「兵器だ。」
「兵器・・・ですか。」
「あぁ。そうだ。」
「どういう意味ですか。」
ネロが不思議そうにその言葉のもつ意味を尋ねた。
「それはな・・・・・。」
ゲルマ(=ボス)がネロの問に答えようとした時だった。
「解読しました!!!!!」
ゲルマとネロの会話を割り込むように
碑に書かれている文字を解読していた団員が叫んだ。
「おお!そうか!」
ゲルマは最後までネロの問に答えることなくその団員の元へ直行した。
「で?どうだ?何かためになる情報は書かれていたか?」
「え、ええ。
たいした情報は無かったのですが、非常に興味深い内容の文が見つかりました。」
「興味深い?」
「『三の輝く石、我等を守りたらせたまふ神の祠に置け。
せば、すなはちその神の精、現らん。』」
「どういうことなのだ?そう聞いているのだ。」
「・・・・・・・・・・。
要するにこうです。
『三つの光り輝く石を私達を守っていてくださる神様の祠に置け。
そうすればすぐに神様の精が現れるでしょう。』」
「三つの光り輝く石ってのは・・・?」
「碧、紅、蒼・・・。色はそう書かれてます。」
ゲルマはそのことは聞くと口元が緩んだ。
「ということは・・・!!!」
「そうです。昨日幹部様達が手に入れた石のことだと、そう思います。」
ゲルマはそのことを聞くと勝ち誇ったように高ら笑いをあげた。
「何もかもが上手く行き過ぎているではないか。」
「やりましたね。ボス!!!」
ネロが自分のことのように(最もゲルマの目標が、ネロの所属している組織の目標なので当然だが)喜んだ。
だが、それを見るなり、ゲルマは笑うのを止め、冷めた雰囲気を見せた。
「ボス?どうなさりました?」
ネロが不安になってそう尋ねると、ゲルマは低い声で言った。
「確かに碑にはそう書かれているが・・・。
我等が本組織、ロケット団を抜け出してこの島に来てから5年以上になり、何十個もの碑を見つけたが、
それらの書かれている通りにしても何も無い、即ち皆外れだった。
ただでさえこのような碑を発見するのに
碑の情報を発見したりと多大なる労を要するのに、だ。」
要するに、碑に書かれていることは全て正しいと言うわけではないと言うことだ。
彼は伝説などそういうジャンルに嫌いであったが、
彼は、過去、大昔に実際に人々が呼びだしたという伝説を信じていた。
せざるを得なかった。
なぜなら彼にはそういう空想上の手段しか目標達成の道具が無かったからである。
「そして私の知っていた『碑の情報』はこれで最後だ。
私はこれを確実に正としたい。」
ゲルマの願いこもった言葉にネロは再度共感した。
そして彼女はこう相槌を打った。
「これが正しいといいですね。」
「オイ!!!!!」
地下でゲルマ達が着実に計画を進めている時だった。
「お前らのボスの居場所を教えろ。」
ケーンは街に徘徊していたシャトル団の十人単位の小隊を全滅させ、
意識がある団員に尋問していた。
「う、うぅ・・・・・。
何者だ、お前。ガキのくせに、強すぎる・・・。」
「どこだ、と聞いているんだ!!!」
「フ、フフ。だがお前はすぐにやられるさ。」
「なんだと?」
「そうしているうちに騒ぎを確認したオレの仲間が来るってことさ。」
ケーンは辺りを見回した。
が、この団員の言うように他の団員が来る気配は無い。
いや、ここの町民でさえ見当たらない。
彼はボスの居所より突然そっちが気になった。
「そういえば、ここの街の人たちは?」
その団員はせせら笑いをした。
「幽閉されてるんじゃねぇのか?
時が来たら全員・・・。クックック。」
ケーンはその団員をきつく睨んだ。
「おまえぇ!!!」
「おっと、どうやらお前の最後が来たようだぜ?前を見ろよ。」
その団員が指差す方には新手の団員が遠くにいた。
「いや、前だけじゃねぇ。後ろも見な。」
後ろからも数十人の新手。
彼ははさみうちにされた。
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