「(ビリーってもしかして!)」
ウェズは手紙を取り出し、それをスノウに渡した。
スノウはそれを読んだ後、驚いた表情で言った。
「これ、私のパパの字・・・。
ど、どうしてこの手紙を・・・?」
ウェズ自身、何故この手紙を持っているか分からなかった。
聞かれてもただ「分からない。」「知らない。」と答える他無かった。
それでもスノウが何回も尋ね、そして教えて欲しいと懇願するので彼は今までの経緯を話した。
彼女もまた、自分の知っている限りのことを話した。
自分は幼いときに家族ぐるみでこの組織に誘拐されたこと、
その家族は自分と両親だけでなく、自分には同年齢の義理の男兄弟がいたこと
誘拐されてすぐに自分だけ隔離されたこと
そして両親が何かの研究をしていたということ。
そして彼女はこう付け加えた。
「組織の目的はこの島に眠ると言われている伝説のポケモンを捕らえ、ジョウトをはじめとする土地の支配。
そのポケモンを呼び出すには3つの石が必要だと言われているけれど、集めるだけではダメみたい。」
石・・・。そういえばマスターはウェズとケーンに指定された石を取りに行くよう指令を出していた。
自分が取りにいった石がどうやら伝説のポケモンを呼び出すのに必要のようだ。
そしてそれは奪われた。
「石は何処かに集めると効果を発揮するとも言ってたわ。」
ウェズは本当にスノウを信じるべきか迷っていた。
実は自分をだますために寝返ったふりをしているんじゃ・・・そう思った。
「そんな事言っていいの?両親が人質にされているって言ってたけど・・・。」
「あなたの強さならボスに匹敵する、いや、勝てるかもしれない。
お願い。勝手なお願いだけど私の両親を助けて・・・。」
彼女にはこの島で会ってからずっと狙われてきた。
そのことが信じきれない理由だとウェズは知っていた。
ただ、ビリーの子供がスノウだと言うことは本当だと思った。
ビリーに会えば自分が何者かも分かるかもしれない。
記憶が戻るかもしれない。
「どこに行けばいい?」ウェズは尋ねた。
「サンタウンって所にアジトがあるの。
そこへ行けば何か分かるかもしれないわ。」
スノウは続けた。
「アジトへ案内するわ。」
その頃、崩れ去った小屋では・・・。
「ぅ・・・・・。」
ケーンの体力が回復してきた。
しかし、彼は自分は河の近くにいたはずなのに、
どうして自分がここにいるのかわからなかった。
んぜなら“どくどく”を受けてからの記憶は完全に飛んでいたからだ。
彼を驚かせたのはそれだけではなく、
マスターの小屋が跡形も無く破壊されていることや
特訓し、ウェズと真夜中に勝負した広場も爆撃を受けたあとのように荒れていたこと、
そして何より驚いたことは・・・。
「マスター!!!」
マスターが崩れた小屋の近くで倒れていた。
「マスター!マスター!」
何回もケーンは問いかけに応じるまでマスターに問いた。
マスターがようやく弱弱しく反応を示した。
「ケーン・・・。」
「マスター!!!大丈夫ですか?」
「わしは大丈夫じゃ・・・。それより、石を・・・。」
とても大丈夫には見えなかった。
「いやです。マスターの看護を・・・。」
「行くんじゃ。」
「でもマスター、このままでは・・・。」
「わしのことはいい。早く行け。」
「・・・・・。」
どうしても動かないケーンにマスターは怒鳴った。
「石を取り返すんじゃ!!!さもないと・・・。」
マスターは咳をした。
「わかりました・・・。」
ケーンは振り返らずにその場を去った。
満身創痍のマスターを置き去りにするという後ろめたい罪悪感を感じながら・・・。
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