『ご協力・・・要請したい・・・』
「はいぃ?」



第十三話 地神



「どゆ・・・こと・・・?」
『・・・確認します。あなたの光る手の色は?』
「・・・?紅だけど・・・何があったんだ?」
『それはこちらに来て説明します。グラードンが必要なのです』
「!・・・信じていいな?」
『はい、今すぐ、ルネシティへ』
「分かった。着くのは・・・明日の深夜ごろ!」
『・・・出来るだけ早く、お願いします』
「おう!」

・・・・・・・・プツン


「来るって?」
「あぁ、明日の深夜頃には着くとさ」
ビルドはそう返すと、腰に付けられたボールを取り外す
「バロム」
そう呼び、ボールを転がす
「さぁ、乗ってくれ」
バロムは力を足に集中させ、体を浮かす
「ルネに・・・行くぞ・・・!」


・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・




翌日の深夜、レッドはプテに乗りやって来た
レッドがプテに乗り、そのレッドには・・・イエローがしがみついていた
「あれって・・・たしか・・・」
「イエロー・・・だっけ?レッドの連れの」

この三人はすぐ、イエローが来た理由を知ることになる



・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・


「レッドさん!なんでイエローさんまで・・・」
「いや、そうだろ?イエローじゃないとグラードンと会話できない・・・」











な〜るほど







「グラードンは・・・この祠の奥なんだな?」
「はい、行きましょう」




五人は少しずつ奥に歩を進めた
中は薄暗く、ピカ・チュチュが放つ僅かな光を元に進めた

そこで大変だったのが、野性ポケモンの襲撃
ただでさえ真っ暗な空間
奇襲はまず防御できない上、下手に攻撃すると、祠が崩れる
五人は、敵の攻撃をただただ避け続け、たどり着いた






〜〜〜最深部〜〜〜


そこは、異様に明るかった
原因はマグマ
最深部に海のようにうごめくマグマ
そして、その中央には・・・

「グラードン・・・か・・・?」

グラードンと思われるその物体は・・・石だった
そのグラードンの形をした石は、動かないものの、マグマに照らされて異様な雰囲気を作り出していた

「イエロー」
「はい」
「行けるか?」
「無理です(きっぱり)」

レッドは、しょうがない・・・、とぼやきながら、プテを出す
プテはイエローを後ろから掴むと、マグマからかなり離れた高所を飛ぶ
そして、グラードンの真上まで来ると、ゆっくりと高度を落とした


プテがグラードンの上につく
イエローはすたっと降りると、グラードンの石像に手を触れる
マグマの上に立つわりには冷たい


「じゃあ、やるぞ」

キィィィィィィィィィィィ・・・!!!

レッドの右手が、赤い光に包まれる
石像はその光を浴び、僅かに色を変える


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・




すると、祠の中が突如揺れ始める


『ムノァイ ゴヲゥ』

祠内に、低く声が響き渡る
「何て言ってるー?イエロー!」
「何をしにきた・・・って言ってます!」

ビルドは、その声を聞くと
「我々は敵じゃない!力をお借りしたい!!」
そう叫んだ
すると―

『リリャォク スヒヴェ』
「力を借りる・・・?馬鹿な」
『ノァィ フゥゥム クェオン ェイィ ゥゥィ』
「過去、一体何人がそういって近づいたか・・・」
『コェウェン ジュヅァウ コェス!!』
「お前たちにも地神の制裁を・・・って、わぁぁっ!!」


石像に、突如ヒビが入る
ヒビにより出来たスペースからは、赤い光が溢れ出す

「まずい!プテ!!」

レッドの指示を聞くと、プテはイエローを掴んで一気に飛び立った


石の板が次々とはがれていく
いずれの場所からも赤い光―


「フッシー!!」
「バロム!!」
「バンギラス!!」
「ゴウ!!」

もう中から出てくるものが分かったのであろう
四人は戦闘体制をとる
正体は―




グオオオオオオオッ!!!



グラードン
石という殻を破り、現れた怪物は、口にエネルギーを溜め込んでいく
それをいち早く発見したユイとビルドは、同時に叫ぶ

「「光の壁!!」」

グラードンの前に二重の光の壁が張られる
グラードンの口から放たれた炎は、一枚目の壁は突き破るものの、二枚目の壁により、勢いは止められた

フッシーも、花にエネルギーを集め始める

「破壊光線!!」
叫んだのは、ユイ
バンギラスは口から強烈な光線を放つ
マグマの海に溝を作りながら進んでいく
が―


ガギィィィィン・・・


光線は爪に当たり、消滅してしまう
グラードンは雄叫びを上げると、強力な炎技、大文字の照準をバンギラスに向ける
グラードンは大きく息を吸い込む
その口から、強烈な炎が放たれ―

「いまだ!行け!シデ!!」
「ゴウ!!爆裂パンチ!!」
グラードンの背後で浮遊するバロムの上に乗っていたのは、ゴウ
ゴウはそこから飛び出すと、渾身の力で攻撃する
鈍い音を響かせ、グラードンはよろける
そこへ―
「コメットパンチ!!」
バロムの追撃
強烈な打撃攻撃を二度も立て続けに受けたグラードンは、やじろべえのように揺れる

「ソーラービーム!!」
フッシーから強烈な光線が放たれる
激しい爆発音と、煙が辺りに撒かれる




「やったか・・・?」
バロムがビルドのほうに戻ってくると、ビルドが言った
だんだん煙が晴れていく

「っ・・・・・・・!?」

五人の眼に映ったのは、巨大な土の壁
中央には大きなくぼみが出来ている



『ヅォウラゥィ コォファ ズゥズィェァフ』


「何って!?」
「・・・この程度か。やはり地神もなめられたものじゃのう・・・」
「・・・クソ・・・」


すると、小刻みに地面が揺れ始める
そして、グラードンを取り囲むマグマがどんどん沈み込んでいく


「ッ!!逃げてぇ!!」
ユイが叫ぶ
「地割れが来る!!」



地割れ
地面タイプ最強にして最凶の技
強力な限られた地面タイプポケモンしか覚えず、しかもかなり高レベルな技
最強の所以はその威力
自分のエネルギーの大半を相手の足元に注ぎ、地割れを起こす
発動に気付かなければ、まず助からない
助かるには、離れるしかない


『グホゥァ』
(逃がすか)
五人の目の前に、地割れが起こる
その筋が五人に向かっていく

「逃げるぞ!!」
五人は駆け出す
が、一度は引き離すものの、相手もどんどんスピードを上げ、追いかけてくる



「きゃ・・・」
イエローが石に足を取られる

「イエロー!!!」
イエローの下半身が落ちる






地割れは、進行しなかった






辺りに赤い光が放たれる
が、これはレッドのものではなかった

グラードンは、動きを止めた


第十四話へ続く…
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