クローとは友人だった。
遠い過去の話だが、今でも覚えている。
最近、会っていないが、彼がどんな人間かも覚えている。
クローの案内でウェズがこの小屋に来たとか、
そういうこともマスターから聞いていた。

「(そういえば、ビリーとか言う失踪した研究者の話もウェズが師(マスター)に話していたのを聞いた。彼と関係があるのか?)」
ロビーはしばらく考えていた。
しかし、思考はすぐに違う場所に移った。

クローは今どうしているだろうか?
もう何年も会っていない。

10年以上も前の話である。
この頃は、まだこの島に悪(シャトル団)がいなかった。
ロビーとクローは、当時、まだ14,5の年齢だったが、
既にこの島の山で、案内などの仕事をしていた。

ある日、研究者と名乗る一団が、この島を案内するよう要請が出た。
彼らは野生ポケモンの調査のために来たと言った。
一通り案内した後だった。
彼らはロビーとクローに尋ねた。
幻のポケモンについて、だった。
彼らはこう答えた。

@言い伝えは存在し、実際に目撃したと言われているが、証拠は何もないこと。
A言い伝えによると何かの条件がそろえば出現すること。
Bギア族(クローはその一人)の言い伝えでは捕獲は厳禁だということ。

こう説明した後、クローは続けた。
「あの、じゃぁ遺跡見ます?」
一団は頷いた。

行く途中、ロビーはクローに一団に聞こえぬよう言った。
「遺跡ってなんだ?」
クローは答えた。
「僕の先祖が建てた遺跡だ。」
「オレには何も言ってくれなかったじゃないか。」
「そこの所は気にしないってことで。」
「おい、ちょっと待て、それどういう・・・。」
騒いでいたのが気になったのか、
一団の一人が口を挟んだ。
「あのぉ・・・。何か?」
クローはあわてて「いえ、なんでもないです。」と言った。
クローはロビーに言った。
「その話しはまた今度。今は仕事しないと。」
「・・・分かった。」

その遺跡に着いた。
それは石造りでできていた。
ところどころ木の根が張り、ジャングルに食われている感じだが、
何か偉大さを感じさせた。
一団はいろいろ調べた後、この島から去った。
一団の乗る船を見送り、その船が海へと旅立ったときだった。
「なぁ、何かおかしくないか?」ロビーが言う。
「え・・・?」
「あの研究者たち、遺跡の調査がやけに熱心だった。」
「何処もおかしくないと思うけど・・・。」
「元々野生ポケモンの調査に来たわけだろう?
 遺跡の調査をしたって意味がないわけだ。」
「はは・・・まさか・・・。」
クローは不安を感じたが、こう答えた。
「遺跡から何か分かるんじゃないの?」
「だと、いいけどな・・・。」
太陽が海の向こうに沈んでゆく。
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