「えーと左の赤いポケモンがブースターで、黄色のがデンリュウ。茶色がオオタチ、そして赤と黄色が混じったのがツボツボで、緑がナッシー、星型がヒトデマン・・・だっけ・・・。」
さっきの主婦に教えてもらったこと(手持ちポケモンの名称)を整理している。
ある程度覚えたところでウェズは、エンジュシティを出ることにした。
先程エンジュシティに着いた。
だが、向かうところはアサギという港町だ。
アサギ港はエンジュシティから38、39番道路を通っていけば着く。
町でそういうことを聞いてからウェズはこの町を出た。
38番道路は、牧草地帯だ。
桜は、とっくに散ってしまったらしく、地面には桜の花びらがいっぱい落ちていた。
そんなことには気にもとめなかったウェズだが、果たしてこのままでいいのだろうか、ということを考えていた。
あの手紙がもしガセだったら??
あの手紙の差出人がもし自分にとっての敵だったら??
正確な情報なんて無いわけである。
しかし、意外な所で情報(正確かは分からないが)が入ることもある。
エンジュを出てから2日後のその昼下がりの時だった。
39番道路に差し掛かったときである。
「待ちな。」
ウェズはこの声を聞いて振り返った。
すると仮面を付けた妙な男女が二人たっていた。
「アンタがアレで生きていたとはねぇ。」
「(〔アレ〕??何だそれ・・・。)」
そんな言葉が、心をよぎる。
「ねぇ今ここで始末しちゃう??」ともう一人のほうが言った。
「当たり前だ。」
その瞬間、仮面の女はブラッキーを出してきた。
「ブラッキー、“だましうち”」
いきなり攻撃を仕掛けてきた。
すかさずウェズもオオタチを出したが・・・・。
「技・・・なんだっけ・・?」
技を思い出そうと必死になっていると
仮面の男のほうもネイティオを出してきた。
“サイコキネシス”と“だましうち”の雨を何とか避けた。
しかし、力の差が歴然としているため、やられるのも時間の問題だろう。
このままでは、やられてしまう。
勝てないと判断したからだろうか、ウェズは近くの林に逃げ込んだ。
「はぁ・・はぁ・・。なんだあいつら・・・。いきなり始末って・・・。
とりあえずにげきらねぇと・・・。あいつら本気だ、多分。」
遠くで攻撃の衝撃が発した音が、聞こえる。
暗い林にその音が響く。
その音が、どんどん近くなってくる。
(近づいてくる。やばい・・・。)
そのとき、すぐ後ろで物音がした。
後ろにはあの二人が立っていた。
「ビリーが言ってたよ。アンタが、アタシ達の野望を食い止められるかも知れないって。だけどこのざまじゃぁ。危惧する必要もないな。」と女の方。
ビリーとは、あの手紙の差出人である。(1話参照)
「ネイティオ、“サイコキネs」男のほうが言いかけたとき、
オオタチが、“シャドーボール”を放った。
ネイティオに漆黒の弾が、直撃した。
ネイティオは大して効いているわけでもなかったが、ひるんだ一瞬を狙ってブースターをくり出した。
「えーと、ブースター??炎ポケモンだよね??この辺一帯焼いてくれ。」
ブースターは、一瞬とまどったが、指令を聞いた。
「「炎上網だと??」」
炎が、仮面の男女の行く手を阻んだため、ウェズは何とか命からがら逃げ出せた。
しかし、問題が一つ残っていた。
「ブースター、よくやったな。」
しかし、ブースターは、林を焼き払うことに疑問が残っているようであった。
そのことは言葉が通じ合えなくともウェズには分かった
「大丈夫だって。もうすぐ雨が降るから。」
数分後に雨が降ってきた。
ウェズは、ブースターとオオタチをボールに収めた。
雨雲が来るのが分かっていた。
空気の湿り気を感じていたのだ。
灯台が見える。
39番道路を抜ければ、もうすぐアサギ港だ。
どしゃぶりの39番道路を彼は駆けて行った。
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