「裏切りとはどういうことだ?」
この一言にスノウは何も言わなかった、言えなかった。
ケーンが何度も尋ねるが
答えは「いや・・・。」など、そればかりだった。
ウェズもスノウ同様、何も言えなかった。
この騒ぎが自分の勝手な思いやりと行動からだと感じているからだろうか。
いずれにせよ彼は渋い顔をして黙っていた。
ケーンはウェズにもそのことについて尋ねてみたが
やはりスノウのと同じ反応だった。
ケーンはシビレを切らしてこう尋ねた。
「元、シャトル団・・・か?」
スノウは小さく頷いた。
それを見ていたウェズがあわてて言った。
「お、オレが黙っとけと言ったんだ。だから・・・。」
ケーンは冷めたように返した。
「あぁ、わかってる。
 それにもうコイツは奴等の仲間じゃないもんな。」
そう言うとケーンはその場を去っていった。
「オイ!!!」
ウェズが彼の後を追う。
スノウもそれに続いた。
ウェズは去り行くケーンの肩を持ち、彼を引き止めた。
「1人じゃ無理だ。ここからは3人でまとまろう。」
彼は何も言わずにウェズの手を引き離し、また去ってゆく。
ウェズはもうその影を追おうとしなかった。
ただ呆然と立ち尽くす彼の元にスノウが追いついた。
スノウの顔色は悪かった。
「ごめんなさい。私が・・・。」
ウェズはしばらく黙っていたがやがてこう言った。
「スノウは何も悪くない。悪いのは・・・。」

「ボス、ついに碑を発見しました。」
「ご苦労だな。ネロ。」
ウェズ達が地上で戦っている最中に地下ではネロが碑の文の解読に立ち会っていた。
「解読できるのか?」
「えぇ、大体の文法と単語は既に解読出来ておりますので、
 後は文を公式に当てはめるだけです。」
「フフ、結構だ。
 ついに手に入るのか?
 あのポケモンが・・・世界が・・・。」
「そういうことに、なりますね。」
ネロはそう答えたが、ふと気になることがあったのを思い出した。
「ところで、伝説のポケモンとは何ですか?」
ゲルマ(=ボス)は含みのある笑を浮かべた。
「いや、伝説と言うより、幻だ。」
「幻・・・?」
「あぁ、この島ではスプライト、妖精とも呼ばれることがあるそうだ。
 この島では過去より、そのポケモンについて言い伝えられている。
 だが、目撃者はいない。それ故に幻と言われている。」
「幻と言われているほどなら捕獲はおろか、目撃も不可能なのでは?」
「奴は一定の条件を満たすと現れる。
 私は数十年に渡り、この島で調査を行い、それを確信した。
 もともと奴の出現方法は碑に書かれているのだとも知った。
 私は必死になって探した。
 街々を襲い、破壊した。占領もした。
 その度に碑を探したがどれも外れ、偽だった。」
「・・・・・・・。」
「そしてこれが私の知る限りでの最後の碑だ。」
「当たるといいですね。」
「あぁ、もうこれに賭けるしか・・・。」
ボスとネロとのやり取りの最中に
ナルクが現れた。
彼は一つのモンスターボールらしきものを差し出した。
「完成しましたぜ、ボス。」
「よくやった、ナルク。」
ネロはそれを見るなり、こう言った。
「それは?」
ボスは笑みを浮かべてこういった。
「兵器だ。」
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