第五話 組織


〜〜〜カナズミシティ〜〜〜

「ここまでこれば大丈夫ですかね?」
ここはカナズミシティの裏路地
追っ手に見つからないように
そう言って結局こんなところまで来てしまった
「さっきの話ですが…」
シデが口を開く
「あの組織の名前は『スカイ団』。天空を司るホウエンのポケモンを利用して、雲の上に理想郷を作ろうとしている集団です」
「…組織のことは信じるが…どうやって雲の上に都市を建設する?ガキの戯言じゃ有るまいし…」
「彼らは、雲を土程度に硬質化。なおかつ浮遊させる機械を開発しました」
「…じゃあ何故あのポケモン≠ェ居る?存在も定かじゃないのに。作るなら人だけで…」
「いえ、そのポケモンを使う理由は二つ。一つは、その強大な力を持つポケモンを、とりあえず抑えておきたいからでしょう。ポケモンの中でも雲の上までいけるのはごく僅か。特に強大な力を持つポケモンを抑えて置きたいのでしょう。二つ目は、対ニンゲンです。彼らの作る理想郷は、楽園と言えど強大な軍事力を持つ国になるはずです。それを抑えるべく、アメリカ等を中心に攻撃されたら…そのときのためにも、第二の軍事力がほしいのでしょう」
「…その情報はどこから?」
「あなたがホウエン地方に来たと知らした匿名の女性が」
「…分かった…信じよう。それで、どうしろと?またイシスたちを戻してお前を守…」
「いいえ、違います。僕はもう十分力があるので、彼らに対抗出来ます。問題なのは、あなた達です。彼らはなんら目的の無しに攻撃する集団ではないので…恐らくこの後も…狙われるでしょう」
「分かった。警戒はしておく。何かあったら頼むぞ」
「ハイ。後、これを…」
「?」

・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・


この後、ルビー一行は、シデと離れた
シデは、「こっちで作戦を考える」という事だった

「・・・・・・・・・・・」
ルビーはきれいに折りたたまれた服を見る
その服を広げる
その服は、今ルビーが着ているものと非常に似ている
ただ違うのが、『閃光』の象徴ともいえる胸についている閃光のシンボルマークが無かった



『これは?』
『これからのあなたの服ですよ。閃光のシンボルを入れたままじゃあ、誰だかばれちゃいますよ?何か訳ありで名前出したら駄目っぽいですけど…とりあえずこれ、着てください』


ルビーは、シンボル入り≠フ服を脱ぐと、新しい服に着替えた
特に違和感は無い
大きさもぴったり
「よし、行くぞ。サファ…イア…?」
サファイアは顔を赤くして向こうを見ていた
「・・・・・・・・あ」
やっと自分が何をしたか気付いたルビー
ただ、悪りぃ と行って、歩いていった


・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・!」
裏路地を少し出たところでサファイアが何かを見つける
そこには、マジな顔で誰かを追いかけている老人
左手に持った杖は意味を成していない
その老人はカナズミシティの北へ
さらに、キキキッ!と(下駄で)ドリフトしながら右に曲がっていった

「サファイア・・・・」
「・・・・・・・・?」
「あのご老人の追いかけてた人の服の色…さっきのやつに似てたよな」
「・・・・・・・(コクン」
「…うっし、行くぞ!」
「・・・・・・・(コクン」




〜〜〜カナシダトンネル〜〜〜

「チィ・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・もう逃げ場は無いぞ!ピーコちゃんを放すんだ!」
ここはカナシダトンネル
その名の通り、カナズミシティとシダケタウンを繋ぐトンネルだ
二年前、ポケモン保護のために開発は中止されたが、機械を使わずに開発を続行し、遂に繋がったトンネル
が、現在落盤が起こり、これ以上先には進めなくなっている
老人から逃げた男は、そのことは知らず、遂に追い詰められた

「早く放すのじゃ!!」
「フン。コノポケモンヲタスケテホシケレバ、イウンダナ」
「くっ・・・」
「クモニモットモチカイトコロ<茶i!」
「・・・・・・」




「居た!あそこだ!!」
「・・・・・・!!」
二人がやっと追いつく

二人がボールを構える

老人が口を開く

二人がボールを放つ

「そら・・・」

「電光石火!!」
ヒュヒュン!ヒュ!ヒュ!ヒュンヒュ!


