「名前は?」
「いいからついて来い!」
男は、そういうとそれ以来口を開かなかった。

何時間歩いただろうか、かなりの距離を歩いた後、男が言った。
「ついたぞ。」
霧でよく見えなかったが、家屋が4軒ほどあった。
「村??」
ウェズが、言った。
「そうだ。」
「でもどうしてここに・・・。」
「マスターの元へ行くんだろう?」
ウェズは、驚いた。
「え?!!どうしてそれを?」
「街で聞いた。」
「(怪しい。)」
ウェズは、疑いながら、その男の顔を見た。
「(どこかで見たような顔だな。)」
男が、ウェズの視線を感じたのか、ウェズを見返した。
「なんだ?」
「あ、いえ・・・。」
男は、フッと笑うと、こういった。
「今日は、ここの村で泊まるとよかろう。明日、マスターへ送ってやる。」
「あのぉ〜、どうして助けてくれたりしたんです?それに道案内って頼んだ覚えないけど?」
ウェズが、聞くと男は、彼を睨んでいった。
「ここの野生ポケモンは、強い。お前のレベルじゃ、目標まで行く前に命を落とすだろう。さっきの攻防、一回も反撃できてなかったじゃねぇか。」
ウェズは、言い返せなかった。
事実なのだ。霧で見えなかったなど、言い訳に過ぎない。
それに相手も霧で見えていなかったはずだ。

いつの間にか夜が来ていた。
彼らの部族が、広場らしきところに集まっていた。
しかし、彼らは、少なかった。
その数10数人。そのうち半分強が子供だった。
それもまだ幼い子供。おそらくウェズより年下の子供だ。
彼らは、今日一日のことを話し合って散っていった。

朝になった。
今日は朝霧が、発生していなかった。
あの男曰く、「霧なんて滅多に発生しない。あの朝は非常に珍しかった。」
ウェズは、少しばかり不思議に思ったが、あまり気にしなかった。
それより、自分の非力さのほうが気になっていた。

謎の仮面野朗と、スノウ、財布団(シャトル団のこと)・・・。
いままで勝てたことなんてなかった。
何が足りなかったのか、分からなかった・・・。
そして自分の修行理由もよく分からない。
勢いで飛び出していったが、あの手紙にはまだ半信半疑だ。

あの男が、こっちに来た。
「こいつ等が、案内してくれるから・・・。」
そこには、若い男女三人。
「早く行くぞ。」そのうちの一人が言った。

「いいんですか・・・?」とウェズ。
「あぁ、ある用事のついでだ。途中まではつれてってやる。
 オレの名は、クロ―。短い間だが、よろしく。」
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