「行きなさい。テトラ」


・・・・・・・・・・・・・・・



『バトル!!スタァー…』
「メタルクロー!!」「切り裂く!!」


『…ト?』


ガギィ!!


二匹の爪が激突する
二匹はそのまま足で地面を滑りながら吹っ飛ばされる
いち早く体勢を立て直したテトラに次の指示が下る

「転がる!!」

テトラが前に飛び込みそのまま刺をスパイクにして回転する
その進行方向はセトへ―


「ッ!スカイアッパー!!吹き飛ばせ!!」


セトは完璧にタイミングを合わせて高速回転するテトラを上空たかくまで弾き飛ばす
が―


「逃げろぉ!!」


テトラは回転スピードを落とさずに落下する
その先にはセトが―


セトはすぐさま"後ろ≠ノ飛びのく
が、そのまま着地したテトラはさらに勢いを増してセトに襲い掛かる
「メタルクロー!!」
即座に指示が出され、腕をそのまま突き出す


ガギィ…


特に狙いを定めたわけでもないが見事に命中
テトラを再び弾き飛ばす
が―



ガッ ガッ  ガガガガガ…



その回転はやむところを知らない
威力を増しに増したテトラの攻撃が、ついにセトに衝突する

その強大な攻撃力を体で受け止め、セトは壁に叩きつけられる

が―
シンはその顔に笑みを浮かべている


「何を笑っているのです?」
クリアが訊く
「いや…もう…」
シンは体から湧き出る笑いを必死に堪えている
そして続けた
「セトも成長したなぁ…って」
「?」

そんなことで笑みを浮かべるものなのか?

クリアはそんな疑問を抱く
が、シンの話は続いていた


「いやぁ…まさか指示なしでセトがカウンターを使えるようになるとは…」
「ッ!!」
クリアがハッとしてテトラをみる
テトラは地面に横たわっていた
逆にセトはさっきまで倒れていたのに余裕の表情を浮かべ、立っている

「強くなりましたね…シン」
そう言ってクリアはテトラをボールに戻す

「え…」
シンが驚愕の表情を浮かべる
シンはじっとクリアの顔を見つめている
「え…ちょ…な…」
言葉にならないくらい驚いている
「し…師匠…?」
慌てふためきながらも声をかける
「シン!」
「は…はいィ!!」
急に強く言われて驚きながらシンが応答する
「これからは師匠と呼ばなくて―あ…」
クリアがやっと異変に気付く
その頬には涙が伝っていた



第二回戦
○シンVSクリア×


第九十四話へ続く…
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