あれから10年近く経った。
あのとき、カントーへ連れて行った少年と
まさかまた会えるとは思ってもいなかった。
しかしなぜジョウトの港に来ていたのだろうか?
そもそもどうしてウェズをカントーへ連れて行ったのだろうか?
あのときマスターは、「バラバラになったほうがよい。」と言ったような気がするが・・・。
それに彼がさっき、ここを出たとき、
「初対面だ」と言っていたような・・・。

ロビーはさほど疲れてはいなかったが、深い眠りについた。


「ケーン!!!」
「遅い、何やってたんだ!?」
深いジャングルの中、彼らは目標の場所へ進む。
山の火口、瀧はそれほど遠くはないが、険しい山道が続くといわれている。
野生ポケモンも数多く生息しているが
それほどレベルは高くないのでスムーズに目的地までいけそうだ。
しばらくすると山の麓に着いた。
「やっと麓まで着いたか・・・。」
ウェズがため息をつきながら言った。
「ここから先は別々のルートだな。」
「といってもここからどう行けばいい?」
「お前は山の火口だろ?だったら山の頂上にあるはずだ。」
ケーンは再び歩き出した。
「じゃ、先行くぜ。」
ケーンは走り出した。
「じゃぁオレたちも行くか。」
ウェズは手持ち全てを繰り出し、言った。
ウェズもまた、走り出した。

その頃、ロビーも小屋を出た頃だった。
「では、行って参ります。」
「気をつけるんじゃぞ。」
マスターはロビーの影をずっと見つめていた。
彼の影はどんどん小さくなっていった。
そのときだった。
「フフ。まさかここにいたとはな。」
マスターがゆっくり後ろを向くと、そこにはあのときの男がいた。
「お、お前は・・・。」
「随分と探したぞ。マスターよ。」
マスターは後ずさりをする。
その男は下を向いて、独り言のように続けた。
「あの時は思わなかった。まさかアレで生きているとは・・・な。
 そしてギア民族を全滅させ、ギア族を根源から滅ぼしたつもりだったが、少数ながらも生きているとは・・・。」
そしてその男は顔をあげて、さらに続けた。
「私の計算ミスだ。」
「貴様等・・・何が目的なんじゃ・・・?」
マスターが冷静に返した。
「フフ。答える必要など・・・無い。」
男はカイリューを出した。
「ただし、強いて言うならば・・・。
 あれから今までギア族、移民族は我等の行動の邪魔をし続けた。
 そしてお前たちの妨害は私にとっていまわしきことであり、
 屈辱のほかならぬものであった。
 私は今からそのいまわしき過去を作り出した対象への復讐を果たし、われらの野望を実現する。」
「そんなモノどうでもいいわい。
 わし等にはお前を止める、義務がある。」
「フン。しかし、戦闘の最前線をガキ頼みとは、最早お前たちにはロクな戦力すらないように思われるが・・・。」
「余計なお世話じゃ。
 あのときのようにはいかぬぞ。」
マスターもカイリューを出した。
「フフフ。カイリュー対決か、いいだろう。」
男は、戦闘モードに入った。
「いい機会だから教えてやろう。
 私の名はゲルマ、シャトル団の・・・首領だ。」
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