「デンリュウ!!!」
「ソーナンス!!!」
デンリュウがパンチを繰り出す。
ソーナンスが反抗の構えを見せる。
デンリュウが、どんなパンチを出すのか。
ソーナンスが、どう反撃するのか。
彼らには何もわからなかった。

そして、デンリュウの拳が、ソーナンスに向かっていく。
すると、ウェズが“にや”と微笑みながら言った。
「この勝負。オレの勝ちだ。」
「なんだと?」
「オレのデンリュウが出したのは、“ばくれつパンチ”。
 だからソーナンスの出した“ミラーコート”では反撃できない。」
“ばくれつパンチ”は、物理攻撃、
“ミラーコート”は、特殊攻撃を跳ね返す技だ。
物理攻撃を“ミラーコート”は、跳ね返すことができない。
ソーナンスに技が炸裂し、ソーナンスが倒れかける。
「それは・・・違うぜ。」
「え!?」
ソーナンスが倒れかけたと同時にデンリュウも倒れ始めた。
「うそ!ど、どうして?」
“みちづれ”。
自分が倒れたとき、相手も戦闘不能にする技。
「引き分けだ。」

彼らは、デンリュウと、ソーナンスを戻した。
「今度は勝ってやるよ。」
ケーンが言った。
「それは、こっちの台詞(セリフ)だよ。」

一人の老人が、彼らに気付かぬよう、じっと彼らを見つめていた。
「あいつら、ずいぶん成長したみたいじゃな。」
夜の、闇が解けていく。
オレンジ色の朝日が差し込んできた。
今日も新しい一日が始まる。

そのころ、シャトル団アジト。
シャトル団幹部会議。
「よく集まった。」
ボスが、会議の進行を促す。
「フォレス、ネロ、ナルクにギル。全員いるようだな。」
一人目は、かつて、ウェズが命からがら逃げることができた。
ストライク使いのフォレス。
二人目は、水タイプを得意とし、紅一点のネロ。
3人目は、ムーンタウンを占領し、ケーンを苦しめたゴーリキー使いのナルク。
4人目は、謎の男、ギルだが・・・。
ボスが言った。
「今回集まった理由(わけ)は、数週間後のギア島総攻撃の作戦を立てるためだ。
 まず、仮に反対勢力がいた場合(とき)、どのようにしてあの場所に近づけないかが、問題・・。」
ボスが言いかけたとき、ギルが立ち上がった。
「占領など、私の好みではない。」
「会議中だ。座れ。」
「この小島を占領したところで無意味だ。」
「いや、この島を占領する意味は、あるはずなんじゃけど。」
少々訛ったしゃべり口調の、
そして年配の容姿のようなフォレスが言った。
「んなぁ、ボス。」
「あぁ、ある。」
すると、ギルはあざけるような微笑を浮かべていった。」
「メリット?フン。くだらない。
 こんな島にあるメリットなどたかが知れている。
 私は(席を)はずさせて貰う。」
ギルが立ち上がり、帰り始めた。
「ま、待て・・・。」
ナルクがとめようとした。
「まぁよい。続けるぞ。」
総攻撃まで残り2週間。
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