月日は流れた。
その一団は、ロビーとクローの記憶から既に消えていた。

ある夏の日、奇妙な男がこの島を訪れた。
その男は名を名乗らず、
「伝説のポケモンはどこだ?」と島民に聞いていた。
島民は、その言い伝えさえロクに聞いたことが無い。
だから全員「知らない。」と答えた。
しかし、その島民の一人はその男に、「先住民に聞けば分かるのではないか?」と答えた。
その男はそれを聞くと、先住民の村(=ギア族の村)を探し出し、見つけた。

「どうしてそんな事を聞く?」村長(=後のマスター)は冷静に答えた。
ここは村長の家の中だ。
「どこだと聞いているんだ。」その男は苛立ちながら答えた。
しばらくそのやりとりが繰り返された。
「伝説のポケモンは捕獲することを禁止されている。」
「誰が決めたんだ?」
「わし等の先祖じゃ。」
「だったらお前らを問い詰めるまでだ。」
その男は村長の隣にカイリューをくりだした。
「な、何をするつもりだ!」
村長は焦った。
「下手な真似はするな?
 もし、次答えるのを拒否すれば、頭に“はかいこうせん”がとぶぞ。」
「ついには・・・こんな強攻策にでたか。」
「答えるのか、答えないのか、はっきりしてもらおうか。」

その頃、ロビーとクローは港に来ていた。
今日は"山案内の仕事≠ヘ無く、ただ二人で街中をうろついていた。
彼らはうろつく中でなんとなく港に来ていた。
「今日は暑いな。」ロビーが額の汗をぬぐいながら言った。
「夏だから仕方が無いよ。」クローが言う。
「オイ、もっと話を発展させろよ。」ロビーがつまらなさそうに言った。
「そんなこといわれても・・・。
 僕たちもう20こえてるし、そんな話題で・・・。」
「20こえたらそういう話はNGなのか?」
「いや、知らないけど・・・。」
彼らがそんな話をしているうちに港に船が来た。
いつも来る船より、一回り大きかった。
「なんか大きくないか?」
「うん・・・。」
その船からは大勢の人がぞろぞろ降りてきた。
「なんだろう?あれ?なんかいつもより多いような・・・。」
クローが、独り言を言った。


「この島を占領する。」
「なんじゃと!!?」
「この島丸ごと手に入れれば貴様等と交渉する必要など無い。」
「そ、それだけは許せん。やめろ!!!」
村長は声を荒げた。
村長の家にその声が響く。
「なら伝説のポケモンの居場所について、答えるんだな。
 知らないなら何か情報でもいいが・・・。」
「・・・。」
「アリアドス、マルマイン!!!」
男はアリアドスとマルマインを出した。
「何をする気じゃ!!!」
「3秒以内に答えろ。答えなかったら・・・。どうなるか、分かるよな?」
「・・・。」
「アリアドス、“くものす”!!!
 カイリュー、“たたきつける”!!!」
アリアドスは家の壁に“くものす”をつくり、カイリューは尻尾で村長を“たたきつけ”、
“たたきつけ”られた村長は家の壁に張られた“くものす”に引っかかった。
マルマインが村長の傍へ寄る。
「これなら逃げ切れまい。さぁ答えてもらおうか。」

「すごく多かったね、あの船の乗客・・・。」
「あぁ、だがなんか祭とかあったか?」
「無いと思う。」
その時、街のほうで爆音が聞こえた。
街からは煙が、少ないが、立っていた。
「なんだ?あれ・・・。」ロビーが見ながら言った。
「と、とにかく急ごう!!!」
彼らは街のほうへ走った。

「3・・・。」
「ま、待ってくれ、話す、話すから!!!」
「2・・・。」
男は容赦なくカウントをする。
「1・・・。」
「で、伝説のポケモンは・・・3つの石によって呼び起こせる・・・。」
「ほう、ようやく答える気に・・・。
 で、それはお前が持っているのか?」
「い、いや、持っていない。」
「ではどこにある?」
「一つはジャングルに流れている川の中にあるらしい・・・。
 もう二つは知らない・・・。」
「なにか文献はあるのか?」
「あ、あの棚のなかに・・・。」
男は黙って棚へとむかい、一つの書物を見つけると、それを取り出した。
その書物はわけの分からない記号文字で書かれていた。
「おい、解読しろ。」
「それは・・・わしにも分からん。」
「ふん。ウソではないようだな。」
男は家から出て行こうとした。
「は、放せ、放すんじゃ。」
「やれ!!!」
そのとき村長の家から大きな爆発音が聞こえた。
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