ウェズはせっかく取ってきた石を盗られ脱力した。
疲れが一気に体を襲ったのだろうか。
彼はその場で気を失った。

「“たつまき”。」
キングドラが竜巻を発生させた。
その竜巻は砂や石を伴い、ケーンに襲い掛かった。
「うわあああぁぁぁ!!!」
ケーンは必死に逃げるがその竜巻はどこまでも追ってくる。
しかもキングドラはさらに2つほど竜巻を作った。
彼は竜巻に囲まれた。
逃げられなくなった。
ケーンはこのままではいけないと既に悟っていたが反撃ができない。
でもやるしかないのだ。
「レアコイル!!!」
彼はレアコイルを出した。
そしてネロに気付かれぬよう、もう一匹もひそかに出した。
するとネロがあざ笑うかのように笑い、続けた。
「キングドラはたしかにみずタイプで電気攻撃には有効だけどドラゴンタイプも入っているのに気付いて無くって?」
ドラゴンタイプに電気攻撃は有効ではない。
「浅はかね。つまらない。」
彼女はがっかりしたかのように言うと、急に声を上げ、指示した。
「キングドラ!!!これで最後よ!!!」
キングドラは力を溜め込んだ。
そして、放った。
「“ハイドロポンプ”!!!」
ハイドロポンプは竜巻をつき抜け、竜巻による砂嵐に苦しんでいたケーンのところへ届いた。
ケーンは砂嵐により目をつぶっていたため“ハイドロポンプ”に気付かなかった。
当然避けられず、彼は強力な水流をもろに受けた。
「ぐあぁ!!!」
彼は痛みで倒れた。
水流をモロに受けた左腕をおさえて倒れた。
気絶しそうなほどの痛みが彼を襲う。
レアコイルは心配そうにケーンを見た。
ケーンはそのことに気付いてはいなかったが、
心配無用とでも言うように立ち上がり、指示を出した。
「“10万ボルト”!!!」
強い電流がレアコイルの磁石から出された。
だがその電流は無情にも竜巻の壁に阻まれてしまった。
「無駄よ。キングドラ、もう一度!!!」
キングドラはもう一度、強力な水流を放つ準備をした。
そして、放った。
いや、放たなかった、放てなかった。
「どうしたの!!!キングドラ!!!」
ネロは声を荒げた。
すると彼女はキングドラの後ろに、ゲンガーが迫っているのに気付いた。
彼女はゲンガーを見ると、“ハイドロポンプ”が撃てなかった理由を悟った。
「まさか・・・“うらみ”!!?」
そのまさかだった。
ケーンのゲンガーは彼女に気付かれずに出て、そして“うらみ”を使い、キングドラの疲労を誘っていた・
「ええい。キングドラ!!!ゲンガーに攻撃しなさい!!!」
キングドラはすぐさま竜巻を作ろうとした。だがこれも作ることができなかった。
「“たつまき”・・・まで?」
そのとき、竜巻がきえ、ケーンが復活した。
「正解だ。ゲンガーの“うらみ”で“ハイドロポンプ”、“たつまき”はもうできねぇ。」
ケーンはレアコイルに技を指示した。
「“かみなり”。」
“かみなり”は雷鳴を轟かせながらキングドラに落ちた。
ネロは少しひるんだ。そしてすぐさま別のポケモンを出した。
「ギャラドス!!!援護しなさい。」
彼女が出したのはギャラドスだった。
「ギャラドス!!!“あまごい”。」
雨が降り始めた。
ネロには“あまごい”で水攻撃の威力を高め戦いを有利にしようと言う策があった。
だがそれが裏目に出てしまう。
「レアコイル!!!“かみなり”!!!」
雨乞いによって作り出された雨雲は電気を帯び、雷雲となった。
そしてその雲から巨大な電気の柱がギャラドスを貫いた。
「ギャラドス!!!!!」
大きな雷鳴を伴った落雷は一瞬でギャラドスを戦闘不能に追い込んだ。
ケーンは勝ち誇ったように言った。
「浅はかなのはどっちだろうな。もうあんたに勝ち目はねぇよ。」
ネロは小さな声でつぶやいた。
「まだ断言するのは早いんじゃなくて?」
「どういうことだ!!!」
「こういうことよ。」
そのとき、キングドラが消えた。
「え・・・?」
突然消えたのでケーンは戸惑った。
「どうなってるんだ?」
その時ケーンは後ろに何かがいるのを感じた。
彼は振り向いた。
するとそこにはキングドラがいた。
「しまった!!!」
そう言い切る前にケーンはキングドラに黒い液体をかけられた。
その瞬間、ケーンは目が見えなくなった。
「“えんまく”か・・・。目が見えないからって負ける気なんかないぜ。」
「いいえ。それは“えんまく”ではないわ。」
ネロはクスッと笑うとケーンに近づいてきた。
「レアコイル!!!ゲンガー!!!」
ケーンはレアコイルとゲンガーに技を指示しようとした。
ネロはそれを遮るように言った。
「無駄よ。」
次の瞬間、何か鈍い音がした後、レアコイルとゲンガーの悲痛な叫び声がケーンの耳で響いた。
そして次に聞こえた音はネロの言葉だった。
「目の見えないトレーナーのポケモンに何ができると言うの?
 フフフ。私の勝ちね。」
ネロはケーンをつかみ上げるとそこから石を奪い去った。
「これが青の石・・・。
 ありがと。あなたのおかげで任務が果たせそうだわ。
 でもお気の毒。あなたはもう助からないかもしれないわ。」
「どういう・・・こと・・だ・・・。」
ケーンの意識は飛び始め、そして息も荒くなっていった。
「“こうそくいどう”であなたの死角に回り込ましてもらったわ。
 そしてさっきの黒い液体の技はね。“えんまく”ではなくて“どくどく”なの。 
 残念だったわね。」
「なんだ・・・と・・・?」
ケーンは激しい頭痛や吐き気を感じ、ひざから崩れ落ちた。
そしてその場で倒れ、動けなくなった。
「あなたももう終わりね。
 石は貰っていくわ。」
「ま・・・て・・・・・。」
ケーンの意識は完全に飛んだ。

「どうしたのだ?マスターよ。」
マスターの小屋ではシャトル団のボス、ゲルマとマスターが戦っていた。
しかし、マスターは一方的に攻撃を受け、手持ちポケモンは全滅した。
「フフフ。あの時から腕が大分落ちたようだな。」
カイリューは容赦なくマスターを“たたきつけた”。
「うぐぅぅ。」
マスターは小屋の壁に叩きつけられた。
「つまらん。これで最後だ。“はかいこうせん”!!!」
カイリューは力を溜め込んだあと、光線を放出した。
すごいパワーをもつ“はかいこうせん”がマスターを襲った。
凄い爆音が辺りに鳴り響き、凄い砂埃が舞った。
小屋は瓦礫の山と化した。
ゲルマはしばらく様子を見ていたが、とうとうその場から去ってしまった。
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