「さぁとっとと観念したらどうだ?」
敵の一人が言った。
「お前一人で俺らに勝てるわけねぇよ。」

確かにそうだ。
敵は10人、味方は0。
なんとか持ちこたえているけれど、それも時間の問題である。
しかし、ウェズは、まだ諦めていなかった。

マルマインの“スピードスター”を、ツボツボが受け、
ナッシーで反撃する。
“スピードスター”はノーマルタイプなのに対して、
ツボツボはいわタイプだ。
ツボツボのほうが有利なのだが、
徐々にダメージが、溜まってきている。
ツボツボが、倒れたら・・・・・。
ツボツボが倒れたときが、負けるときだろう。
「(わるい。ツボツボ・・・。)」
容赦なく降りかかる“星”。
それでも必死に耐えていた。

一方ナッシーは、“たまごばくだん”だけでなく、“ソーラービーム”も放っていた。
普通は、日光のパワーを溜めるために時間がかかる“ソーラービーム”だったが、ここでは別の話だ。
時期は、初夏直前。場所は、北回帰線の近く。
夏至に、太陽の高度が、90°になる場所だ。(90°=直角)
しかも天気は、現在晴れ。ところどころ雲はあるものの、パワーは、半端ではなかった。
もちろん、団員は、ナッシーの“ソーラービーム”と“タマゴばくだん”に苦戦を強いられていた。
「(このまま押し切れるかも・・・。)」

すると、突然空が暗くなった。
「残念だな。ボウズ。」
団員の一人が、笑みを浮かべて言った。
「スコール(にわか雨)だ。これで“ソーラービーム”は撃てまい。」
突然雨が降ってきた。土砂降りだ。“タマゴばくだん”で作られた穴は、水溜りと化した。
団員たちは、水溜りにはまっていたが、大丈夫のようだ。
「ナッシー、ツボツボ戻れ。」
代わりにデンリュウ、ヒトデマンを出した。
「悪あがきのつもりか?マルマイン“かげぶんしん・・・。」
言い終わらないうちに、デンリュウが地面に向かって“かみなりパンチ”を放った。
電流は、水を伝って、団員の元へ流れていく。
「バカが。貴様も感電するぞ。」
「ヒトデマン、“サイケこうせん”。」
デンリュウを、ボールに戻しながら、技を指示した。
ヒトデマンは、地面に向かって放った。

「うおぉぉおお。」
団員達は、電撃攻撃で、その場に崩れ落ちた。
ウェズは、ヒトデマンにつかまり、ヒトデマンは、“サイケこうせん”の攻撃の衝撃で一瞬浮いた。
彼らは、間一髪、電撃を避けることができた。
「ナイス。ヒトデマン、よくやった。
 何とか先へ進めるな。これで・・・。」
「ッフッフッフ。」団員の一人が言った。
「ここから先へ進めると思うな。」
「ど、どういうことだ?」
「惜しかったと言うわけだ。お前を始末すると言う任務は・・・。
 完了・・・した・・・。」
そういって団員は倒れた。
「どういうことだよ。まぁいい・・か。
 早く行こうぜ。」
ウェズの前に大量のマルマインがいた。
「残念だったな・・・。これでお前も終わりだ。
 “だいばくはつ”。」
ウェズは、走った。
あの数の爆発に巻き込まれればひとたまりもない。
しかし、足が、泥に取られて動けなかった。
「一種の“みちづれ”だな。こりゃ。」
団員が言った。

その瞬間、大きな衝撃が森を走った。
しかし、その音は、雨にかき消された。
そして、彼自身も・・・。
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