第四話 再会

〜〜〜翌日〜〜〜


「ジムを目指すなら、まずカナズミシティのジムに挑むと良い」
「ありがとうございます。では…」
「・・・・・・・・・(ペコリ」

二人は、次の道へ進んでいった

―そこで、新たな敵と出会うことになる―




「ふぅ…お金じゃ勝てないものなのですね。ポケモンは」
「そうだな。努力と努力。それで強くなれる」
ルビーは、金持ちそうな男に、そう言い残して森の中に入っていった

「ったく。なんなんだよアノ連中!群れを成して勝負挑んでこなくても…」
「・・・・・・・・・」
事の始まりは十分ほど前
「まずトウカの森へ入らなければ」
という事で、そこへ向かったのだが
意図されているのかされてないのか…何人ものトレーナーに連続勝負を挑まれた
それで、ポケモンセンター間を、往復せざるを得なくなった

「(顔がばれてるのかな・・・そうだったらマズイかな・・・)」
そう思い、先ほどセンリの家に寄り、帽子を借りてきた
始めは、「帽子なのか・・・?」とも思ったが、これがなかなかいける
そんなヘンテコな帽子を引っさげて連戦を終えた
帽子の効果は絶大で、サファイアに「・・・・・・・?」と言わせるほど(?)
これだけでも結構印象が変わるものだ


〜〜〜トウカの森〜〜〜


森の中は薄気味悪く暗かった
とは言っても、光が入るところはしっかりと明るかった
そこが唯一の気を抜ける場所にもなっていた
なぜなら、そこには殆どのポケモンが寄ってこないから
トウカの森に多く生息するポケモン、ケムッソは、多少湿り気のあるところを好む
つまり、森が開けて日光が多く入り、湿り気が比較的少ない所にはあまり寄ってこない
日陰に居るのは、日光浴を楽しみに来たナマケロくらい
ナマケロは、比較的穏和
襲ってきたとしても十分走って逃げられる
その、数回やってくる安全エリア≠フ中で休憩しているときに、事件は起こった



「・・・・・・・・!」
サファイアが何かに気付く
前にもこんなことは多い
よほど洞察眼(ものを見る力のこと)が優れているのだろう
サファイアはすっと指をさす
そこには、空色の服のフードを顔が隠れるまでかぶった人
その横には、一匹のチルットが居た
「何だ・・・・?」
相手がじりじりと近づいてくる
すると、サファイアがボールを転がす
そして、紐とコインも取り出す

ヒュンヒュンヒュンヒュン…

回し始めた
と言うことは…
「行け。スサノオ」
アイツが自分たちに敵対心を持っているということだ
ルビーはスサノオを出す
タイプ的にはスサノオが不利
だけど、アチャモならまだ互角
二対一なら―

ヒュ!ヒュヒュ!ヒュンヒュ!ヒュヒュヒュ!
ヒュヒュヒュヒュ!ヒュウン!ヒュヒュン!!

「ッ!」
有無を言わず相手が攻撃してきた
スサノオは反応が遅れて叩き飛ばされる
すかさずアチャモが飛び込んで追い討ちを防ぐ
「悪りィ!」
サファイアはただ無言で相手を見る
再びコインが回転を始める

・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・



「スサノオ!!吸い取る!!」
「チルット。風起こし」

スサノオは果敢に飛び込んでいくが、遠距離攻撃の前には歯が立たず敗れる
アチャモも火の粉を撒き散らしながら攻撃するものの、今一歩届かない
「・・・・・・・クソッ」
圧倒的に不利
そう感じたルビーはスサノオをボールに戻す
スサノオは光になって消えた
「(二対一でもこの強さ…何モンだ…コイツ…)」
勝敗はサファイアに委ねられた


ヒュヒュン!ヒュ!ヒュンヒュ!ヒュヒュ!
ヒュ!ヒュンヒュン!ヒュヒュ!ヒュンヒュ!!

次々とアチャモに指示が出される
『岡目八目』とは、この事だろうか?
ルビーと違って、サファイアは試合中も無表情
殆どのトレーナーは、試合中は相当圧倒的なものでない限り熱くなる
が、サファイアはいつも冷静
冷静に、ただ冷静に場を見極め、暗号による指示を出す
直接的な強さはないが、ルビーが騎士ならサファイアは司令塔と言ったところ
サファイアは的確に避ける・攻撃を繰り返し、ダメージを与えていく
が―


キィィィィィィィィィィ・・・

「ッ!!」「・・・・・・・!!!」
相手の左手が光りだした
白く、なおかつ青を含む、透き通った色
直後、目にも留まらぬ速さでチルットが飛び込んでくる
目が良い(と思われる)サファイアでさえ反応できない
このスピードならキングスダムでも十分戦える
アチャモは一瞬にして葬られる
「…マズイな…」
こちらに残りのポケモンは居ない
自分自身で戦う≠フも有りだが…相手に奥の手があると困る
直後―


「ゴウ!!クロスチョップ!!!」
上空から、ポケモンらしき巨体が降りてくる
そして、四つの腕を振り上げると、十字にチョップをかます
チルットも、そのトレーナーも、何も反応できなかった
チルットは、瞬殺された
相手のモンスターボールのポケモン保護装置が発動し、自動的にボールに戻される
「…!!何!?」
突然のことで相手も混乱する
「ゴウ!!捕まえて!!」
そのポケモンに指示が下る
相手に飛び掛る
が―

シュゥゥゥゥゥゥ・・・

煙幕が撒かれる
ゴウ≠ニ呼ばれたポケモンは、その人を見失う
その煙幕が晴れたとき、そこに人影はなかった
ゴウがトボトボと帰ってくる
すると、後ろから一人の少年が姿を現す
「ゴウ、気にしなくていいよ」
そういってボールに戻す
そして―

「お久しぶりです。シンさ…ムグッ…!!」
「少し黙ってろシデ♂スでお前がここに居る…?」
「んっ〜〜〜!!ん〜〜!!…プハッ!!な、何でって、あなたがこっちに来たから…」
「何でしってる!?何で付いてくるぅ〜!?」
「イタッ!!イタイ!!だって・・・!」
「何!?」
「ミキさんとの新婚旅行を見に―」







ガスッ♪






「ッ〜〜〜〜〜〜〜!!」
「とりあえず礼は言う。だけどこれ以上付いてくんな!いいな!?」
「だって、気になりますモン!新婚旅行と思ったら別の女の人と…」
「シデ」
「?」
「死に急ぐことはないと思うぞ。お前はまだ若い」
「ッ!!!???」
「三秒やろうか…言い残すことは?」
「えっ…あっ…その…」
「さぁん・・・」
「えっと…だからぁ…」
「にぃ・・・」
「あぁもう!!」
「いぃちぃ・・・」
「僕はある組織に狙われてるんです!!」
「ゼ・・・何!?」
ルビーのげんこつがシデの頭上数センチで止まる
「さっきの人たちの組織です!」
「・・・ハァ?」
「名前はスカイ団。彼らは地上の資源をすべて上空に移して…」
「んな馬鹿な話があるか。だいたい―」
「話は後でします!追っ手が来るといけないんで、離れますよ!!」
「…(はぁ…ホウエンなら静かに過ごせると思ったのに…)サファイア!行くぞ!!」
シデとルビー、そしてサファイアは、次の町、カナズミシティへと走っていった


第五話へ続く…
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