「う・・・ぅぅ・・。」
ケーンは目覚めた。
しかし、彼は自分がいる場所が何処か、すぐには認識できなかった。
ただ分かるのは、ひんやりとした、薄暗い、場所。
そしてすぐ近くで水の流れる音がする。
彼は自分がどうしてここにいるのか、思い出そうとした。
そしてあることに気付く。
「ソーナンス!!!」
彼は大声で叫んだ。
すると何かが背中を突くのを感じた。
彼が驚いて振り向くと、そこにはケーンのソーナンスがいた。
「ソーナンス・・・。よかった。」
どうやらソーナンスはケーンより目覚めが速かったらしく、
もう十分に動き回れるほどだった。
彼はスリーパーを出した。
「“フラッシュ”。」
まばゆい光が辺りを照らす。
そしてケーンはここがどこだか気付いた。
「瀧・・・?」
ケーンは水の音がする方向を見ていた。
そこはちょうど洞窟の入り口で、そこでは上から大量の水が降り注いでいた。
「やっぱり瀧か・・・。でもここは目的地の瀧なのか?」
ケーンがきょろきょろと辺りを見回すと
何か青い光を放つものを見つけた。
「石だ・・・。
師が言っていたのはこれか?」
彼は初めは水の石だと思っていたが、すぐに違うと分かった。
彼は以前に水の石を見たことがあり、この石を水の石と判断するのに違和感を感じていた。
「これのことだな。
いくぞ。ソーナンス、スリーパー。」
ケーンはソーナンスとスリーパーを従えてこの洞窟を出て行った。
彼らは瀧の裏側の洞窟を出ると、すぐにマスターの小屋へと進路をとった。
「意外と楽だったな。なぁソーナンス、スリーパー。」
ケーンが振り返ると、ソーナンス、スリーパーが臨戦態勢をとっている。
「オイ!!!どうした??」
彼らが威嚇する先には、大人の女性が立っていた。
「女の・・・人・・・?」
「フ、フフ。あなたがその石を・・・。
いいわ。それを奪い取らせてもらうわよ。」
いきなり現れて、「奪い取る」などといわれたケーンは戸惑った。
しかし、彼はすぐに戦闘態勢に入った。
「どういうつもりだ!!!」
彼が叫ぶと、ネロと名乗る女性は不敵な笑みを浮かべていった。
「死に行くあなたに知る必要は無いわ。」
彼女はキングドラを出すと、こう続けた。
「わたしはシャトル団幹部の一人、ネロ。」
「く・・・。」
ウェズは崖の端につかまっていた。
彼は落ちていなかったのだ。
しかし片手で自分の体重を支えている。
もしその手を放せば・・・高いところから落下し、地面に叩きつけられ、命の保障は無い。
下を見れば、10mはあるだろうか。
見ただけでも目がくらむ。
唯一、幸運なのは敵が追ってこないことだろうか。
「(石を奪うって言ってたけどどうして来ないのだろう?そのほうがいいけど・・・。)」
つかんでいた崖の端が崩れかける。
「(やばっ!!!!!)」
彼は焦った。
だがどうすることもできない。
彼は一か八か、ポケモンを出した。
彼が選んだのはデンリュウだった。
「デンリュウ!!!引き上げて!!!」
デンリュウは指示通りにウェズを引き上げようとした。
だけど、なかなか持ち上がらない。
デンリュウはさらに力強く上げようとした。
つかまっている岩にひびが入る。
「(崩れる!!!!!)」
ウェズがそう思った瞬間、デンリュウはウェズを引き上げた。
そして彼がつかまっていた岩は崩れ、下に叩きつけられた。
危機一髪だった。
「ありがとう。デンリュウ。」
彼はデンリュウにお礼を言った。
「(危険も回避できたし、このまま真っ直ぐ小屋へと向かうか!)」
彼らは再び歩き始めた。
しかし、彼はまだ危険を回避できていなかった。
そのことを彼が知るのはもう少し後のことだ。
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