第三話 help


その後、移動は順調に進んだ
モンスターボールをまだ所持しておらず、ゲットできないのが難点だが…
やはりたった二匹といえど、勢力は絶大
ルビーは、経験豊富な戦法で有利にバトルを進め
サファイアは、音を使った奇襲戦法で次々と倒していった
そしてコトキタウンで休憩を取った後、二人はトウカシティに足を進めた


「オメェ…大丈夫か?」
ここまでかなり歩いてきている
前回≠烽サうだったが、旅の期間の短い人にとって長距離の移動はかなり疲れる
「・・・・・・・・・」
サファイアはただ無言でコクン
「そうか」
そう言うと、また歩き出した

「サファイア・・・・」
「・・・・・・・・・」
少し気になった事を聞いてみる
「ムリヤリ連れてこられて、もしかして怒ってる?」
「・・・・・・・(コクン」
「・・・・そうかぁ・・・悪いな」
「・・・・・・・(コクン」
「・・・・は、ははは・・・」
どうもテンションが上がらない
アイツはかなーりテンションが高かったから合わせやすかったんだけど…


「・・・・・・・・!」
サファイアが何か気付いたような顔をする
サファイアはゆっくりと前を指差す
その指の指すところを見ると…
「ちょ…大丈夫か!?」
少年が倒れていた
その少年は、草むらに埋もれるように倒れていて、ルビー自身も言われないと気付かなかったであろう
ルビーは駆け寄ると
「居合い切り!」
スサノオを出してそう叫ぶ
が、その技は発動しない
「くそっ!」
そう言って、素手で周りの草を取り払う
その少年の口元には血が
恐らくこの少年のものだろう
「おいっ!大丈夫かァ!!」
そう言いながら頬を叩く
そうしていると、少年はゆっくりと目を開け、ルビーの肩越しに前を指差す
その先には、ドクケイルが
「アイツか!?」
ルビーがそう言うと、少年はコクンと頷いて頭をがっくりと落とす
ルビーは、少し考えてから
「サファイア!スサノオと一緒に応戦しろ!その内にこの子を病院に運ぶ!」
そう言いながら少年を背負い、トウカシティの方向に走っていった
「・・・・・・・・」
サファイアはただ無言で立ち尽くした
ボールを取り出し、中からアチャモを出す
そして、紐とコインを取り出し、ヒュンヒュン回し始めた



しばらくして、サファイアも病院にやって来た
「・・・・・・・・・」
「あぁ。今治療を受けてる」
我ながらNICEな読みだ
そう思う
こんな感じで会話が進めばいいが…
が、サファイアの発した言葉(?)は、それとは違った
首を横に振ってから、ボールを差し出す
「ありま…ありがとな」
そう言ってボールを受け取る

ガチャ・・・

扉が開き、白衣を着た人が出てくる
「あなたが…第一発見者ですか?」
「はい」
「少しお話を…」
「?」
ルビーは医師の人と「医務室」と書かれた部屋に入っていった
「・・・・・・・・・」
やはり残されるサファイア
すると、スサノオのボールを開け、再び絵を描き始めた



「・・・本当ですか?」
「はい。ドクケイルの毒のりんぷんが、肺にまで入ってしまって…手の施しようがありません」
医師がカルテを見ながら言った
「・・・・今どこへ?」
「向こうの部屋に居ます」
そういって指差された部屋
そこに入ってみると、酸素マスクを付け、苦しそうにしている少年が
「何でそうこうも…」
ルビーがそう言うと、医師に
「この事は…口外しないでください」
そういった後、少年のすぐ横まで来る
「何を…」「見ていてください」
そう言うと

キィィィィィィィィィ・・・・

ルビーの右手が又もや光りだす
その手のひらを少年の胸に押し当てる

ジュウウウウウウウウゥゥゥ・・・

紫色の煙を出しながらも押し当て続ける
その煙が出なくなったころ
「終わりました」
そう言うと、光を消す
「作用は殆どないと思いますが、完全には消えていないので…」
「?」
ルビーはそう言い残すと、立ち去っていった
少年の苦しそうな顔は消えていた



待合室に戻ってきたころ、サファイアはもう絵を描き終えていた
「行くか」
「・・・・・・・(コクン」
サファイアは、描き終えた絵をスサノオに渡すと、ルビーと一緒に外に出て行った
スサノオは、嬉々とした顔で着いていった


その後二人は、泊まる宿を探した
偶然にも、一軒だけ在った
そこに予約を入れると、ルビーとサファイアはそれぞれ別の行動をとった
サファイアは、絵を描きに戻った
念のため、スサノオを貸そうと思い、手渡す
その後、ルビーは、ジムへと向かった



