「うぇ、ウェズ!!!」
ケーンが叫んだ。
だがウェズはその叫び声に反応することなく戦い続ける。
「“はかいこうせん”の威力を吸収するとは・・・やるな。だがこの相手に勝てるかな?」
団員がじりじりと間を詰めてくる。
「ウェズ!!!何で来たんだ?」
ウェズは何も答えなかった。
彼はじっと団員たちの方を睨んでいる。
それは敵の攻撃に注意するためか、それともケーンの声を無視しようとするためか、どちらとも取れそうな態度であった。
「かかれ!!!!!」
団員たちは一斉にポケモンを呼び出し、攻撃を指示する。
そのポケモンの大群は炎や水、電気を放つ者や、植物や大地、毒を操る者など
タイプがばらばらであった。
苦戦する、ウェズはそう感じた。
「デンリュウ!!!オオタチ!!!」
ウェズはデンリュウとオオタチを同時に繰り出した。
「“かみなりパンチ”!!!“シャドーボール”!!!」
デンリュウは“かみなりパンチ”、オオタチは“シャドーボール”を連発するも、団員たちは際限なく現れ、攻撃してくる。
ウェズは残りのスターミー、ナッシー、ブースターを総動員しても団員たちの攻撃は一向に止まない。
必死に攻撃を食い止めようとするウェズの姿を、ケーンはへたれこみながらずっと見ていた。
そして、ウェズが攻撃を受け、傷を受ける度に彼は震い上がる。
それは友が攻撃を受けることへの恐怖、街々を破壊、侵略するシャトル団への怒りからの震えではなかった。
何かを決意したような、そう―――。
「ゴーリキー、ソーナンス!!!」
ケーンは立ち上がった。
「“ばくれつパンチ”!!!“カウンター”!!!」
ゴーリキーの“ばくれつパンチ”の迫力は、団員たちが怯む要因となった。
中には“カウンター”で反撃する者もいたが、
ソーナンスの“カウンター返し”に敵う者はいなかった。
ただ、“ばくれつパンチ”は、威力は高いが、それ故大きな疲労を伴うため、ずっと放てるわけではなかったため
ゴーリキーが休む間に攻撃を仕掛けてきた。
ケーンは新たにガーディ、ゴローニャを出して応戦するが、
それでも状況は変わらない。
最終的に彼もレアコイル、ゲンガーを出して6匹総動員という形になった。
それでもやはり、事態は善くはならなかった。
それを見かねたのか、スノウが現れた。
「あ〜もう。仕方ないわね。」
彼女はハクリューとポリゴンを出して、戦闘に加わった。
3人になってようやく相手の団員たちも減りだした。
「うぐぅ。ガキ共・・・。つけあがりやがって!!!ギャラドス!!!」
ギャラドスがエネルギーを貯め始める。
「ギャラドス!!!まずあの裏切り者の少女(ガキ)を始末しろ!!!」
ギャラドスのエネルギー波はスノウの方へ一直線に進んでいった。
彼女は余所見をしていた。
「スノウ!!!!!」
ウェズがそう叫んだ。
「!!!!!!」
彼女が気付いたとき、それはもう遅かった。
そのエネルギー波は彼女に直撃した。
凄まじいパワーは、爆煙、轟音となってあたりに散らばった。
ツボツボが先程受け止めたのとは比べ物にならないほどのパワーだ。
しかし、彼女は無事だった。
「そ、ソーナンス・・・だと?」
ソーナンスが彼女の盾になっていたのだ。
「ふ、ふん。ポケモンを盾にしたのか・・・。愚かな。ギャラドス!!!“ハイドロポンプ”!!!」
ギャラドスは反動で動けない。
「動けないだと??こ、この情けないやつめ!!!」
「動けないだけじゃないぜ。」ケーンが言った。
「な、何?」
次の瞬間ギャラドスがよろめいて倒れた。
「“カウンター”。さっきの攻防を見ていなかったのか?」
その拠点の長らしき団員(ギャラドス使い)はあわててこう言った。
「ひ、退け!!!」
その場にいた逃げ出せる団員たちはその場を去った。
「来るなって言っただろう!!!」
ケーンがウェズに叫んだ。
「どうして来たんだ?」
「オレもマスターの弟子だ。
マスターを襲った奴を俺は許さない。
それに・・・。」
彼は間をおくとこう言った。
「一緒にマスターの所で修行したもの同士。
助け合って当然。そうだろ?」
ウェズがこういうとケーンは黙っていたがしばらくして微笑んでこういった。
「あぁ。そうだな。悪かった。そして・・・。」
彼は何かもごもごしていた。
ウェズにはそれが聞き取れなかったが言いたいことは彼の照れた顔で分かった。
しかし、彼の照れた顔もすぐに厳しい表情に変わった。
「ところで、スノウ・・・と言ったか?
さっき団員が言ってたが、裏切りとはどういうことだ?」
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