「鏡・・・・・?」






第十七話 ノア






突如セトの目の前に現れた鏡
それは固体では無い様で、長方形の光の板のようなもの
が、光と言えどそれは鏡そのもの
鏡はナミの姿を映していた


「光の塊…ってことは、あれはセトの超進化みたいね…。まだ光だから、仮だけどね」
「…多分あれに技の正体がある…どうにかいて暴いて、弱点を見つけないと…!」



そして、ミキは指示を下した

「ナミ!突進!!」

ナミは後ろ足を大きく使ってセトの前に立ちふさがる鏡に攻撃する
強烈な勢いで鏡に向かう



セトも大きく飛び出した
が、セトが飛び出した先は、光の鏡




セトは、光の鏡を突き抜けた
セトは黄色い光をまといながらナミと衝突した





鈍い金属音





ナミは力負けし、吹っ飛ばされた
「なっ・・・ナミ!?」

ナミは地面にたたきつけられるものの、すぐに立ち上がった
「まだまだぁ!マッドショット!!」
ナミの口から土の塊が発射される
それはセトに向かって一直線に飛んだ


セトの目の前に再び光の鏡が構成される
セトはそこに腕を突きたて、鏡からは茶色に光ったセトの腕が出る



「っ!!?」



その腕からも同じく土の塊が
それは寸分たがわずナミの放った土にあたり、空中で砕け散った



「ナミの技を…コピーした・・・?」
「ハッサムはマッドショットを使えない…じゃあこれが…」





セトは再び光の鏡を出す
その鏡にはナミの姿が再び映る
セトからは全く攻撃してこない




「恐らく…鏡に映った攻撃をそのまま真似し…自分のものとして使用する…これがセトのエヴォルト…」

「じゃあ…ナミ!水鉄砲!!」



ナミは鏡に向かって少し弱めの水流を放つ
するとやはり鏡から出てきたのは、青く輝くセトの腕
そしてやはりその腕から出てきたのは、同じ威力をもつ水鉄砲


空中で衝突すると、双方の水鉄砲はバラバラになり、双砕した






「やっぱり…じゃあ…殆ど打つ手がない・・・!」
「…地震ならっ…相殺できないはず…!!ナミ!地震!!」



ナミは大きく前足を振り上げる
後ろ足で立ち上がると、渾身の力で前足を地面にたたきつけた



「ダメです!!」

シデが叫ぶ
ナミはギリギリ足を止め、地震は発動しなかった
シデは胸をなでおろすと


「こんなところで地震なんて使ったら、洞窟、崩れますよ?」
「あっ・・・・」


そう説明を入れると、ミキに「いい作戦があります」と言った
耳打ちでそれを伝えると、なんとシデは洞窟を戻っていってしまった



「よぉ〜し…ナミ!水鉄砲!!」





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その頃、その更に奥――――



「ルビー!!!」
「・・・・ちぃ・・・」


サファイアが、シン(この後は、ルビー)に追いついた
ルビーの方の先、数十メートル先には、何かの祠があるのが見える

後僅かなところで追いつかれたルビーは、腰にあるボールを転がした
そこからは、ジュカイン、スサノオが姿を現す





「どうしてっ…こんなことするの…?」
「そのうち分かる。残念ながら、死をもってだがな」


ルビーはそう言うと、右腕をまっすぐサファイアに向ける








キィィィィィィィィィィィッ・・・!!!





ルビーの右手が藍色の光を放ち、輝き始めた



すると、その光を浴びたルビーの後ろの祠が、それに共鳴するように青い光を放った
その祠はビキビキと音を立て、一気に崩壊した
その中から現れたのは、通称“藍色の玉≠ニ呼ばれるものである



藍色の玉
光る手の放つ光のエネルギーの結晶でもあり、カイオーガを目覚めさせられる唯一の品物
青色の光が球体に凝縮されたの物で、そのエネルギーは一瞬にしてカイオーガをコントロールするなり、再起不能にするなり…
その力は強大であることだけは確かだ
これは、光る手を始めに手にした賢者がもしも再び危機が迫ったときのために残したものであり、賢者が最後に激突した数体のポケモンを封印するため、今は使われている
その玉は、青系統となる『青・藍・空』の色の光る手の光に共鳴し、その力を解放させる
そしてカイオーガは、力を解放させた藍色の玉の力を受けながら、すこしずつ封印をといていく






「今、カイオーガの封印を解いた…。後数分もすれば、復活する…!!」
「ッ・・・。バシャーモ!!」

サファイアは、ボールを手からこぼすように足元に落とす
バシャーモが姿を現し、もう言うことは分かっているように、ルビーを睨む
スサノオもそれを見ると、拳を握り、ゆっくりと構える



「ムリヤリでも倒して…!カイオーガも…倒しますよ・・・!!!」
「どうぞ?出来るものなら・・・。レベルツー!!!」






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「ナミ!守るッ!!」

ナミは、迫る土の塊を顔面の寸前で防御した
その土の弾丸の弾道は曲がり、ナミの足元に激突する
足元に大きなくぼみが出来、そのくぼみを避けるようにナミは後ろに下がる
もうナミも息切れを起こし、下がる足が、気の落ちも現している