「センリさん!」
「おぉ、来たか!」
目的はこのため…といっても挨拶程度だが
「ようこそトウカシティへ!」
そういってセンリは招き入れた

その後、少しの間談笑しあった
ルビーとしては、初めて$eと言える人とだったからであろう、目が輝いていた
すると―

「おや…君は?」
「センリさん!」
ジムに一人の少年が入ってくる
その少年は、紛れもなくさっき倒れていた少年だった
「ボ…ボク、ポケモンがほしいんです!ゲットの仕方を教えてください!」
そう言うことか
ルビーは理解した
ポケモンをゲットしようと草むらに入った
が、ポケモンを持っておらず、常人では敵うわけのないポケモン相手に勝負を挑み、負けた
と、言うわけだ
「ん…ルビー君。ゲットの仕方は知ってるよね?」
「当たり前です」
「じゃあ、ゲットを手伝ってやってくれないか?」
「む…いいですけど…ポケモンは今居ないんです」
「じゃあ、ジグザグマを貸そう。これを使ってゲットしてみなさい」
「「はい」」
ルビーはモンスターボールを受け取った
ジグザグマ自体は、経験上弱い部類に入るポケモン
それなりのレベルなのだろうと安心して外に出る



「ここら辺でいいかな?」
「ですね…」
103番道路の草むらに到達する
「待ってりゃ来るさ」
そういってルビーは木にもたれ掛かる
すると、ルビーの後ろから、又もやドクケイルが姿を現す
「うわっち!」
ルビーは突然の登場に驚き、体を少年のほうに飛ばす
ドクケイルは羽をばたつかせる
そこからは強風とりんぷんが
二人は襟を口元に当て、毒の侵入を防ぐ
が―

「う、うわぁぁぁ!!」
少年の体が浮く
甘かった
ドクケイルの使った技は吹き飛ばし
かよわな羽から繰り出される強風は、少年をはるかかなたに吹き飛ばす
「あっ…行け!ジグザグマ!!」
あわててボールを放る
「体当たり!!」
ジグザグマはジグザグに翻弄しながら飛び込む
が、流石は空中に居るポケモン
軽々とそれを避け、少年に追い討ちをかけるべく飛び込んでいく
「あっ!待てェ!!」
必死で追いかける
が、追いつけない
ドクケイルは、少年に体当たりを仕掛けた
「ッ!!」
固く目を結ぶ
が、その体は少年になかなか当たらない
ゆっくりと目を開けると、ドクケイルの攻撃を受け止めているラルトス
「えっ?」
すると、ラルトスの帽子のような頭の先にエネルギーが集まり、念力を繰り出した
そんなに決定的なダメージは与えられなかったが、ドクケイルは逃げていった
「大丈夫か?」
やっと追いついたルビーが言う
「ハイ、ボクは大丈夫ですが…この子が…」
そこにはラルトスが倒れていた
といっても気を失っているわけではないが、攻撃を受け止め、念力をフルパワーで使ったため、疲れているのだろう
「どうする?」
ルビーが訊く
「う〜ん…ボク思ったんですが…」
そういって少年は顔をラルトスの目の前まで持っていく
「ボクと一緒に来ませんか?」
ラルトスにそう言った
するとラルトスは、嬉しそうに首を縦に振った
少年の顔にも、喜びの表情が
「じゃあ…行きますよ」
そういって、モンスターボールの突起部分をラルトスに当てる
ラルトスは、光となってボールに吸い込まれていった
モンスターボールは、なんら反抗もなく止まる
「じゃ、ポケモンセンターに寄らないとな」
ルビーはそう言うと、少年を連れて、ラルトスの回復に向かった




「これ、返しますね」
そう言ってジグザグマをセンリに返す
「役にはたったかな?」「いや、全然」
「・・・・・・・・・・・・・」

「あっ、ルビーさん!ありがとうございました!」
「いいや、例には及ばないよ。後…」
「何ですか?」
「名前…聞いていいか?」
「名前は…ミツル…ミツルって言います」
「そうか。じゃあな」

ルビーはそう言って立ち去っていった

「役に立たない…役に立たない…」
「ははは・・・・」


宿

「よぉサファイア」
「・・・・・・!」
サファイアは合うなりボールを手渡してきた
「・・・・・・・」
何か言いたげな顔をして
「どういたしまして」
当たってればいいけど…
どうやらその答えは当たっていたみたいだ
サファイアはすぐに部屋に入って、布団を敷きだした


「(ラルトス…か。懐かしいな)」

ルビーは、その考えを胸に、布団を敷き次第、眠りに入った


第四話へ続く…
戻る