もうすぐ日が昇るころだ。
ホーホーが寝床へ帰るとき、
一人の少年は目覚めた。
彼の名はウェズ。
といっても彼は、自分の名前しか覚えていない。
なぜだろうか。
手がかりは目覚めたときからする頭痛、頭から流れる血。
多分、頭を強く打ち付けたことによる記憶喪失なのだが、
そんなことはウェズには分からなかった。

「いてて、何で頭から血が??それにここはどこなんだ?」

彼がいる場所は、深い森の奥の川の岸である。
しかし、まだ薄暗く、彼には認識できなかった。

しばらくボーとしてようやくここがどこだか認識し始めたころだった。

なぜここにいるのかわからないことである。

そしてようやく記憶を失ったことに気付くのだ。

自分が何者なのか、分からず、
途方にくれいるころ、自分のポケットの中に封筒があった。

とりあえずその封筒を開けてみると
一通の手紙が入っていた。
差出人はビリーとか言う名のこれまたウェズには分からない人の名前だった。
とりあえず見てみると・・・。

『ウェズへ
 やってもらいたいことがる
 アサギの港へ向かい
 そこから、船で南ギアという島へ向かってもらいたい
 そこでマスターの元へ言って修行してきて欲しい
 理由は渡す前に言ったはずだから分かると思う
 君の健闘を祈る』

「(誰か分からない人間に指図される筋合いなんてない。)」
彼はそう思い、その手紙を捨てた。
だが、それが彼が持つ、唯一の彼の情報である。
そのことは、彼自身気付いていた。

ため息をつきながら手紙を何度も見直しているとき、朝日が森を照らした。
『お前ならできる。だから頑張れよ』
そんな言葉が頭をよぎる。
誰が発した声なのかは知らないが、
何も知らない。この手紙に従うことにした。

「よし・・・行くか・・・。」

旅に出る決心が固まった。
しかし、彼は、重大なことにまだ気付いていなかった。
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