ミキも疲れを見せている
ただでさえ早いセトの攻撃
予測不能のタイミングで襲い来る飛び攻撃、しかも高速な
イシスをして動体視力が高いと言わしめるミキでも、連続でそれを行うので、かなり体力を消費する
もうかわし続けて数分…
限界は、近い





そして――





「ナミ!水鉄砲・・・・・!?」


ナミの口からは水は発射されなかった
セトの鏡は、実際に発動しなくてもその技を自分のものに出来るようだ
さっきのマッドショットも、PPが切れ、ナミ側は発動しなかった
が、セトはそれを使用した
しかも、不安定な技ではあるが、それを見なくても発動できるようだ
突進などの物理攻撃は、反撃の際にダメージを受けることとなる
戦闘慣れしてるセト相手では、ナミもそう長くは持たない




今ナミは水鉄砲を撃った
ナミは発動しない、セトは発動する
ナミは極度の疲労状態
避けられ・・・・・・ない







「サイコキネシスッ!!!!」




セトから飛んだ水鉄砲は強力な念動力によってかき消された
指示の声の主は、シデ






ミキはへなへなと腰を落とすと、目を擦りながら
「さっさとやっちゃって〜・・・」
そうシデに、そして連れてきたポケモンに言った

「分かりました。サマヨール、名付けてジュジュ!呪い!!」




その直後、セトの剣幕が変わった
サマヨール、ジュジュは膝を落とす
体力的に相当の負担かかっていると思われるが、ジュジュは渾身の力で立ち上がった





呪い
ゴーストタイプのみが発動できる、特有な技
自身の体力の50%という膨大な体力を消費して発動するこの技
消費した自分の体力を『怨念』という形として相手に取り付かせ、相手の体力を奪う
例え自身がやられても相手には常にダメージを与えるこの技
ゴーストタイプ以外のポケモンは誤聴してしまい、『鈍い』として聞えてしまうため、別の技になってしまう






ジュジュ、サマヨールはゴーストタイプ、『呪い』
セト、ハッサムは違うので、『鈍い』




セトの足がビクッと震える
ゆっくりと持ち上げて進むが、鉄球をはめられたように動きが遅い
セトは少しずつジュジュに近づいていく
その間にもセトの体力は減っていく
ジュジュはそれを退けるように下がる

スピードなら圧倒的にセトの方が高い
が、鈍いによって下がったせいで、のそのそ歩くジュジュにすら追いつけない









――セトは倒れた―――













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「ブレイズキック!!!!」「リーフブレード!!!!」




激しい炎を纏う蹴りと、硬質化した草の斬撃が衝突する
削れるような音を響かせ、少しずつ草の刃が磨り減っていく
双方何度も何度も衝突し、最後に刃が砕け、爆発した




「チッ・・・・・・・」

ルビーは舌打ちすると、光る手の光を強める
スサノオはゆっくり立ち上がると、再び草の刃を作り出した


敗れ、砕け散ったとはいえ相手は炎
例え数回程度攻撃されても形を保ち続ける
その余程の強度、これがリーフブレードの威力





「バシャーモっ!大丈夫!?」

バシャーモはもう肩で息をしている
いくら発達した足とはいえ、攻撃しながらの使用には限界がある
その上がり下がりする肩が『限界が近い』とサファイアに伝えていた



スサノオは、まだ余裕を見せていた








「スサノオ!レベルスリー!!」

スサノオの周りを風が取り囲む
砂塵を巻き上げながら風はスサノオの背中につき、風の翼を形成する

「風起こし!!」
「バシャーモ!避けてっ!!」

背中の二つの風の翼を大きく羽ばたかせ、スサノオはバシャーモに突風を浴びせる
バシャーモは横っ飛びに避けるが直後、バシャーモの目の前には、スサノオが



「リーフブレード」
「!!!!」


バシャーモは斬撃を受け、後ろに突き飛ばされるが、次は逆にその衝撃を利用した蹴りをスサノオに入れた
攻撃直後の無防備な体制を攻撃されたスサノオは、なすすべもなく蹴り飛ばされる



光る手の光の強さはその色の濃さと、三原色となる赤青緑に近ければ近いほど強力なものとなる
サファイアの光の色は赤
赤系統の色の中で最も純度の高い、光る手の最強格の色
ルビーの光の色は藍
青系統の色の中で二位となる純度をもち、光る手の色の中でも五本指に入る強さだが…

光る手の一位と二位の差はこれほども開く
基本的に赤系統、青系統、緑系統と呼ばれる合計9つの種類は、他の色と比べて群を抜いて強力
その中で、真(マ)と呼ばれる三原色
濃(ノウ)と呼ばれる紅、藍、常磐
薄(ハク)と呼ばれる朱、空、若緑
これが、9つの色の種類、そして同じ真同士、同じ濃同士は、互角に戦える
が、一位の強さをもつ真は、他の二種おも圧倒的に出し抜く強さをもつ
現に、かなりの実力差のある二人の力関係が互角、それともそれ以上にまで埋まっている

因みに、真の光る手は、それぞれ世界に一つしかない





その間を埋める方法が・・・・ある













「スサノオ、レベルフォー、エヴォルト」






第十八話へ続く…
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