「何をした!!!」
フォレスが声を荒げた。
「“ちきゅうなげ”だ。」
ロビーが冷静に答える。
「その前、だ!!!」
ロビーは不敵な笑みを浮かべるとこう答えた。
「“みらいよち”。」

フォレスのストライクが見えなくなった理由、
それは“かげぶんしん”と“こうそくいどう”のスピード技の組み合わせ、複合技だったからだ。
そして猛スピードから繰り出す“れんぞくぎり”。
だがその技の組み合わせは直接攻撃なので、直接技を当てる必要がある。
だからロビーにもフーディンにもある程度、「こっちに必ず来る」という予想はできた。
彼らは自分たちの周りに“みらいよち”による攻撃の壁を張っておいた。
“サイケこうせん”のように直接、攻撃を行ってもおそらく“かげぶんしん”の要素で避けられるだろう。
“サイケこうせん”だけでなく“スプーンまげ”のように命中立を下げようにも気付かれれば負け、である。
だから気付かれず攻撃をするには時間差攻撃など工夫が必要だ。
時間差で攻撃できる“みらいよち”が有効だと彼らは考えたのである。

「“みらいよち”・・・だと?」
フォレスは悔しそうに言った。
だが、すぐに自信に満ちたような顔を浮かべた。
「ストライク!!!」
戦闘不能寸前のストライクはむくりと立ち上がり、最後の力を振り絞って飛んだ。
フーディンは身構えた。
しかし、行き先はロビーとフーディンのところではなく、クローが倒れている場所だった。
フォレスもクローのところへ行くと、クローを自分の体で支え、
そしてクローの首元にストライクの刃をつきつけた。
「こいつを助けたければ今すぐ石をよこすことだな。」
クローは人質になった。
「貴様!!!」
ロビーは再び声を荒げた。
「何を勘違いしてんだ?
 オレがここに来たのはお前等に勝つためでも殺すためでもねぇ。
 石を奪いに来た。さっきもそう言ったはずだ。」
フォレスは高い声で笑った。
「ふざけるな!!!」
ロビーとフーディンが再び攻撃態勢に入ったとき、どこからか声がした。
「見苦しいぞ、フォレス。」
どすのきいた低い声が洞窟に反響した。
「なんだと?」
フォレスはその声に向かって言った。
次の瞬間、突然地面が揺れ洞窟が崩れてきた。
フォレスとストライクはすぐに洞窟から脱出しようと試みた。
ロビーとフーディンもそれに続くかのように入り口に向かって走った。しかし、ロビーは足を止まらせた。
「クロー!!!」
クローが崩れゆく洞窟の中で倒れていた。
ロビーはフーディンだけを崩れる洞窟から脱出させると、いそいでクロー救出に向かった。
あと少しでクローに届くというところで何かが腹を殴った。
その衝撃でロビーは気を失った。
洞窟は完全に崩れ去った。
命からがら逃げ出したフーディンはフォレスに見つかった。
「フン。あいつのフーディンか、やれストライク。」
ストライクが命からがら逃げ出したフーディンにとどめをさす。
“きりさく”だった。
とどめをさされたフーディンはその場で膝から崩れ落ち、倒れた。
「洞窟が崩れた原因は“じしん”だな?くそ!!!誰だ?“じしん”をしたやつぁ?」
「私だ。」
「ギ、ギル!!!」
組織を抜けたはずの人間が、そこにいた。

ウェズはひたすら続く山道を降りていた。
あのナルクとか言う刺客はもう追っては来ないだろう。
そう安心しきっていた。
だがウェズは誰かが尾行しているのを感じていた。
「(誰だろう?さっきの?まさか・・・。)」
奇妙な気配は彼に不安をもたらした。
その不安が恐怖となり彼を支配していった。
気付いたとき彼は走り出していた。
あの気配を感じぬように・・・。
しかし、その気配も同じように走り出した。
そのことが更なる恐怖を生み、彼の足を加速させていった。
どれくらい走っただろうか。彼は湖で疲れ果てていた。
何とか気配は撒いた。
しかしいつまた追ってくるか分からない。
だけどもう逃げ切れない。
彼は恐怖と隣り合わせにいた。
だからもしあのナルクと言う奴がその気配だったら、というときのためにヒトデマンを用意していた。
あいつはまたゴローンを出すだろうとの推測だった。
そのときだった。また後ろからあの気配が・・・。
彼はすぐに後ろを見た。。
するとすぐ後ろに男がいた。ナルクだった。
近くで見るとその男は大柄でごつかった。
「オレからは逃げられねぇ。」
そういうとナルクはポケモンを出した。
エビワラーだった。
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