「こ、氷がどんどん・・・はりついて・・きた・・・。」
氷がウェズの体を包んでいく。
それを見たスノウは、にやっと笑った。
「出力最大よ。ハクリュー」
“れいとうビーム”の威力が増す。
それにともない、ウェズが氷と化すスピードが増していった。
ブースターが、対抗するが、“たたきつける”で一撃。
そしてウェズは、氷像となった。
「ハクリュー、“たたきつけ・・・る”」
彼女は、一瞬とまどった。
「砕いちゃって・・・。」
彼女の目から光の粒がこぼれていた。
しかしハクリューは、その氷像を破壊しようとした。
だが、その瞬間、ハクリューが、後ろから攻撃を受けた。
「その勝負、預からせてもらおう。」
スノウの後ろの霧のむこうから現れた影が言った。
その声からして男性だろう。
「誰よ、あなた。」
「かつてお前たちに追われた者達だ。」
「フフ、先住民族のようね。どうして貴方たちが彼をかばう?」
スノウが問う。
「貴様等がこの島を滅ぼすのを防ぐためだ。
お前たちが狙っているということはこいつが、お前たちの重要な情報を持っている可能性がある。
その隠滅を防ぐためだ。
ロケット団さんよ。いや、この島ではシャトル団と名乗っていたかな?」
「正確に言えば、R団の分裂者が創設したのだから、完全なR団ではなくって?」
スノウが続ける。
「フフ、それに彼が、希望とはずいぶん落ちたものね。貴方たちも。」
「・・・・・。」
その影は、黙ってモンスターボールに手をやった。
「あら、私と戦う気?」
スノウもモンスターボールに手をかける。
そして一瞬きりが晴れた時、彼女は後ろから膨大な熱エネルギーを感じた。
「あっちー。けど助かった。ありがとうブースター。」
ウェズが、氷から抜け出た。
そして傍らにはブースター。
スノウは、ブースターを気絶させたつもりだったが、どうやら気絶していなかったようだ。
「(2対1、ちょっとまずいわね)」
スノウが、ハクリューを戻す。
「フフ、いいでしょう。ここはあなたに譲るわ。」
そういうとスノウは、霧の中に消えていった。
「た、助かったー。ありがとうおじさん。でもどうして助けに?」
その[おじさん]は、答えなかった。
「ついてこい。」
ただそれだけ言うと、すたすたと森へ歩いていった。
「ついてこいって・・・。」
男は、また答えなかった。
ウェズは、男についていった。
森は霧がかかっていて不気味であったが、なぜかウェズは不安にならなかった。
「ところで、おじさん誰?」
すると男は珍しく答えた。
「先住民族だ。」
「先住民族?」
「あぁかつてここで繁栄していた。昔は、ギア諸島(南ギア島を含む島々)で、かなりの数がいたらしいが、今はこの島にしかいない。
ジョウト、カントーから来た者はわれらをギア族というらしい。」
男は、無表情でそう答えた。
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