会議は数時間に及んだ。
「欠員は出たものの、任務に支障はきたさないと自覚している。」
ボスは、そういうと、席をはずそうとした。
「彼は、作戦から降りるのですか?」
ネロが質問した。
「もう会うことはない。あいつは組織を抜けた。」
「あのまま見逃してもいいのですか?」
「仕方がないだろう。
元々ギルは、互いに目的を果たすために彼はこの組織にいたのだ。元々ギルは部下でもなかった。」
「・・・・・。」
「フ、まぁ作戦に影響はない。」
ネロは何も言わなかった。
ウェズとケーンの修行も大詰めを迎えていた。
両者とも、初めの時の力と大きく違っていた。
そしてある朝のことだった。
3人は小屋の中にいた。
「二人とも、こっちへ来い。」
マスターが彼らを呼んだ。
「よく頑張ったな。今までよく耐えた。」
「「・・・・・。」」
「今日与える課題で最後じゃ。」
マスターはしばらく間をおいて言った。
「ケーンは、ギア山の瀧へ行け。
ウェズは、ギア山の火口へ行くのじゃ。」
「そこへ行って何を?」
ケーンがたずねる。
「そこへ行って、伝説の石を取ってこい。」
「炎の石とか、水の石とかですか?」
ウェズが確認する。
「すこし違うが、まぁそんなところじゃ。
岩の台座の上に乗っているから分かるはずじゃ。」
ケーンとウェズは、ただ黙ってつっ立ていた。
「ほら、何をしておる。
今からいくのじゃ。」
「え?い、今から?」とケーン。
ケーンは、早速旅立っていった。
「・・・・・。」
ウェズは、何も言わず立ったまま動かなかった。
「何をしている?」
マスターが、ウェズにたずねる。
「もう始まっているんじゃぞ?」
「師匠(せんせい)、オレの・・・、僕を何か知っていたんですか。」
「な、何を言うとる。」
「ここに来る初め、師匠(せんせい)は、組織の攻撃を受け、倒れていた僕を助けてくれました。」
「それが?」
「そして、一方的に勝負を挑み、僕を負かすと、知っていたようにここで学ぶことを許してくれた。」
「・・・・・。」
「これはどうも、偶然とも思えません。
過去の僕を何か知っているんですか。」
「さぁな。わしには君の状況がどうなのか、さっぱりわからん。
確かに昔、君の話は聞いたことがある。
じゃが、やはりあの時、わしらは初対面じゃった。」
「・・・・・。」
マスターはため息をついた。
「ん?何をしておる。早く行ってこんか。」
「は、はい。」
ウェズが小屋から出て行こうとした。
しかし、ウェズは玄関の寸前で
後ろ(マスターの方)を向いて言った。
「師匠(せんせい)、」
「!?」
「今までありがとうございました。」
「馬鹿なことを言うな。まだおわっとらんのじゃよ?」
「そうですね。」
ウェズは、そういうと小屋を出て行った。
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