翌日早朝
やはり、ミキの大会辞退が正式に発表された
が、やはり最後まで見届けたいと、大会終了までここにいることになった
一方、繰り上がって決勝戦進出を果たしたレッドも、なんと辞退を表明した
「オレを倒した人が棄権して上がるのってなんか気分が悪いじゃん」
とのこと
つまり、準決勝として用意されてきた『シンVSダイゴ』の戦いは、事実上の決勝戦となった
第九十九話 激突!!みせろ!究極形態!!
「やっぱり棄権したんか」
「うん。これ以上は…ね」
ここはミキの控え室
ちなみに今は早朝
ミキは夜通しで悩み続け、この結末に辿りついた
「ま、賢明な判断だな」
「うん…シンもがんばってね!応援してる」
「あぁ…後な…」
「?」
「オレとダイゴさんとの試合…最後まで見てろ。面白いものを見せていやる」
「???」
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
『これより!ポケモンキングスダム!!決勝戦!!!『シンVSダイゴ』の試合を始めます!!!』
歓声が会場中から巻き起こる
声の殆どが、トレーナーを守るバリアが反射して聞こえないが、バリア越しでもこの音量、バリアが無かったらどれほどの大きさか
シンはすっとボールを取り出す
そのボールにはイシスが入っている
出会った五年前から、ずっと共に旅をしてきた仲間
その大事な仲間の入るボールを見つめ、そして投げた
「行け!イシス!」
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
〜〜〜前日の夜〜〜〜
「どうだ?」
『ん〜まずまずですね。五回に一回くらい失敗しますけど』
「そうか」
・・・・・・・
『でも・・・』
「?」
『ミキちゃん…可哀想です。そのためにも…これは必ず成功させて見せてあげないと』
「・・・そうだな・・・まだいけるか?」
『まだまだ・・・倒れるまでやりますよ』
「フフッ・・・明日の勝負に支障が無いくらいにな」
『ハイ』
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
「精度はどれくらいだ?」
『ん〜…殆ど成功しますよ。もちろん、失敗したら伸びますけどね』
「いけるか?」
『もちろんです』
「行け!メタグロス!!」
ダイゴもボールを放つ
巨人さながらのその腕は、さらに大きな体を支え、地面に降り立った
再び会場中から歓声が上がる
そして―
『それでは…ポケモンキングスダム決勝戦!スタァーット!!!!』
試合が始まった
「イシス!レベルツー!!」
シンが始まって早々イシスのレベルを上げる
イシスの元に、エネルギーが集まる
「シャドーボール!!」
無防備なイシスに向かって、メタグロスから弱点となるゴーストタイプの攻撃が繰り出される
メタグロスの頭上に構成された暗黒の玉は、弧を描きながらイシスへ飛ぶ
ズガァァァァァン…
シャドーボ−ルは、イシスに直撃
したと思われたが、イシスの足元から生えた樹木によって、その攻撃は防がれる
が、シャドーボ−ルの威力はすざましく、樹木の壁は大きくえぐられる
「ソーラービーム」
えぐられた樹木の奥で、イシスはエネルギーをため始める
その間にも樹木は再生し、ためる間の壁となった
「・・・コメットパンチ!!!」
メタグロスはイシスに向かって突進する
その樹木の壁の前に立つと、メタグロスの前に位置する腕が輝き始める
メタグロスはその腕を振り上げる
そして、言葉の通り、彗星がごとく勢いで壁ごとイシスに殴りかかる
その腕は樹木の壁を貫通した
が、最後まで威力が届かず、メタグロスは、樹木に捉えられる状態となった
「―放てェ!!!」
イシスは、むき出しとなったメタグロスの腕に向かって光線を放つ
その光線は強固な樹木の壁さえも木っ端微塵にし、メタグロスを吹き飛ばした
メタグロスは、地を滑り、停止する
「破壊光線!!」
メタグロスは、倒れたまま破壊光線を放つ
その照準は、ソーラービームによって開いた穴へ…
そして、その奥にはイシスが
「ッ!!」
破壊光線は穴を寸分たがわず通過し、イシスに直撃する
イシスも吹き飛ばされ、倒れる
イシスもメタグロスも立ち上がる
「レベル…スリー!!!」
イシスの周りを黒と白の光が円を描きながら飛び、イシスを包み込む
その光は薄っすらと消え、そこから現れたのは、右手に白、左手に黒の光を持つイシス
「…コメットパンチ!!!」
「スターサーキット!!!」
メタグロスはその巨体に似合わぬスピードでイシスに突進していく
もちろん、その腕は光り輝いている
イシスは、胸の前で手を合わせ、左手の黒い光を右手に移す
黒と白、その二色を同士に有するその腕は、妖しく輝いていた
そして、イシスは体を回転させ、勢いを付けて殴りかかる
ガギィィィィィィィン…
鈍い音を立てて双方の拳がぶつかる
そしてなんと、あっという間にイシスは吹っ飛ばされる
イシスは壁に叩きつけられるものの、ゆっくりと立ち上がった
「イシス」
『ハイ』
「行くぞ…」
『ハイ』
「『レベルフォー!!最終進化(エヴォルト)!!』」
イシスとシンが声を合わせて言う
直後、イシスを白い光が覆う
そして、その光はガラスが割れるようにイシスからはずれ、そこから、光を鎧の様に身にまとったイシスが姿を現す
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
ミキはもう言葉も出せなかった
ミキは今までレベルツーまでしか見たことが無かった
シンはそこからさらにレベルスリー
そして、レベルフォー
見たことも無い形態を続けざまに見せられ、ハードルの高さを思い知らされたのだった
・・・・・・・・・・・・・・
「成功だな…」
『ですね』
「決めるぞ…サイコキネシス!!!」
スガァァァァァァァァン…
直後、激しい砂煙が辺りを覆う
そして、まるでじらすようにゆっくりと、砂煙が開けていく
消えた砂煙の奥からは、横たわるメタグロスがいた
『…ポケモンキングスダム!!今年度優勝者!!!クォーレ地方、シンセイタウン出身!!シン選手!!!!!』
最終話へ続く…
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