第七話 暴走
「クソォ!!」
ルビーはサファイアを抱きかかえて横に飛ぶ
その飛んだ先には大きな岩石が
ルビーは、その上に着地し、迫り来る溶岩を避ける
が、その岩石もだんだんと溶岩に飲み込まれていく
岩石が溺れ始める
ルビーはあたりを見渡す
が、ひとっ飛びでいける場所など、もう無い
すると、背後に赤と緑の姿が見える
それは二人を抱えると、さらに遠くへ飛ぶ
驚いたことにかなりの距離をとんだ
それは、スサノオとワカシャモ
「…ありがと!…あぶねえから…もう戻れ」
ルビーはそう言ってスサノオをボールに戻す
サファイアも、一緒にワカシャモを戻す
この岩はかなり大きい
そうすぐには飲み込まれない
ルビーは座り込んで、なにやら考え始める
「(隕石ははめ込まれていなかった…一体…)」
因みにえんとつ山は休火山
普段ならマグマは奥底で固まっているはずだが、二年前のグラードンの復活により、マグマが再び液化した
と言っても、活動はとても弱い
何の前触れも無しに噴火するなど…
(サファイアなら…何か知ってるかも…)
サファイアは、外活動がメインのルビーとは違って家の中が多いと思われる
読んだ文献の量なら…
「なぁサファイア、お前何か・・・・・・っ!」
「うっ・・・うっ・・・・・」
サファイアが泣き崩れる
「おい、お前…」
「あたしの…せいだ…!」
「!?」
ゴゴゴオオオオオオッ!!!
突如、溶岩の流れが激しくなる
この分なら、もう数分も持たない
「・・・・・・・・・」
ルビーは自分の乗る岩石の後ろを睨みつける
「サファイア・・・」
「・・・・?」
泣くサファイアに呼びかける
「耳…塞いどけよ」
「・・・・??」
サファイアが耳をふさぐ
すると、ルビーはポケットに手を突っ込み、小さい癇癪玉のようなものを取り出す
しかも、何粒も
それを岩石の後ろのほうへ持って行き、握りつぶす
シパパパパパパパパパッ!!!!!
耳をさすような破裂音
玉を握りつぶした手から大量の粉がこぼれる
ルビーはゆっくりと焼けた手で耳をふさぐ
粉が溶岩に着く
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!!!!
粉が次々と溶岩により着火、爆発した
そこには大穴が
そこにまた溶岩が投げれこむ
ルビーはさらに玉を取り出す
それを、開いた大穴へ―
さらに爆発
開いた大穴に、さらに横穴が
「来い!」
ルビーはサファイアの手を引っ張って、その横穴に入っていった
横穴は思ったより明るかった
溶岩が穴を照らす
しかも、溶岩は横穴に侵入してこなかった
「うし!」
ルビーはガッツポーズを作ると、それぞれ別に理由で真っ黒になった手をサファイアの肩に乗せる
「な〜にがあったんだ?言ってみろって!」
「・・・・・・・・・・」
サファイアは、人差し指を地面に当て、なぞる
それで出来る溝が言いたいこと≠セと気付くには、少し時間がかかった
「ん・・・あたしが∞しゃべると∞災いが起こる=E・・?」
サファイアは字を書き続ける
「・・・噴火も=E・・あたしのせい=E・・!?」
そんな馬鹿な
ルビーはまずそう思う
「・・・・・サファイア」
「・・・・・・・・・?」
「喋れ」
「!?」
「こんな状況で災いもクソも無ぇ。会話のほうがいい」
「・・・・・ほん・・・と?」
「あぁ。言葉で言い直せ」
「・・・・・・・・あのね・・・そのね・・・」
「・・・・・・・はよせい(訳・早くしろ)」
「・・・・・二年前の事件…知ってる・・・?」
「あぁ」
「あれは…私が声上げたからなんだ…」
「・・・なんでそんなことが起こる?」
「し、知らないよぉ〜…でも、私が喋ると毎回…」
「・・・そうだなぁ・・・どんな事があった?」
「え・・・っと・・・大雨が降ったり、地面が割れたり・・・」
「っ!・・・へぇ・・・じゃあ・・・」
「・・・・?」
「噴火よ止め≠チて言ってみろ」
「え・・・何で」「いいから」
「・・・・・噴火よ止め・・・わっ!?」
サファイアがそういった直後、空いた横穴が真っ暗になる
サファイアは大混乱
ルビーは出口のほうへ歩み寄り、そこを蹴る
そこは、バキッと音を立てて崩れ落ちる
「出て来いよ」
ルビーは外に出て行った
サファイアも急いで出て行く
ルビーは真っ赤な地面の上に立っている
そこは、さっきまで溶岩で埋め尽くされていた場所
「??????」
サファイアは起こった状況を判断できない
噴火も止まっている
「何が・・・」
「・・・フン、やっぱし」
ルビーはそういってサファイアの横を通り過ぎる
「これからはあんま感情を立たせるなよ。多分、それが原因だから」
「・・・・どうゆうコト・・・?」
「そっ!ずぅっと落ち着いてたほうがいいよ」
「??????」
ルビーは回答を示さず歩き出す
すっと目線を上にやると―
「取り残しがいたね…」
「・・・・・・・」
上空には、ボーマンダの姿があった
第八話へ続く…
戻る