最終話 そして伝説≠ヨ


シンの勝利後、しばらくして閉会式
および、表彰式が執り行われた
結果は以下の通りだ


優勝 シン (クォーレ・シンセイタウン)
二位 ダイゴ(ホウエン・トクサネシティ)
三位 レッド(カントー・マサラタウン)
三位 ミキ (クォーレ・シンセイタウン)


シンとミキはそれぞれ、『最年少優勝』、『最年少入賞』の記録を塗り替えた

そして閉会式は何も問題なく終わり、ポケモンキングスダムは静かに幕を落とした


そして、場所も時も移り、ハガネ山ふもと

「優勝おめでとう!シン!!」
「あぁ。オメェも、三位おめでとう」
「アリガト!」

二人はゆっくりと、シンセイタウンに足を進める

「でも…目標は優勝だったから…ダメか」
ミキが エヘヘ と笑いながら言う
「・・・・・・そうだな」
シンも前を見ながら言う

「オーレ地方。行くんだな」
「うん。一刻も早く対処して、戻ってくるから!」
「そうか」

「後な…」
「何?」
「反進化から通常の状態へ。そして、イシスがあの時使った最終進化までは、おそらく最短で四年だ」
「?何で分かるの?」
ミキがそう問うと、シンは顔に笑みを浮かべながら
「イシスも一度、反進化したポケモンだ」
「!?」
「もちろんお前と同じような状況でな。その後、各地を転々としながら対処法を探し回った。途中で、ジョウトへ旅行に来たという、ローガンと言う老人にイシスを預けた」
「それで…どうだったの?」
「一年後。つまり今年だ。しっかりと解いた状態で帰ってきた。おそらく、反進化状態では、経験値をもらえない。解除と同時に大量の経験地が入ったのであろう、レベルフォーまで使えていた」
「・・・・・・じゃあ!」
「あぁ。ローガンさんに聞いてみるといい。きっと、何か助けてくれる」
ミキの顔に一気に笑みが溢れる



そんな会話をしながら、二人はシンセイタウンに歩き続けた
もうミキはそう簡単にはばてたりしない
ミキは成長していた
そんな様子を眺めながら、シンは今までのことを思い出していた
そうしているうちに、二人は故郷へと辿りついた


〜〜〜翌日・トキシティの港〜〜〜

「じゃあ…行ってきます!」
「あぁ。くれぐれもナミは使わないようにな」
「うん!じゃあね…」
そう言うとミキは船の奥に入っていった

「ミキ!!」
船に入ろうとするミキに、シンが大声で呼びかける
「向こうで本名は言うなよ!!」
「なんでぇ!!」
奥から返事がする
「オメェはもう十分伝説のトレーナーだ。ド素人から一気にのし上がったからな…活動をスムーズにしたかったら言わないことだな!」
「分かった!!シンも本名出さないようにね!!」
「あぁ!!!」

こうして二人は、『伝説のトレーナー』として、また別々の道を歩むことになる





〜〜〜オーレ地方・パイラタウン〜〜〜

ここはパラタウンの裏路地
そこで今、一人の女性が二人の男に追い詰められていた
「ちょっと…アンタたち何!!」
「へへッ…ちょっと着いて来て貰うぜ!」
「ちょ…だれか!!助け…」
その女性が倒れる
その男の手には、電気をほとばしらせるスタンガンが握られていた
「へッ。これで昇格間違いないな」
「あぁ。ダークポケモンを見抜ける女だ。貴重品だぞ」
「だけどよ。この女…」
「なんだ?」
「この前キングスダムで三位を取った、『ミキ』ってやつに似てないか?」
「気のせいだろ」
「…だな。おい、早く袋もってこい!」

・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・

「もしもし?センリさんですか?」
(あぁ!シン君か!)
「すみません。明日ごろ、そちらに伺わせていただきます」
(あぁ!大歓迎だよ!家はミシロタウンにある。妻が待ってるはずだから、まず話をするといい)
「分かりました。後…」
(なんだい?)
「まだ、来ることは知ってても、誰が来るかは言ってないんですよね?」
(あぁ。そうだが…)
「じゃあ、色々と厄介なんで、僕の名前はシンじゃなくて、ルビーでお願いします」
(・・・?分かった。そう伝えよう)
「では…プツン」
シンが電話を切る

するとシンは不意に、右腕を上に上げる

ガッ・・・

その腕に太い腕を叩きつけられる
その腕の主は、強靭な腕を持つことで有名な、カイリキーだった
「セイ!!!」
シンは、右腕で空手チョップを防御したまま左手でカイリキーの腹を殴る
カイリキーはそのまま吹っ飛ばされていった
「弱えっての」
そう言うとシンは、気絶したカイリキーを尻目に、立ち去っていった


・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・

「ん・・・?ここは…」
見たことない世界
今は冬なのに、青々と緑が茂っている
「ちょっと大丈夫?」
声が聞こえる
すると、視界にチコリータが見えてきた
「ねぇってば!」
「!!!????」
ポケモンが…喋った!?
ボクはゆっくりと立ち上がった
背中が何かと重い
しかも何かおかしい
「キミは…なんでポケモンなのに言葉を話すんだい?」
思ったことを聞いてみる
「ポケモンなのにって…変なことを聞く人だね…キミもポケモンでしょ?ゼニガメってやつ。ここらじゃ見かけない顔だけど…どこから来たの?」
後半の言葉なんて耳に入らなかった
右手を見る
その手はニンゲンを手では無かった
「う…うわぁ!!!!」
驚いて後ろに倒れる
「!!??」
起き上がろうとしても起き上がれない
ただゆりかごの様に揺れるだけだ
背中に触る
そこにはでこぼこした甲羅があった
お腹を見る
それはニンゲンをお腹では無かった
「え、えぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」







三つの物語が、幕を広げる―



THE LEGEND OF TWO TRAINERS
      ―二人のトレーナーの伝説   完


あとがきへ続く…
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