スサノオが老人の顔のすぐ横を飛びぬけて男を攻撃する
アチャモは、やはり老人の頭上に向かって火を放つ
その火は弧を描いて男に飛ぶ

「クッ!」
男は横に飛びのく
と、その拍子にピーコ≠ニ呼ばれたキャモメが逃げる


「コノヤロウ!!ヨクモ…イケ!スバメ!!」
「へっ!行け!スサノオ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・!!」


キィィィィィィィィィィ・・・
キィィィィィイィィィィ・・・


ルビーの右手が藍色に、男の右手が空色に輝き始める
「サファイア」
「・・・?」
「お前は手を出すな。厄介なことになる」
「・・・・?・・・・・(コクン」
サファイアは軽くコインをまわしてアチャモに指示を出す
アチャモはゆっくりと下がっていった

・・・・・・・・・・

一瞬の沈黙が流れる
そして
「デンコウセッカ!」
「電光石火!!」
光を浴びた二匹のポケモンは、空中で激突する
「近寄ってぇ!吸い取る!!」
「カゼオコシ!!」
スサノオはスバメを翻弄しながら飛び込んでいく
が、小さな翼をめいいっぱい羽ばたかせて使う風起こしは、かなりの広範囲攻撃
その上、光る手の助長効果も助けて、強力な攻撃になっていた
スサノオは洞窟に叩きつけられる
が、スサノオは倒れず、もたれ掛かりながらも立つ
「!」
スサノオの体を、光が取り巻いた
スサノオは、光の繭に包まれる
それは、少しずつ大きくなっていく
「ナンダト・・・!!」
その繭は上から砕けるように無くなった
そこからは、以前のスサノオではない形をしたポケモンが現れる
「ジュプトル…か。スサノオ!!リーフブレェーッド!!!」
スサノオの腕の葉が手のほうに集まっていく
そして、つたのような形を形成する
スサノオが、両手のつたを一振りすると、それは一瞬のうちに硬質化する
それはその名の通り、リーフブレード草の剣≠サのもの
スサノオは、その剣を振り回しながら突攻する

ビュゥン!!

一際大きな音を立てて、剣が風を斬る
その刃先は―
―光だった
スバメは、光となってボールに吸い取られていった
剣は、地面を木っ端微塵に砕き、大穴を開けた
タイプで多少有利とはいえ、この威力は絶大
もし当たっていたらひとたまりも無かっただろう

「フン」
男はそう言うと

キイイイイィィィィィィ!!!!!!!

光の出力を上げる
洞窟中に、目も開けられぬほどの光が発せられる
因みに、光る手の光は、意思により調整することが出来る
その光の強さは、使用するトレーナーの体力減少にかかわる
弱ければ少なく、強ければ大量の体力を消費する
その光の強さは、光る手の能力にも、大きく響いてくる
ルビーは、少しずつ目を開ける
男は、すっと輝く手を上に上げる
そして、拳を握り締め、後ろの崩れた岩盤めがけて振り下ろした
「ヘッ!」
なんと岩盤は、拳のあたった部分からばらばらに砕かれた
人間がなせる業ではない
「ジャアナ!ガキドモ!!」
男は、その空いた大穴から、逃げていった

「・・・・・・・・・・」
ルビーは追わなかった
それどころか、一口も喋らない
「・・・・・・・・?」
サファイアが、心配そうに近寄る
顔を覗き込む
すると―

ドサァ・・・・・・

ルビーは崩れ落ちた
気を失っている
その右手は、真っ黒になっていた

第六話へ続く…
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