ゴローニャの“ころがる”がラプラスとネロに当たった。
「“まるくなる”で丸みを帯び、スピードを付けやすくした。
 さらに、この距離だと加速抜群!!!
 この威力には耐えられないはずだ。」
確かに、ラプラスは倒れていた。
だが、ゴローニャも倒れていた。
「な、なぜだ・・・。」
今度はロビーの後ろで大きな音がした。
クローとエアームドがどうやら墜落したようだ。
クローはなんとも無かったが、エアームドはラプラスとゴローニャ同様、戦闘不能になっていた。
「まさか・・・。」
ロビーはゆっくりネロを見た。
「ふふ。そのまさか・・・よ。“ほろびのうた”。」
「い、いつの間に・・・!!!」
クローが大声で尋ねる。
「あなたのエアームドが“つばさをうつ”したときよ。
 あなたたちはただの鳴き声に聞こえたようだけれど。」
ネロが勝ち誇ったように言った。
「何を。こっちが有利だってことは変わらない。」
「そうかしら?ボールが壊れているのにね。
 それで開閉できるのかしら?」
「なに・・・!!!?」
ロビーとクローはあわててボールに手をやった。
ボールには全てつららが刺さっていた。
「あ・・・。」
「これで私の勝ちね。覚悟しなさい。」
ネロが次のポケモンを出そうとした、そのときだった。
どこから飛んできたのだろうか、
光線が、ロビーとクローと少年に直撃した。
“はかいこうせん”だった。
彼らは大きく吹き飛ばされた。
「誰・・・?」
「ネロよ。つまらない遊びはやめてとっとと戻るぞ!!!」
「わかりました。ボス。」

一方村では・・・。
「弱すぎますね。あなたたち。」
ギルは村人全員を一瞬で倒した。
「さてチェックメイトといきましょうか。
 サンダース!!!“かみなり”!!!」
雷が雨のように降り注ぐ。
村の家からは火の手が上がった。
ギルはしばらくそれを見つめていたが、それに背を向け、黙って歩きだした。

「う・・・。」
村長は生きていた。
かなりの威力の“だいばくはつ”を受けた。
だが、村長は奇跡的に生還した。
周りを見れば、村は跡形も無かった。
村人の姿も無く。どこへ皆行ってしまったのだろうか?
もう体も動かない。
このまま死んでしまうかもしれない。
そのときだった。
誰かが近づいてくる。
村長は老体を起こし、辺りをうかがった。
そこには泥だらけの少年がいた。
村長は聞いた。「何者じゃ?」と。
彼は「ケーン。」とだけ言った。

「大丈夫か?」
ロビーは言った。
「あ、ああ。大丈夫・・・。」
ここはどこだろうか。
かなり吹き飛ばされたようだが・・・。
彼ら3人はなんとか大丈夫だった。
「あいつら・・・。何しに来た?」
ロビーが疲れたように言った。
「分からない。とりあえず村へ・・・。」
「いや、ここにいる人らを助けてから・・・行こう。」
彼らはしばらく消えた街で救助を行った。
それから村へ行った。

「村って・・・ここだったよな・・・?」
ロビーは呆然としていた。
村があったはずの場所にはただ焦土があるだけだった。
「戻っ・・・たよう・・・じゃな・・・。」
「村長!!!」クローは村長の存在に気付くと村長を労わった。
「大丈夫ですか?にしても一体何が?」
村長はここであったことを説明した。
そして彼は最後にこう付け足した。
「あいつら、もしかしたらわしらを全滅するためにこの村を襲ったのかもしれん。」
「どうしてですか?」
「あいつらは伝説のポケモン、わしらギア族の守り神について知りたがっておった。
 おそらく捕獲目的じゃろう。
 だから守り神を祭り、触れてはならないとするわしらがジャマじゃったんじゃ。」


生き残った数少ないものはこれからどうするか考えた。
ほとんどのものは奥深くのジャングルで生活することにした。
同じ場所にいればまた襲撃されるかもしれない。
そしてそのなかにクローはいた。
しかし村長は村を出ることにした。
しばらくは街へはいけない。
行けばシャトル団に襲われるからだ。
ロビーは船乗りとしてシャトル団について調べることにした。
「クロー!!!」
元村長ことマスターが呼びかけた。
「これを・・・頼む。」
マスターはクローに緑に光る石を与えた。
「・・・・・わかりました。」
クローにはその石の意味が分からなかった。
だが何か重要な物だってことは分かっていた。
クローをはじめとする少ない村人たちはジャングルの奥へと消えていった。

残されたロビーとマスター、それと少年二人。
マスターはしばらく考えて言った。
「わしはこの子を預かる。」
マスターはケーンを引き取った。
「オレは・・・。」
ロビーが何か言おうとしたのをマスターは遮った。
「この子は、本土(カントー)にビリーってのがおる。
 そいつに頼め。」
「ですが、そんな一方的に・・・。相手が納得するんですか。」
「なぁに。心配いらん。じゃぁ・・・頼んだぞ。」
マスターが去った。
「まったく・・・。
 まぁいいか。行くぞ・・・。」
ロビーはふと気になった。
「そういえばお前、なんて名前だ?」
少年は小さな声で答えた。
「ウェズ。」
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